米連邦控訴裁が暗号資産盗難被害者によるバイナンス提訴を認める判断。署名なき利用規約に基づく強制仲裁を退ける

米連邦控訴裁判所は、暗号資産の盗難被害者が米国の裁判所で暗号資産取引所バイナンス(Binance)を提訴することを認める判断を下しました。原告が同意していない利用規約に含まれる仲裁条項を根拠に、訴訟を仲裁手続きへと移送しようとしたバイナンス側の主張を退けています。この判断により、取引所のアカウントを保有していない被害者であっても、盗難資産の資金洗浄を巡って取引所の責任を法廷で追及できる道が開かれたと見られます。

監修:ブロックチェーンマガジン編集部

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アカウント非保有の被害者による集団訴訟

今回の訴訟では、暗号資産の盗難被害者8名がBinance Holdings、Binance.USを運営するBAM Trading Services、および創業者のチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏を相手取り集団訴訟を提起していました。

原告はいずれもバイナンスのアカウントを開設したことがなく、同社の利用規約に同意していませんでした。原告側は、自身のウォレットから不正に引き出された資金がバイナンスのコンプライアンス(法令順守)の不備により同取引所を通じて資金洗浄されたと主張しています。また、バイナンスが無許可で資金移動事業を運営し、不審な取引の検知と報告を義務付ける米国銀行秘密法などを軽視していたと訴えています。

地裁の仲裁命令を破棄し法廷での審理を支持

第一審を担当したフロリダ州南部地区連邦地方裁判所は、契約を交わしていない当事者にも仲裁条項の効力が及ぶとする法理を根拠に、紛争を仲裁手続きへ送る決定を下していました。

しかし、第11巡回区連邦控訴裁判所は、下級審の明確な誤りを是正するための職務執行令状(writ of mandamus)を発付し、フロリダ州地裁に対して仲裁命令を取り消すよう命じました。この判断により集団訴訟が法廷で進行することになり、契約関係にない被害者に対する暗号資産取引所の法的責任のあり方に影響を及ぼす可能性があります。

ポイント

  • 米連邦控訴裁判所が、暗号資産の盗難被害者が米裁判所でバイナンスを提訴できると判断しました
  • 原告が署名・同意したことのない利用規約の仲裁条項を根拠としたバイナンス側の申し立てが退けられました
  • 取引所にアカウントを持たない被害者による、資金洗浄を巡る集団訴訟が法廷で再開されます
  • 取引所のコンプライアンス体制や盗難資産の取り扱いに対する法的責任の範囲を問い直す契機となる点で注目されます
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