2023年8月17日21時、中国市場でのWeb3(仮想通貨)に特化したメディア「Odaily」でのX(Twitter)スペースに、株式会社HashPort CEOの「吉田 世博」さんが登壇しました!
このレポートでは、8月17日に開催された「Odaily AMA〜世界のブロックチェーンゲームの洞察〜」での「吉田 世博」さんがお話されたパートをレポートとして紹介します。
今回のAMAは
- ブロックチェーンゲームへ注力している理由
- ブロックチェーンゲーム大量導入にて直面している課題
- 今後、ブロックチェーンゲームの普及を促進させるために必要なこと
- 盛り上がりをみせたP2Eゲームが落ち着いた理由
- 持続的可能なP2Eゲームモデルについて
- THE LAND〜エルフの森〜と他のブロックチェーンゲームの違い
- 日本市場におけるブロックチェーンゲームの発展に関するトレンド、イノベーション
をお話されました。
AMAの内容を今一度振り返ってみましょう。
Odaily AMA〜世界のブロックチェーンゲームの洞察〜の概要
「Odaily AMA」の概要は以下のとおりです。
- 日時:8月17日21時 (日本時間)
- 場所:Twitterスペース(アーカイブ):https://twitter.com/i/spaces/1PlKQpbyajVxE?s=20
- リスナー:2,000人超
- リスニング:55,000再生
モデレータ
- Derekさん(Odaily)
スピーカー
- 吉田 世博さん(HashPort)
- Yawn Rongさん(Find Satoshi Lab)
- Jingyu Xiangさん(YGG Ventures)
- Jennyさん(Animoca Ventures)
Odaily AMA〜世界のブロックチェーンゲームの洞察〜の内容
「Odaily AMA」の内容を紹介していきます。
はじめに
ーー自己紹介と、ブロックチェーンゲームに注力している理由を説明してください。
吉田 世博さん(以下、吉田 世博):私は、株式会社HashPortの吉田 世博です。
ブロックチェーンゲームに注力している理由は、単にゲームとしての楽しみを提供するだけでなく、プレイヤー間での経済圏を構築する可能性を秘めているからです。
従来のゲームでは考えられなかった、アセットの所有や取引、さらにはゲーム間でのアセットの相互運用性といった新しいゲームプレイが可能になります。
また、ブロックチェーン技術は透明性とセキュリティを高めることで、ゲーム内のアイテムや通貨の価値を確立し、プレイヤーの努力や時間を報われる形に変えています。
日本では、Play to Earn型のゲームはまだまだ発展途上で、法規制の難しさなどのハードルが存在しています。
特に、日本独自の法規制は多くのプレイヤーたちがこの新しいゲームの形式にアクセスするのを困難にしています。
しかし、私たちはこれらの挑戦を乗り越え、安全かつ楽しいゲーム環境を日本の皆様に提供することが、ブロックチェーンゲームの真の可能性を引き出す鍵になると信じています。
私たちは、日本発のゲームがこの新しい波に適応し、ブロックチェーン技術を最大限に活用して、世界中のプレイヤーに新しい体験を提供することを目指しています。
ブロックチェーンゲーム普及の課題
ーーブロックチェーンゲームを大量に導入する際、直面する課題とはなんだと思いますか?
