Web3やWeb3の資金調達についてご存じの方はそれほどいないのではないでしょうか。
本記事では、Web3の資金調達について以下の点を中心にご紹介します!
- Web3の資金調達の種類
- Web3で資金調達するときのコツ
- Web3の資金調達におけるリスク
Web3の資金調達について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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これまで100件以上のプロジェクト支援して培ったノウハウをもとに、Web3業界の最新情報や、支援事例など、課題解決に役立つ情報をお届けします。
Web3とは?
Web3とは、インターネットの概念で、「次世代インターネット」や「分散型インターネット」とも称されます。従来のインターネットの利用では、GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)などの大手企業が提供するプラットフォームを使用するのが主流でした。しかし、これらのプラットフォームは、管理者の定めたルールに基づいて利用が制限されることがありました。
Web3の特徴は、特定のプラットフォームに依存しない非中央集権型の技術、特にブロックチェーンを活用することで、情報を分散化して管理できる点にあります。これにより、個人間でのコンテンツのやり取りや送金などが可能となり、従来の中央集権的な制約から解放される可能性が広がっています。
Web3の資金調達の種類
Web3の資金調達の種類を、以下で紹介します。
トークンセール
Web3の資金調達方法の中で「トークンセール」は非常にポピュラーな手法となっています。トークンセールは、新しいプロジェクトやサービスのための資金を集めるために、特定のトークンを公開販売する方法です。トークンセールにはいくつかの形式があり、主に3つのカテゴリーに分けられます。
IEO(Initial Exchange Offering)は、取引所が仲介役となってトークンを販売する方法です。
IDO(Initial DEX Offering)は、分散型取引所を使用してトークンを販売する方法であり、ICO(Initial Coin Offering)は、暗号資産ブームの際に人気があったトークン販売の形式です。
これらの方法は、プロジェクトやサービスの初期段階での資金調達に役立ち、多くのWeb3プロジェクトがこれらの手法を利用しています。
SAFE
「SAFE(Simple Agreement on Future Equity)」は、Web3の資金調達の方法の1つとして知られています。この手法は、2013年にシリコンバレーの名門アクセラレータによって考案されました。SAFEは、将来の株式に関するシンプルな合意として理解され、一般的な株取引でも使用されています。
この方法の特徴として、トークン以外の収入源を持てるというメリットが挙げられます。従来の資金調達方法より、柔軟性と効率性を兼ね備えた手法として、多くのスタートアップや事業者に採用されています。
SAFT
「SAFT」とは、Simple Agreement for Future Tokenの略で、将来発行されるトークンを割安で購入する権利として資金を調達する方法を指します。この手法はWeb3プロジェクトの資金調達において一般的に利用されています。
例えば、UniswapやCompound、Nearなどの主流のプロジェクトの多くがSAFTを通じて資金を集めています。SAFTの大きな特徴として、トークンのローンチ前に資金を調達できる点が挙げられます。これにより、プロジェクトの開発資金として使用することが可能となります。
また、SAFTの契約書のテンプレートは公開されているため、詳細な条項の交渉が不要となり、効率的な資金調達が可能となっています。ただし、SAFTにはトークンの発行前に締結され、出資者はトークン生成イベント(TGE)でトークンを取得する流れとなります。この手法は、2017年頃のICO(Initial Coin Offering)ブームの後、トークンが証券として認識されるリスクを回避するために開発されました。
Grant
「Grant(グラント)」は、Web3の資金調達手法の1つとして注目されています。グラントは、日本語で「競争的資金」や「助成金」と同義で、主にテクノロジー関連の研究開発を支援するための資金調達方法です。この手法は、オープンソース(OSS)のカルチャーを背景に生まれ、OSSのプロジェクトを収益化・スケールさせるための資金調達方法として確立されました。
特徴的な点として、調達金額の範囲が広く、数百万円から数億円に及ぶことがあります。また、株式を取得することなく資金を提供するため、企業の議決権に影響を与えず、法的な制約も少ないのが魅力です。
調達の流れとしては、公募制を採用し、書類審査を経て、資金提供者との面談が行われることが一般的です。資金提供の際には、マイルストーンを設定し、その達成度に応じて資金が支払われる仕組みとなっています。
Web3の技術について
Web3には様々な技術があります。ここからはWeb3の技術について詳しく解説していきます。
メタバース
メタバースは、Web3のトレンド技術の1つとして注目されています。メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間を指し、新型コロナウイルスの影響やオンラインコミュニケーションの進化により、その存在が強調されています。
