自分だけのデジタル資産を証明できるとして話題を集めるNFT。
しかし、NFT化されたコンテンツの著作権はどう扱うのか知りたいという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回Pacific Metaマガジンでは、NFTの著作権について以下の点を中心に解説します✨
- NFTの基礎について
- NFTの著作権について
- NFTの著作権が侵害される場合について
最近話題のNFTについて、所有する前に著作権について理解しておきたい!という方にとって特にオススメの内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください❗️
NFTの基礎
まず初めに最近話題を集めているNFTの基礎的な部分を解説していきます。
NFTに興味はあるけど何から学べば良いか分からない、という方でもポイントを押さえて学ぶことができますので、ぜひ参考にしてください✨
NFTとは
そもそもNFTとは“Non-Fungible Token:代替不可能なトークン”を略した言葉です。
もう少し噛み砕いて説明すると、コンテンツの発行や譲渡の履歴が全て記録された唯一無二の電子データのことであり、偽造不可能なデジタル証明書となります。
偽造不可能なデジタル証明書
NFTはブロックチェーン技術によって、コンテンツの発行・譲渡・売買などデータに関する全ての情報が記録されているデータのことです。
全ての情報がありとあらゆるユーザー間で逐一記録されているため、一人のユーザーがNFTを偽造しようとしても他のユーザーの記録と突き合わせることで不正を簡単に暴くことができます。
この取引情報の透明性や偽造不可能という特徴から、NFTは偽造不可能なデジタル証明書として多く活用されています❗️
あらゆるデジタル作品に発行が可能
取引履歴を透明化して全て記録するNFTですが、実はありとあらゆるデジタル資産についてNFTを発行することが可能です。
アートや音楽、動画、写真、ゲームなど、マーケットプレイスで実際に取引されているNFTコンテンツには様々なものがあり、Twitter創設者の初めてのツイートもNFT化されて取引されました。
NFT=特殊なものと考えがちですが、大抵のデジタルコンテンツはNFT化できると考えて問題ありません。
NFTが紐づいたデジタル作品を指す言葉でもある
すでに説明したように、NFTとはブロックチェーン技術を基盤に発行された非代替性を持つデジタルトークンのことですが、NFT化されたデジタル作品そのものを指すこともあります。
厳密に言えば”NFT化されたデジタル作品”という表現の方が正確かと思われますが、伝われば特に問題ありませんので、あまり言葉の定義に振り回されず取引履歴などが全て記録されたデジタルコンテンツの総称、という程度に覚えておけば問題ありません。
NFTコンテンツとは
非代替性を持つデジタルトークンとして知られるNFTですが、NFT化されたデジタルコンテンツはNFTコンテンツと呼ばれ、専用のマーケットプレイスで自由に取引されることとなります。
NFTの紐づけにより商品化されたデジタル作品
NFTコンテンツとはNFTを発行して商品化されたデジタル作品を指す言葉です。
NFT化されたデジタルデータはどんな物であってもNFTコンテンツとして扱われることとなります。
自由に売買・転売が可能
NFTコンテンツは専用のマーケットプレイスに出品することで誰でも自由に売買することができます。
また、一度買ったNFTコンテンツは転売も可能であり、転売した履歴も全てNFTに記録されることになります。
市場規模が年々広がっている
NFTコンテンツはその特徴から様々なビジネスチャンスが期待されており、その市場規模は年々広がっています。
世界大手の調査会社であるマーケッツアンドマーケッツ社によれば、NFTコンテンツの市場規模は2022年の約4,196億円から2027年に約1兆8,782億円(約4.4倍)にまで成長すると予想されております❗️
NFTコンテンツ売買の事例
急速に市場拡大しているNFTコンテンツですが、実際に市場で取引されたコンテンツ例をいくつかご紹介します。
「Beeple」のNFTアート
デジタルアーティストの「Beeple」氏の作品「Everydays: The First 5000 Days」はNFTコンテンツで最も高額で取引されたアート作品として有名です。
世界で初めてのNFTアート作品だという作者の主張が話題を集め、驚異の75億円という高額落札に至りました❗️
「AmPm」のNFTミュージック
二人組の日本人アーティスト「AmPm」は、未公開楽曲の「Intro」をNFTコンテンツとしてオークションにかけたことで話題を集めました。