吉田 世博:ブロックチェーンゲームを大量に導入する面での課題は以下が挙げられます。
まず、参入障壁の高さです。
現状、ブロックチェーン技術や仮想通貨に関する知識を求められることが多く、一般ユーザーにとっては難易度が高いと感じることがあります。
ウォレットのセットアップ、トランザクションの理解、ガス代の支払いなど、従来のゲームにはないステップが増えています。
次に、教育の必要性です。
ブロックチェーン技術が持つ多くのメリットやその安全性、更にはプレイヤーがもつ権利に関する情報が十分に伝わっていないのが現状です。
教育不足が原因で、ブロックチェーンゲームについての知識や理解が足りず、詐欺の被害に遭うといったリスクへの懸念も抱えています。
更に、法規制があります。
多くの国でブロックチェーンや仮想通貨に関する規制が進められており、これに適応するための取り組みや、変更される法律に対応する必要があります。
今後、ブロックチェーンゲームの普及を促進させるために必要なことは、以下の3つがあげられます。
- ユーザーエクスペリエンスの向上
- コラボレーションによる普及
- エンゲージメント
1つ目のユーザーエクスペリエンスの向上は、直感的で使いやすいインターフェースを持つウォレットやゲームプラットフォームの開発が重要です。
ブロックチェーン技術の複雑さをバックグラウンドに隠し一般ユーザーも簡単にゲームに参加できる環境の整備が必要です。
2つ目のコラボレーションによる普及は、既存の大手企業やブランドとの協力により、ブロックチェーンゲームの魅力や可能性を広く伝えることです。
3つ目のエンゲージメントは、ゲームプレイヤーがリアルな報酬やインセンティブを受け取れるゲームは、従来のゲームよりも高いエンゲージメントを生む可能性があります。
この要因が新しいユーザーや投資家を引き寄せる要因となるでしょう。
結論として、ブロックチェーンゲームの普及と成功は、技術的な進歩だけでなく、ユーザーエクスペリエンスの向上や市場の教育、そして業界全体のコラボレーションが必要だと思います。
盛り上がりをみせたP2Eゲームが落ち着いた理由
ーー時期盛り上がりをみせていたP2Eゲームは落ち着いたように見えますが、この理由は何だと思いますか?
吉田 世博:P2Eのモデルは、その根本に革新的な要素を持っており、多くの人々が高い期待を持っていました。
しかし、実際に市場で見られるP2Eのゲームは、多くのものが一時的なブームで終わってしまう傾向があります。
その背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、初期のP2Eゲームの参加者の多くはトレーダー層であったということが考えられます。
これは、トレーダーが主に利益を追求する目的でゲームに参加し、稼いだ(Earn)アセットをすぐに市場に売却する傾向が強かったため、ゲーム内でのアセットの循環が滞ってしまいました。
この結果、ゲームのエコノミーが健全に成長することが難しくなりました。
さらに、P2Eのゲームの中には、クオリティや運営力が低いものも多く見られました。
これは、短期間で利益を上げることを目的とした、いわゆる「ポンジスキーム」的なゲームであり、こういったゲームが増えてしまった結果、ユーザーの信頼を失ってしまった面もあります。
ゲームとしての楽しさや魅力が後回しにされ、利益の追求だけが先行してしまった結果、長期的な持続性が確保されなかったのです。
また、外部からの資金の流入が限られていたことも、P2Eゲームの持続性を損なう要因となりました。
P2Eのゲームエコノミーは、新しいプレイヤーや資金の流入に支えられる部分が大きいため、その流れが滞るとゲームの健全な運営が難しくなります。
持続可能なP2Eゲームモデルについて
ーー持続可能なP2Eゲームモデルを構築する鍵は何だと思いますか?
吉田 世博:持続可能なP2Eゲームのモデルを構築するための鍵は、ゲームの品質とエコノミーの健全性を確保することです。
具体的には、利益を追求するトレーダー層だけでなく、ゲームを純粋に楽しむためのweb2のユーザー層をターゲットにし、彼らにとって魅力的なゲーム体験を提供することが必要です。
そして、稼ぎ(Earn)と消費のサイクルを確立し、広告収入やスポンサーシップ、コラボレーションなどを通じて、外部からの資金流入を持続的に確保することです。
これにより、P2Eゲームが長期的に健全に成長し、真の意味での革新的なゲームモデルとして確立されることを期待しています。
THE LAND〜エルフの森〜と他のブロックチェーンゲームの違い
ーー日本における次のIEOプロジェクトとして、THE LANDのゲームが始まると聞きました。他のブロックチェーンゲームとの違いを紹介していただけますか?IEOを開始するということは、THE LANDが日本初の国内規制に対応したPlay-to-Earnゲームになるということでしょうか?
