暗号資産のアルゴリズム取引やマーケットメイキングを手がけるウィンターミュートの関連会社であるウィンターミュートUSAが、米証券取引委員会(SEC)へのブローカーディーラー登録と金融業規制機構(FINRA)への会員登録を完了しました。同社は米国の規制市場へ正式に事業を拡大し、自己勘定取引や上場投資商品(ETP)の指定参加者(AP)業務、デジタル資産証券の自社清算などを手がける体制を整えました。今回の登録は同社の機関投資家向け事業拡大の節目となるだけでなく、今後のトークン化証券市場を見据えた戦略的な基盤として位置付けられています。
自己勘定取引とETP指定参加者業務に対応
ブローカーディーラーとは、顧客のために証券売買を仲介したり自社の勘定で証券売買を業として行ったりする事業者を指し、米国では原則としてSECへの登録や自主規制機関であるFINRAへの加盟が求められます。
ウィンターミュートUSAの事業は自己勘定取引とETP関連サービスに限定されており、一般顧客の注文を取り次ぐ証券仲介は行いません。同社は自己勘定に限り、米国の規制市場で株式や株式オプションを取引できるほか、全米証券取引所やOTC(店頭取引)の取引相手に対して流動性を提供できるようになります。
あわせて、デジタル資産に連動する商品を含むETPについて、自己勘定で指定参加者(AP)を務めることが可能になりました。指定参加者はETFなどの設定や償還を発行体との間で直接行い、市場への供給や流動性を支える役割を担いますが、個別のETPで実際に業務を行うには発行体との契約が必要です。さらに同社は、自己勘定によるデジタル資産証券取引について、他社に委託せず自社で清算処理を行う体制にも対応します。
トークン化証券を見据えた米規制対応の加速
ウィンターミュートは今回の登録について、米国の規制市場における機関投資家向け事業拡大の重要な節目であるとともに、将来のトークン化証券市場を見据えた戦略的基盤になると説明しています。同社は2025年9月、SECの暗号資産タスクフォースに向けた文書において、トークン化証券を取り扱うブローカーディーラー向けの規制明確化を求めており、今回の登録は以前からの方針に沿った進展となります。
暗号資産企業が米国の証券規制に対応した事業基盤を整える動きは相次いでいます。6月には暗号資産キャピタルマーケット企業のGSRが、FINRAの承認を経てSEC登録ブローカーディーラーの買収を完了しました。また、現実資産(RWA)のトークン化を手がけるセキュリタイズ傘下のセキュリタイズ・マーケッツが5月にトークン化証券のカストディやアトミック決済に関するFINRA承認を取得したほか、7月にはオンド・ファイナンス傘下のオアシス・プロ・マーケッツも新規発行や流通取引に対応するFINRA認可を取得しています。各社で事業形態は異なるものの、デジタル資産市場と証券市場をまたぐ基盤整備が進んでいます。
ポイント
- ウィンターミュートUSAが米SECへのブローカーディーラー登録とFINRAへの会員登録を完了し、米国の規制市場へ正式に進出しました。
- 業務範囲は自己勘定取引やETPの指定参加者(AP)業務、デジタル資産証券の自社清算に限定され、一般顧客向けの証券仲介は行いません。
- 2025年9月にSECへ規制明確化を要望していた経緯があり、トークン化証券市場を見据えた戦略的な基盤として注目されます。
- GSR、セキュリタイズ、オンド・ファイナンス関連企業など、暗号資産企業が米証券規制に準拠した事業基盤を整備する動きが広がっています。