正式な落札価格はわかりませんが、「Intro」は世界で1枚だけの発行であったためオークションで20万円以上もの価格で落札されたようです✨
NFTコンテンツは日本ではあまり馴染みがないと言う方もいるかもしれませんが、実は積極的に取引しているアーティストもいたので驚きですね❗️
NFTに関する著作権の基礎
続いてはNFTに関する著作権について解説していきます。
NFTはまだまだ世間の理解が追いついていない技術でもありますので、NFTコンテンツを発行してみたい方や売買してみたい方は、予想外の著作権侵などが発生しないようにしっかりと理解しておきましょう❗️
NFTそのものは著作権の対象ではない
まず大前提として、非代替性トークンのNFTは著作権の対象外となります。
NFTとは作品に対して発行される証明書
NFTはデジタルデータがどのような取引がされてきたか、発行者は誰か、現在は誰が所有しているか、といった情報を記録/証明するデジタル証明書です。
あくまでも単なる証明書に過ぎないため著作物扱いにはならず、著作権の対象にはなりません。
NFTが紐づいている作品が著作権の対象
NFT化されたアートや音楽、動画、画像、ゲームといった作品は全て著作権の対象となります。
これまでのデジタルデータは著作権の主張が難しく、実質著作権がないも同然でしたが、NFT化により著作物としての証明が容易になりますので、現実世界と同じように扱えるようになりました。
このデジタルデータの著作権を証明できることこそがNFTの最大の特徴であり、ここに魅力を感じる企業が多く出現し始めているのが現状ということになります❗️
そもそも著作権とは
NFT化されたデジタルデータに著作権が適用されることは分かりましたが、そもそも著作権が適用されるとはどういうことでしょうか?
NFTが実現した著作権について、改めて解説していきます❗️
知的財産権の一種
著作権は創作物を保護する制度である知的財産権の一種です。
知的財産権には、発明を保護する特許権やロゴなどのマークを保護する商標権など様々な権利があります。
著作権は著作者の利益を守るため、作品利用について許可・禁止する権利として与えられます。
利益を守るため著作者が作品の利用を許可・禁止できる権利
著作権によって著作者は、自身の著作物(創作物)について他人が利用することを許可したり禁止したりする権利を獲得できます。
著作権がなければ、苦労して製作したものであっても他人が勝手に使うことを禁止できませんので、多くの人がわざわざ苦労してまで創作物を作ろうという気が起きなくなります。
しかし、著作権によって著作物の利用を許可・禁止できる権利が認められれば、創作意欲が刺激される創作者が増え、結果的に創作活動全般が活発に行われるようになります。
NFTによりデジタルデータの著作権も容易に主張できるようになったことで、デジタル世界での創作活動がこれまで以上に活発化することが期待されているのです。
著作権には複数の権利が含まれる
著作権は創作物の利用を許可あるいは禁止する権利として紹介しましたが、具体的に著作者が保護される権利について紹介していきます。
複製権
著作権の対象となる行為の一つ目は複製権で、その名の通り複製、すなわちコピーする権利です。
著作権によって保護された著作物は著作者が許可しない限りコピーすることができません。
上演・演奏権
上演・演奏権は著作物を公衆に見せたり聴かせたりする権利のことです。
著作物が演劇や音楽であれば、著作者の許可なしに複数の人向けに上演あるいは演奏することはできません。
上映権
上映権は映像形式の著作物を公に放映する権利です。
上映権で守られた映像を公共の場などの多数の人間が見れる状態で放映するには著作者の許可が必要になります。
公衆送信権・公の伝達権
公衆送信権・公の伝達権は著作物を公衆送信する権利のことです。
著作物をネット上にアップロードする場合やラジオなどで送信する場合は著作者の許可が必要になります。
展示権
展示権は著作物を公に展示する権利のことです。
アート作品などを大衆が見れる場所に展示する場合も著作権の対象となり、著作者の許可が必要になります。
頒布権
頒布権は著作物となる映画を複製物の譲渡または貸与により公衆に提供する権利のことです。
複製を許可された映画であっても他人へ配る場合は再度頒布の許可をもらう必要があります。
譲渡権
譲渡権は映画以外の著作物を譲渡により公衆に提供する権利のことです。
映画の提供は頒布権となりますが、その他の著作物の譲渡は譲渡権の対象となります。
なお、既に一度公衆へ提供された著作物であれば、二次的に譲渡しても問題ありません。
貸与権
貸与権は映画以外の著作物を貸与により公衆へ提供する権利です。
譲渡権や頒布権もあるため、基本的に著作物を貸与または譲渡の形で公衆へ提供するには著作者の許可が必要となります。
翻訳権・翻案権
翻訳権・翻案権は著作物の翻訳または翻案する権利のことです。
