今週、世界のWeb3業界に大きなインパクトを与えるニュースが立て続けに報じられました。特に、世界経済の中心である米国で、デジタル資産市場のルール作りが急速に進展しています。国際決済のあり方を根底から変える可能性を秘めた「ステーブルコイン規制法案」が、トランプ大統領の署名でついに成立しました。
一方、国内に目を向ければ、業界団体から暗号資産の税制改正を求める強い声が上がるなど、日本市場の本格的な離陸に向けた動きも活発化しています。
これらのニュースは、もはや「対岸の火事」や「一部の技術好きの話」ではありません。本記事では、最新動向の裏側にある文脈を読み解き、皆様が具体的なビジネスアクションに繋げるためのインサイトをお届けします。
「Web3って何ができるの?」「ブロックチェーンは自社ビジネスに本当に役立つの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。Pacific Metaでは、各社の要望や課題に応じてカスタマイズしたWeb3コンサルティングを提供しています。以下のようなご相談をお受けしております。
- Web3技術の活用方法がわからない
- ブロックチェーン導入の費用対効果を知りたい
- NFTを活用したマーケティング施策を検討している
- グローバル展開におけるWeb3活用のアドバイスが欲しい
個別相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
今週のピックアップニュース
今週特に注目すべきは、Web3が技術的な実験段階から、社会のルールやビジネスの基盤へと実装されるフェーズに入ったことを示す3つのニュースです。米国の法整備、日本の税制改正への期待、そして国民的イベントでの新技術活用。これらの動きが、貴社の事業にどのようなチャンスと課題をもたらすのか、解説します。
米国、ステーブルコイン規制法案が成立。デジタルドル時代の幕開けへ

7月19日、トランプ米大統領の署名をもって、米国でステーブルコインの発行や監督に関する包括的な規制法案が成立しました。この法案は、銀行およびノンバンク(銀行以外の事業者)がステーブルコインを発行する際のルールを明確化し、準備資産の管理や消費者保護を強化するものです。
米国のデジタル資産市場における規制明確化の大きな一歩となります。
■ パシメタ編集部のコメント
このニュースの核心は、「信頼できる米ドル」が、ブロックチェーン上を瞬時に、かつ安価に駆け巡る未来が現実味を帯びてきた点にあります。これまで曖昧だったルールが明確になることで、大手金融機関やグローバル企業が本格的にステーブルコイン決済を採用する上での最大の障壁が取り払われようとしています。
特に注目すべきは、国際貿易やサプライチェーンにおけるクロスボーダー決済へのインパクトです。現在、海外への送金には数日間の時間と数パーセントの手数料がかかるのが当たり前ですが、法的に準拠したステーブルコインが普及すれば、このプロセスが劇的に効率化される可能性があります。
暗号資産の分離課税をJBAが政府に要望、Web3市場拡大の起爆剤となるか

一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)は2025年7月18日、暗号資産の売却益に分離課税(一律20.315%)と損失繰越控除の導入を求める2026年度税制改正要望を政府へ提出しました。現行の総合課税では最大55%の高税率や煩雑な確定申告が個人参入を阻んでいると指摘し、制度整備によるWeb3産業拡大を訴えています。
■ パシメタ編集部のコメント
「税金の話は、個人投資家向けだろう」と考えるのは早計です。この税制改正の行方は、日本国内でWeb3関連ビジネスを展開するすべての企業にとって、事業環境を左右する極めて重要な要素です。
仮に分離課税が実現すれば、個人の暗号資産取引への心理的・経済的ハードルが大きく下がり、市場参加者が増加します。これは、Web3サービスの潜在的な顧客層が拡大することを意味します。例えば、自社でNFTを活用したマーケティングや、暗号資産決済の導入を検討する際、その対象となるユーザー基盤が厚くなります。
さらに重要なのは、市場の流動性向上が期待できる点です。取引が活発になれば、企業がセキュリティトークン(デジタル証券)を発行して資金調達を行う(STO)際の環境も改善されます。これは、伝統的な株式や社債に加わる、新たな資金調達オプションがより身近になる可能性を示唆しています。
大阪万博で「譲渡できないNFT」が活躍、ミャクミャク撮影券に採用

HashPortは、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」との記念撮影に参加できる権利を、譲渡不可能なNFTである「SBT(ソウルバウンドトークン)」として発行します。このSBTは、イベント公式アプリを通じて毎日抽選で30組に配布され、特別な体験への参加を証明するデジタルチケットとして機能します。
■ パシメタ編集部のコメント
「NFT」と聞くと、高額で売買されるデジタルアートを連想しがちですが、この事例の鍵は「譲渡不可能(SBT)」という点にあります。これは、投機目的ではなく、顧客とのエンゲージメント(絆)を深めるためのツールとして、Web3技術が新たな可能性を拓いていることを示す好例です。
譲渡できないからこそ、その権利や証明は、手に入れた「その人だけのもの」になります。今回の万博の例では「ミャクミャクと撮影した」という特別な体験の証明書です。SBTは、顧客一人ひとりの行動や貢献をブロックチェーン上に記録し、「消えないデジタルな顧客台帳」として機能します。これにより、企業は真のファンを可視化し、彼らとの永続的で特別な関係を築くことができます。
Pacific Metaでは「Web3領域での事業開発に課題を抱えている」「ブロックチェーン技術を事業に取り入れたいがどう活用すべきか分からない」企業様を包括的にサポートします。ブロックチェーンやNFTといったWeb3技術を活用した新規事業の立ち上げから、市場ニーズに適合した事業企画の策定から実行まで、トータルでご支援いたします。Web3を活用した新規事業展開をご検討中の方は、ぜひご連絡ください。
⇒ サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちらから
⇒ CASIO様との海外展開実証事例|詳細資料はこちらからダウンロード
週間のダイジェストニュース
その他、今週見逃せないWeb3関連の動きをダイジェストでお届けします。社会インフラの維持管理、決済プラットフォームの技術選定、そしてゲーム業界の最新トレンドなど、他業界の事例から自社ビジネスへの応用ヒントを探ります。
ゲームでインフラ点検、NTTグループとDEAが「DePIN」実証に着手

