米司法省刑事局が、暗号資産取引所バイナンスによる2023年の和解合意の順守状況を精査していることが明らかになりました。同社は2023年11月に対イラン制裁違反や資金洗浄防止法違反などを認めて約43億ドルの制裁金支払いに応じていましたが、米連邦検察は制裁違反につながる取引を同社が阻止しなかったかどうかの調査を進めています。仮に合意違反と判断された場合、決着していた犯罪行為による再起訴や数十億ドル規模の追加罰金が科される可能性があると指摘されており、業界トップ企業の法規制遵守の行方に影響を与える可能性があります。
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和解順守の精査と追加制裁のリスク
米ブルームバーグの報道によると、米司法省刑事局のタイセン・ドゥバ局長がインタビューでバイナンスによる和解合意の順守状況を精査していることを認めたとされています。ただし、ドゥバ局長は具体的な内容には言及しておらず、バイナンスが合意に違反していると断定したわけではありません。
バイナンスは2023年11月の和解合意において、資金洗浄防止法や無許可の送金業、制裁関連法への違反を認めて有罪答弁を行い、約43億ドルの制裁金支払いとコンプライアンス体制の強化を受け入れました。この合意に基づき、バイナンスには資金洗浄や銀行取引、制裁違反に関連する不正の証拠や申し立てを米政府へ報告する義務が課されています。
バイナンスが合意に違反したと判断された場合、和解で決着していた犯罪行為について再び訴追され、再起訴や数十億ドル規模の追加罰金につながる可能性があるとブルームバーグは指摘しています。ただし現時点では、バイナンスやその従業員が不正行為で告発されたわけではなく、捜査が起訴や提訴に至らずに終了する可能性も残されています。
イラン関連取引を巡る捜査とバイナンス側の反論
今回の精査の背景には、対イラン制裁違反に関する疑いがあります。捜査を主導するニューヨーク・マンハッタン連邦検事局は司法省刑事局と連携しており、9月にはイランの闇市場における原油販売で得られ、バイナンスを通じて資金洗浄されたと主張する6,100万ドルの没収を求めました。
2026年に入り、米紙ニューヨーク・タイムズおよびウォール・ストリート・ジャーナルは2月、2024年3月から2025年8月の間に約17億ドルがイラン関連の主体に流れた可能性を指摘し、社内調査を担当した担当者が解雇されたと報じています。また、ブルーメンソール上院議員が2月25日に上院調査を開始し、4月17日には司法省と財務省傘下の金融犯罪取締ネットワーク宛てにコンプライアンス監視状況に関する文書を4月24日までに提出するよう書簡を送付しました。
これに対しバイナンスは、イランの主体と直接取引を行った口座は存在しないとして報道内容を繰り返し否定しています。同社はウォール・ストリート・ジャーナルの親会社であるダウ・ジョーンズを名誉毀損で提訴するなど法廷での対抗姿勢を示す一方、今回の精査に関しては、管理体制の強化に継続して取り組んでおり法執行機関への協力に全力を尽くすとのコメントを出しています。
ポイント
- 米司法省刑事局が、バイナンスによる2023年11月の和解合意の順守状況を精査していることが明らかになりました。
- 和解合意への違反が認められた場合、過去の犯罪行為による再起訴や数十億ドル規模の追加罰金が科されるリスクがある点で注目されます。
- 米連邦検察は対イラン制裁違反取引の有無を調査しており、9月にはバイナンスを通じて資金洗浄されたとされる6,100万ドルの没収を求めています。
- バイナンス側はイラン主体との直接取引を否定して報道機関を名誉毀損で提訴する一方、法執行機関への協力を続ける方針を示しています。
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