翻案は聞きなれない言葉ですが、編曲、変形、脚色、映画化などの行為が該当します。
要は著作物の姿形を少し変えて公衆へ提供する場合も著作者の許可が必要になります。
二次的著作物の利用権
二次的著作物の利用権は二次的著作物の利用について原著作者が二次所有者と同一の権利を持つことです。
少し言葉が難解ですが、要は著作物を翻案(姿形を変えること)して製作された著作物(二次的著作物)に対しても、翻案前の著作者が利用について許可・禁止できる権利のことです。
NFT売買とは著作権者が購入者に作品の利用を許可すること
著作権によって保護されている著作物であってもコンテンツの視聴であれば著作者の許可を受けずに行うことができます❗️
(不正に公開されているコンテンツの視聴は問題です)
正当に公開されているコンテンツをNFT化しても視聴は独占できませんので、NFT売買でやりとりしてるのはコンテンツの利用権であると言えます。
従来、デジタルコンテンツは著作者の証明が困難だったため複製や貸与、譲渡などが簡単に行われてきましたが、NFTを付与して販売することで、著作者が許可を出した人だけにコンテンツ利用を制限することが容易にできるようになりました。
NFTの著作権侵害が起きる2つのケース
NFTの登場によりデジタルコンテンツの著作権の主張が可能になりましたが、ここでNFTと著作権問題で混乱を招きやすいケースを2つ紹介します。
NFTが関わることで特殊な著作権侵害のケースもありますので、しっかりと理解しましょう❗️
1,他者の著作物のNFT化による著作権侵害
NFTコンテンツの著作権侵害として考える一つ目のケースは他社の著作物を勝手にNFT化する行為です。
NFT誕生前に出回ったデジタルコンテンツは製作者が分かり辛いため、ここに漬け込んで他人のデジタルコンテンツを勝手にNFT化し、自身の著作物であると主張する人が現れるケースが考えられます。
デジタル作品のNFT化は誰でも技術的に可能
まず、前提としてデジタルコンテンツのNFT化は誰でも可能であり、たとえ他人のコンテンツであってもNFT化することが可能です。
コンテンツのNFT化はNFT向けのマーケットプレイスに出品するだけで良く、NFT化するものが自身の製作物である証明等も不要です。
著作者以外のNFT化は著作権の侵害になる
NFTが誕生する前のデジタルコンテンツの弱みとして、コンテンツの著作者が分かり辛い点が挙げられます。
この点に漬け込んで他人の創作物を勝手にNFT化して販売する者が現れる可能性が考えられます。
しかし、たとえNFT化されていないデジタルコンテンツであっても、製作物である以上は著作権が存在するため、他人のコンテンツを許可なくNFT化する行為は立派な著作侵害に該当します。
NFTの誕生によりデジタルコンテンツの著作権証明が容易になったのは事実ですが、そもそもNFT化していない創作物にも著作権は存在することを覚えておきましょう❗️
2,NFTの不正利用による著作権侵害
続いて紹介するケースでは、NFT化されたコンテンツではなく取引履歴が記録されたトークンとしてのNFTの不正利用です。
NFTには馴染みのないという方も多い中ですので、著作権法上のNFTの取り扱いや位置付けについて理解しておきましょう。
基本的にNFTを購入しても作品の著作権(財産権)は移譲されない
著作権という権利はあくまでもコンテンツの著作者にのみ与えられる権利であり、販売した著作物であっても著作権自体は著作者に残ったままです。
デジタルコンテンツは複製が容易ですので、購入したコンテンツであれば複製しても良いと考えてしまう方もいるかもしれませんが、自身で生み出したコンテンツでない限り著作権はないと覚えておきましょう。
NFTの購入=著作権(財産権)における利用許可をもらうこと
NFTコンテンツの購入はコンテンツの利用権を買っているに過ぎません。
例えば音楽や映像であれば自由に視聴する権利、ゲームであれば遊ぶ権利、電子書籍であれば読む権利をそれぞれ購入しているに等しいです。
複製や貸与、譲渡のように著作権法で保護されている権利については購入していませんので注意しましょう。
許可されていない利用方法は著作権の侵害になる
著作権法で著作者が保護されている行為、すなわち複製や貸与、譲渡などは購入したNFTコンテンツであっても著作者の許可が必要です。
著作者の許可を取らずにこれらの行為を行うことは立派な著作権の侵害に該当します。
著作権に保護されている行為には映像や音声、画像などの配信行為も含まれますので、動画投稿サイトやSNS等へ無断アップロードしないよう注意しましょう❗️
NFTの利用で著作権侵害を起こさないためには
NFTコンテンツも著作権侵害になるケースがあることを紹介してきましたが、NFTの利用にあたって著作権侵害にならないようにするにはどうすれば良いでしょうか?