ゲームをプレイすることで報酬が得られるサービスを手掛けるDEA社は、NTT-MEと連携し、社会貢献型ゲーム「PicTree」を用いた実証実験を開始します。
ユーザーはゲーム感覚で電信柱などの社会インフラを撮影・投稿することで、報酬として暗号資産を得られます。今回は岩手、宮城、福島、新潟の4県を対象とし、収集したデータをインフラ点検の効率化に活用することを目指します。
■ パシメタ編集部のコメント
これは「DePIN(分散型物理インフラネットワーク)」という、Web3の注目分野における国内の具体的な社会実装例です。このモデルの核心は、これまで専門業者に頼らざるを得なかった広範囲の現地調査やデータ収集といった業務を、ゲームと報酬の力で不特定多数の個人に担ってもらう点にあります。
「人手不足で、全国の〇〇を定期的にチェックするのが大変だ」「データ収集のコストが事業を圧迫している」——。もし貴社がこのような課題を抱えているなら、このニュースは大きなヒントになります。
決済大手PayPalとの提携期待でアービトラム価格が上昇、高まるL2技術の重要性

イーサリアムの処理能力を向上させるレイヤー2技術「アービトラム(Arbitrum)」のネイティブトークン価格が急騰しました。これは、世界的な決済大手であるペイパルが発行する米ドル連動のステーブルコイン「PYUSD」が、近くアービトラムのブロックチェーンネットワークに対応するのではないか、という市場の強い期待が背景にあります。
■ パシメタ編集部のコメント
「なぜ、有名なイーサリアムをそのまま使わないのか?」——このニュースは、Web3サービスを事業として検討する上で極めて重要な「技術選定」の問題を浮き彫りにしています。イーサリウムは信頼性や分散性の面で優れていますが、交通量の多い一般道のように、取引が混み合うと処理の遅延や手数料(ガス代)の高騰といった問題が発生します。
ペイパルのような巨大決済企業が、数億人のユーザーを相手にサービスを提供する上で、この問題は致命的です。そこで注目されるのが、一般道(イーサリアム)の渋滞を避けるための高速道路、すなわち「レイヤー2(L2)」技術です。アービトラムはその代表格であり、高速かつ低コストな取引を実現します。
Web3ゲーム新作「ROM: Golden Age」、事前登録者100万人超えで期待の高さ示す

韓国の大手ゲーム会社WEMADEが開発する、Web3技術を全面的に採用した新作オンラインRPG「ROM: Golden Age」の事前登録者数が、全世界で100万人を突破しました。ゲーム内で手に入れたアイテムがNFTとして個人の資産となり、取引できるといった新しいゲーム体験に対する、ユーザーの高い期待がうかがえます。
■ パシメタ編集部のコメント
このニュースは、ゲーム業界に留まらない普遍的な示唆に富んでいます。それは、「ゲーミフィケーション(ゲームの要素の導入)」とWeb3の「インセンティブ設計」を組み合わせることの強力さです。
従来のサービスにおけるポイントプログラムと何が違うのか。決定的な違いは、ユーザーが得る報酬が、単なる値引き券ではなく「資産性」を持つ点です。ゲーム内で苦労して手に入れたアイテム(NFT)が、自分のデジタル資産となり、外部のマーケットで売却して現実のお金に換えることすら可能になります。
まとめ
今週のニュースを俯瞰すると、Web3が単なる技術トレンドから、グローバルなビジネスのルールや社会インフラそのものへと進化・実装される大きな転換点にあることが鮮明になりました。
米国でのステーブルコイン法案成立は、国際的な「決済の新しい常識」が生まれつつあることを示しています。一方で、国内の税制改正要望は、日本市場が本格的に離陸するための滑走路整備に向けた動きです。そして、万博でのSBT活用や、DePIN、Web3ゲームの事例は、そうした環境整備の上で花開く、具体的なビジネスモデルの姿を私たちに見せてくれます。
「Web3って何ができるの?」「ブロックチェーンは自社ビジネスに本当に役立つの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。Pacific Metaでは、各社の要望や課題に応じてカスタマイズしたWeb3コンサルティングを提供しています。以下のようなご相談をお受けしております。
- Web3技術の活用方法がわからない
- ブロックチェーン導入の費用対効果を知りたい
- NFTを活用したマーケティング施策を検討している
- グローバル展開におけるWeb3活用のアドバイスが欲しい
個別相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。