吉田 世博:THE LANDについてお話させていただくと、私たちは日本での規制に対応したPlay-to-Earn型のメタバースゲームの実現に挑戦しています。
我々のコンセプト「Metavers with Destination」は、ゲーム体験の深化と独自性を追求しています。
具体的には、ファーミング、ソーシャル、クリエイティブの3つの要素を中心に設計されています。
1つ目のファーミングは、プレイヤーは作物の育成や街の発展を通じてトークンを獲得できる仕組みを取り入れています。
このシステムは、プレイヤーがリアルマネーを使わずとも、ゲーム内での努力や時間を通じて収益を得ることができます。
一攫千金を目指すプレイヤーから、じっくりとゲームを楽しむユーザーまで、幅広い層に訴求する要素を持っています。
2つ目のソーシャル要素は、プレイヤー同士の交流が深化するような機能を数多く取り入れています。
大会や協力プレイ、リアルタイムチャットなど、プレイヤーが共同でゲームを楽しむための仕組みが充実しています。
これにより、単なるゲーム以上のコミュニティの形成を目指しています。
3つ目のクリエイティブ要素は、THE LANDは、外部のクリエイターやパートナーとの連携を前提としており、パートナーによる独自のコンテンツをゲーム内で提供・展開することが可能です。
これは、ゲームの持続的な発展と多様性を保つための重要なステップであり、プレイヤーに絶えず新しい体験を提供するための方針となっています。
総じて、THE LANDはただのゲームではなく、新しいデジタルを用いた新生活の一部としての役割を果たしていくことを目指しています。
日本市場のブロックチェーンゲーム領域の発展、トレンドとは
ーー日本市場におけるブロックチェーンゲーム領域の発展について、関連するイノベーションとトレンドを紹介してください。
吉田 世博:今後のトレンドとしてSBTやソウルマイニングシステム(SMS)、投機トレーダー勢を完全排除する「アンチ・トレーダー・フィールド(AT-Field)」が挙げられます。
SBTとは、譲渡不可能なNFT(非代替性トークン)のことで、証明書や貢献度を表現するために使われます。
ゲームへの貢献度を証明して恩恵を受けたり、ゲーム間またはプラットフォーム間での相互運用性を高めることも可能となる技術です。
弊社としてもSBTの技術は多くのプロジェクトに今後採用していく予定であり、SMBC様と協業で行っている社員証SBTや万博ウォレットにおいてもサービス拡大の一環として入れ込んでいきます。
さらにはTHE LANDにおいても、今後SBTを関連させた機能をリリースする予定ですので、楽しみにお待ち下さい。
続いて、ソウルマイニングシステム(SMS)ですが、これは、ゲームで稼いだトークンのうち、運営が設定した閾しきい値を超えるものについて、自動的にUSDC等の他のトークンに変換され、NFTに紐付いたトレジャリーに貯められていく仕組みです。
そうすることで報酬の過剰供給を防ぎ、NFTに裏付け資産をつけることができます。
THE LANDのプロジェクトにおいてこの仕組みを用いる予定はありませんが、今後出てくるBCGの中にはSMSの仕組みを用いて自身の所有するNFTの価値が飛躍的に高まって価値が担保され続けるようなプロジェクトが出てくるのではないかと考えています。
最後にAT-Fieldについてですが、これはユーザーがゲームをプレイして獲得したユーティリティトークン以上のトークン量を売れないようにすることです。
そうすることでゲームをプレイせず、キャピタルゲインだけを狙うトレーダーを排除することができます。
この仕組みのメリットはなによりも価値あるプロジェクトのエコシステムがトレーダーたちによって破壊されるのを防ぎ、寿命が飛躍的に伸びることだと考えています。
ただし、トレーダーたちが全く入ってこないことは初動の爆発的な動きを出しづらいことにも繋がるため、完全に排除するのではなく一部のみ制約をかけるなどの調整を行って、動きを制限しすぎないことが初動の波を生み出しプロジェクトを発展させていく点と健全なエコシステムを生み出す点で重要ではないかと個人的には考えています。
Odaily AMA〜世界のブロックチェーンゲームの洞察〜についてまとめ
今回のAMAは、Web3業界を牽引する企業の豪華なメンバーがスピーカーとして参加し、2,000人以上がAMAを視聴しました。
株式会社HashPort CEO吉田 世博さんのブロックチェーンゲームの洞察、自社のゲームコンテンツであるTHE LAND〜エルフの森〜の魅力について深く学べる内容でした。
THE LAND〜エルフの森〜にSBTを関連させた機能をリリース予定なので楽しみですね。今後もブロックチェーンゲーム領域の展開に注目していきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
アーカイブはこちらをご視聴ください。
https://twitter.com/i/spaces/1PlKQpbyajVxE?s=20