著作権侵害にならないための具体的な対策を2つご紹介します。
著作権の扱いについてNFTマーケットの利用規約を確認する
NFT利用における著作権侵害対策の一つ目は、取引を行うNFTマーケットの利用規約をしっかりと確認することです。
著作権侵害が発生した場合、著作者が迷惑を被るのは当然ですが、侵害が発生したマーケットも信用問題や法的手続きの発生など大きな迷惑を被ります。
そこで多くのマーケットでは、マーケット内で思わぬ著作権侵害が発生しないよう著作物の取り扱いについて具体的な利用規約を定めています。
著作権侵害をしないためにも、まずは自身が使用しているNFTマーケットの利用規約を十分に確認してから取引を行うようにしましょう❗️
個人として楽しむ目的以外の利用に関しては許可をもらう
NFTに関する著作権侵害対策の二つ目は、個人目的以外の利用について著作者の許可を得ることです。
NFTコンテンツの売買行為だけであればマーケットの利用規約に従う限り著作権を侵害する可能性は低いですが、一度購入したコンテンツの利用については自己責任となります。
購入者本人の個人的なコンテンツ利用以外の行為(他人への貸与、譲渡、公開など)を行う際は、必ず著作者に問い合わせて許可をもらうようにしましょう❗️
NFTの著作権関係の訴訟問題
NFTコンテンツの著作権について、一般的な内容や著作権侵害が起こりうるケースなどを紹介してきました。
ここでは更に理解を深めるべく、実際に発生したNFTコンテンツの著作権侵害の実例を紹介していきます❗️
「HitPiece」のNFT楽曲不正利用
大手NFT音楽プラットフォーム「HotPiece」が、アーティストの楽曲を許可なくNFT化して批判を集めました。
HotPieceは2020年に設立されたNFT音楽を配信する大手NFT音楽プラットフォームで、ベータ版をリリースした際に多数の楽曲をアーティストの許可なく勝手にNFT化して掲載/販売しました。
これに対し、多くのアーティストが同マーケットプレイスを強く批判し、マーケットは一時閉鎖にまで追い込まれました。
現在は楽曲をアーティストの許可なくNFT化しないような仕組みを導入し復活を遂げましたが、この事例は先に紹介した他人のコンテンツを勝手にNFT化して著作権侵害となったケースの実例と言えるでしょう。
映画「Pulp Fiction」データのNFT化
1994年公開の映画「Pulp Fiction」の脚本や未公開シーンを、同映画の監督がNFT化して販売を試み、著作権侵害にあたるとして訴訟されました。
「Pulp Fiction」はクエンティン・タランティーノ氏が監督を務め、ミラマックス社が製作・配給した作品です。
クエンティン・タランティーノ氏は同映画のオリジナル脚本の画像データや、未公開シーンについて、独断でNFT化して販売しようとしました。
これに対し、同映画の製作・配給を行なったミラマックス社が著作権や商標権の侵害にあたるとして訴訟を引き起こしました。
監督が自ら製作した映画をNFT化しようと試みた本事例は、一見すると問題ないように見受けられますが、映画の製作には多数のスタッフが関与しており監督は製作者の一員にすぎないため、著作権は製作チームおよび製作会社にあります。
NFT以前に、著作権についての理解が乏しいままNFTコンテンツとして販売しようとしたことが原因と思われる事例です。
音楽アルバム「Reasonable Doubt」のNFT化
米レコード会社ロッカフェラ・レコード「Roc-A-Fella Records」(以下RAF)の創業者デイモン・ダッシュ氏が、同社の共同創業者である人気ラッパーのアルバムをNFT化して販売しようとしたことを受け、同レコード会社に訴訟を受けました。
RAFは、デイモン・ダッシュ氏、Jay-Z氏、カリーン・バーク氏の3名によって1995年に設立されたレコード会社であり、共同創業者となる3名が同社の株式を3分の1ずつ保有しています。
共同創業者の1人であるデイモン・ダッシュ氏は、RAFの共同創業者にあたる人気ラッパー「Jay-Z」氏のファーストアルバム「Reasonable Doubt」を勝手にNFT化して販売しようと計画しました。
