非営利調査団体である反汚職データ・コレクティブ(ACDC)は、予測市場ポリマーケットの国際版において、150を超えるウォレットが米軍の内部情報を利用して取引を行った可能性があるとする調査結果を公表しました。軍事・防衛関連の市場で高い勝率を記録した152のウォレットによる合計利益は800万ドル(約12億6,736万円)に達し、平均勝率は97.2%に上るとされています。ブロックチェーン上で公開される取引データに対して自動売買ボットや大口トレーダーが追随することで、軍事行動のシグナルが外部に増幅される懸念が生じています。予測市場の急拡大に伴い、国家安全保障に関わる機密情報の漏洩リスクとプラットフォームの規制のあり方に注目が集まっています。
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軍事関連市場における異常な取引実績とウォレットの特定

ACDCの調査によると、ポリマーケットの国際版プラットフォーム「ポリマーケット・インターナショナル」において、米軍の内部情報を利用した疑いのある取引が確認されました。ACDCは、成立確率が35%以下の結果に対して1時間以内に累計2,500ドル(約40万円)以上を投じる取引を「大穴賭け」と定義し、取引市場が少数に絞られ大穴賭けの勝率が75%を超えるウォレット群を「オルカ」と名付けて分析を行いました。
分析の結果、軍事や防衛に関連する市場で取引を行い、極めて高い成績を収めたウォレットが152件特定されました。これらのウォレットの合計利益は800万ドルで、平均勝率は97.2%を記録しています。該当するトレーダーの多くは、口座開設後すぐに内部者が優位に立ち得るニッチな市場で大穴賭けを成功させ、その後に資金を引き出して取引活動を停止する傾向が見られました。なお、ACDCはこれらの高い勝率が単なる幸運など別の要因で説明できる可能性や、内部情報を利用した疑いのある全てのトレーダーがオルカに分類されるわけではない点も補足しています。
オンチェーンデータの公開性と追随取引によるシグナル増幅
ポリマーケットの国際版では、取引がブロックチェーン上で清算される仕組みを採用しています。この構造により取引履歴そのものは公開されている一方、取引を行っているトレーダーの身元は匿名の状態となっています。ACDCは、軍事関連のオルカによる取引に対し、資金力のある大口トレーダー(クジラ)や自動売買ボットが追随して賭けを行うことで、取引シグナルが増幅されている形跡を指摘しました。
調査では、2025年6月の米軍によるイラン攻撃前や、2026年2月の米国とイスラエルによるテヘラン空爆前に、オルカの賭けをきっかけとしてボットやクジラによる追随取引が発生していた事例が確認されています。公開された台帳上の不審な取引が市場シグナルとして拡散されることで、外国の敵対勢力などの第三者に軍事行動を察知されるといった国家安全保障上のリスクにつながる可能性が懸念されています。
市場の健全化に向けた課題と求められる規制対応
予測市場におけるインサイダー取引への懸念が高まる中、米商品先物取引委員会(CFTC)などの規制当局も不正行為への取り締まり姿勢を示しています。ポリマーケット側は、厳格な管理体制で不審な活動を監視し、過去に起訴された米兵の事例を含めて疑わしいウォレットを当局に通報していると説明しています。
ACDCはインサイダー取引リスクへの対策として、全トレーダーに対する本人確認の義務付けや、疑わしい取引に関する払戻金支払いの調査完了までの保留を提言しています。さらに、参加者の制限や捜査機関による取り締まりだけでは不十分であるとし、非公開情報の利用が大きな利益に直結する市場そのものを禁止すべきであると結論付けています。
ポイント
- 非営利調査団体ACDCの調査により、ポリマーケットの軍事関連市場で152のウォレットが平均勝率97.2%、合計800万ドルの利益を記録したことが判明しました。
- アカウント開設直後に大穴の軍事予測で高い勝率を上げ、即座に資金を引き出すなど、内部情報を利用した疑いのある取引パターンが確認されています。
- ブロックチェーン上の公開データを監視するボットや大口トレーダーが追随取引を行うことで、軍事機密に関わるシグナルが増幅・拡散するリスクが浮き彫りになりました。
- 国家安全保障上の懸念から、本人確認の義務付けや機密情報が直結する市場自体の禁止など、予測市場に対する規制や管理基準の再検討が求められる点で注目されます。