これに対しRAF社は、デイモン・ダッシュ氏にはアルバムに関する著作権がないため、会社の許可なしに販売はできないとして著作権侵害を訴えました。
こちらの事例も、NFTに対する知識以前に著作権に対する認識が甘かったことによる著作権侵害の事例と言えます。
NFTの著作権に関する誤解
NFTコンテンツに関する著作権について基本的な内容を理解できたところで、NFTの著作権に関するよくある誤解について解説していきます。
先ほどの事例紹介からもわかるように、著作権に関する法律の知識が甘いと思わぬ著作権侵害を起こしかねないため、落とし穴になりうる誤解は早めに解消しておきましょう❗️
NFTに所有権は発生しない
これまで述べてきた通り、NFTの誕生に伴いデジタルコンテンツの発行者や取引の履歴などが容易に分かるようになり、著作権の主張が容易になりました。
これを受け、NFT化されたデジタルコンテンツについて所有権も主張することができるようになったと思われる方もいるかもしれませんが、例えNFT化されてもデジタルコンテンツに所有権が発生することはありません。
所有権については民法206条で定められていますが、同法における「物」の定義は民法85条で以下のように定義されています。
つまり、所有権について定めた民法では、所有権の対象となる「物」は物理空間に存在する必要があり、NFTやNFTコンテンツのようなデジタルコンテンツは民法の適用を受けない対象となります。
ただし、NFTコンテンツをはじめとするデジタルコンテンツに所有権が発生しないのは、2022年8月現在の民法の定義によりますので、今後の民法改正によって対象になりうる可能性も視野に入れておきましょう❗️
NFTの「ロイヤリティ」と「著作権使用料」は別
NFTコンテンツを売買すると、NFTコンテンツの著作者には利益が発生します。
発生する利益のうち、マーケットプレイスが支払う「ロイヤリティ」とサービス利用者が支払う「著作権使用料」について混同を招きやすいですが、これらは全く異なる料金です。
通常、コンテンツを取引した際の利益は売り手にしか入りません。
たとえ著作者であっても、自身が取引に関わらない二次以降の取引で著作者が利益を得ることはありません。
これに対し、著作者の利益を保護する目的で各マーケットプレイスが定めたものがロイヤリティで、著作者が直接関わらない取引でもマーケットプレイスが定めた割合の利益が著作者に還元されます。
一方、著作権使用料とは著作権を保有している企業や個人が著作物の使用に対して自ら定めた使用料のことです。
書籍や楽曲の販売数に応じて、同コンテンツの著作者に支払われる印税も著作権使用料に該当します。
これらの料金は定めている人物や組織、目的が異なりますので、売買を行う前に各規約などを十分に確認し、支払い漏れなどがないように気をつけておきましょう❗️
NFT売買は著作権を譲渡するケースもある
先の説明において、NFTコンテンツを売買することはあくまでもコンテンツの利用権利を売買しているに過ぎず、著作権は著作者にあると説明してきました。
しかし、売買契約において著作権の譲渡も行う旨を書面等で明確に示し、著作権譲渡を行うケースもあります。
具体的な例として、アーティストの楽曲を所属事務所などが著作権も含めて買い取る場合などです。
この場合、たとえ楽曲を制作したアーティスト本人であっても、所属事務所に著作権を譲渡した以上は、楽曲を公に歌う場合などは所属事務所の許可を取る必要があります。
ただし、あくまでも取引の中で著作権譲渡を行うことを書面等の残る形で明確に示すことが重要ですので、売買取引を行う際は十分に確認するようにしましょう❗️
NFTの著作権についてまとめ
今回Pacific Metaマガジンでは、最近話題を集めるNFTの著作権問題について、以下の内容を中心に解説してきました❗️
- NFTの基礎について
- NFTの著作権について
- NFTの著作権侵害に関するケーススタディ
NFTコンテンツはアートやゲームなどの分野で稼げる可能性が高く注目を集めており、これからNFT取引に参入しようと考える方も多いと思います。
思わぬところで著作権侵害を起こさないよう、今回の記事をしっかりと理解し、安全に取引していきましょう❗️