この仮想空間では、利用者はアバターとして参加し、現実世界に近いコミュニケーションや活動が可能です。例えば、ゲーム内での交流やバーチャルイベント、バーチャルオフィスとしての利用などが挙げられます。メタバースは、現実とデジタルが融合した新しい空間として、今後のインターネットの進化において中心的な役割を果たすと予想されています。
NFT
NFT(Non-Fungible Token)は、Web3の技術領域で注目を集めているトピックの1つです。NFTは「代替不可能なトークン」とも呼ばれ、デジタルデータに固有のIDを割り振ることで、そのデータの唯一性を保証します。これにより、デジタルアートやゲームアイテム、ライブチケットなどのデジタル資産に資産価値を持たせることが可能となりました。
従来、デジタルデータは容易に複製やコピーが可能でしたが、NFTの導入により、ブロックチェーン技術を活用して偽造や改ざんがほぼ不可能となりました。この技術の進展により、デジタルコンテンツの所有権や著作権の管理、取引が革命的に変わると期待されています。NFTは、クリエイターやアーティストが自らの作品を直接市場に出せる新しい機会を提供し、従来の中間業者を排除する可能性も秘めています。
DeFi
DeFiは「分散型金融」という意味を持ち、ブロックチェーン上での金融取引を指します。従来の金融システムでは、銀行や政府などの中央機関を通じて取引が行われていましたが、DeFiではこれらの中央機関を必要とせず、ブロックチェーン技術を活用して取引が行われます。特に「スマートコントラクト」という技術を用いることで、取引が自動的に記録や承認される仕組みが実現されています。
このため、仲介者を介さずに取引をすることが可能で、時間や手数料の削減が期待されています。DeFiの登場により、金融のアクセス性が向上し、従来の金融システムに参加できなかった人々も取引をすることが可能となりました。
SocialToken
Web3の技術トレンドとして、SocialTokenも注目を集めています。SocialTokenは、特定の個人やグループに関連付けられた独自のデジタル通貨を指します。このデジタル通貨を使用することで、関連するコミュニティのイベントや活動に参加することが可能となります。
例えば、特定のアーティストやクリエイターが自らのファンコミュニティのためにSocialTokenを発行することで、ファンとの新しい形のエンゲージメントや経済的な関係を築けます。これにより、ファンはアーティストの活動を直接サポートできるだけでなく、特別なイベントへのアクセスや限定コンテンツの提供など、独自の価値を享受することが可能となります。
Web3で資金調達するときのコツ
ここからは、Web3で資金調達するときのコツを紹介していきます。
チームの団結力をアピール
Web3での資金調達において、チームの団結力や結束力は非常に重要な要素となります。Web3の領域はまだ新しく、多くの未開拓の事業領域が存在します。そのため、同じチーム内でアイデアを出し合い、事業を進める能力は投資家からの信頼を得るための鍵となります。
資金調達を目指す際、チームがどれだけ結束しているのか、どれだけのスキルや専門知識を持っているのかをアピールすることは必須です。また、チームの構築やその強さを示すことで、投資家はそのプロジェクトの成功の可能性を高く評価するでしょう。
したがって、Web3の領域での資金調達を成功させるためには、チームの強さや結束力を強調し、その価値をしっかりと伝えることが不可欠です。
事業コンセプトを明確にしておく
Web3の領域で資金調達をする際の重要なポイントとして、事業コンセプトの明確性が挙げられます。Web3はまだ発展途上の分野であり、そのため漠然としたイメージで事業を始めると、途中で資金が不足し、事業を継続することが難しくなる可能性が高まります。
資金調達を成功させるためには、事業のコンセプトやビジョンを明確にし、それを投資家や関係者に伝えることが不可欠です。明確な事業コンセプトは、方向性を示し、チームのモチベーションを高めるだけでなく、投資家からの信頼を得るための重要な要素となります。
事業の目的や目標、そしてそれを達成するための戦略や計画をしっかりと策定し、それを基に資金調達を進めることが、Web3の領域での成功への鍵となります。
Web3の注意点
Web3には注意する点もいくつか存在します。見ていきましょう。
時間がかかる
従来のビジネスモデルより、Web3のプロジェクトは新しい技術やコンセプトを導入し、セキュアなプラットフォームを構築するために、時間とエネルギーが多大に必要です。これは、ブロックチェーン技術の学習、セキュリティの確保、コミュニティの構築、法的調査などに関わります。
さらに、Web3プロジェクトは多くの場合、革新的で前例のないものです。そのため、市場や投資家からの受け入れにも時間がかかることがあります。プロジェクトが成功するためには、慎重な計画と継続的な取り組みが欠かせません。
トラブルに巻き込まれた場合助けを求められない
従来の中央集権型のシステムより、Web3のプロジェクトは分散型であり、通常、中央の管理者や機関が存在しません。このため、何らかのトラブルや詐欺行為に巻き込まれた場合、被害者は法的な手段や中立的な第三者の介入を求めにくいことがあります。
トランザクションの不正、スマートコントラクトのバグ、詐欺的なプロジェクトなどのリスクが存在します。したがって、Web3のプロジェクトに関与する際には、慎重なリサーチとリスク管理が必要です。プロジェクトの信頼性やセキュリティについての情報を確認し、自己責任で行動することが大切です。
また、Web3コミュニティには自助努力と相互支援の精神が根付いており、トラブルが発生した場合でもコミュニティ内で解決を試みることが一般的です。しかし、全てのリスクを回避することは難しいため、慎重かつ賢明な投資や参加が求められます。
Web3の資金調達におけるリスク
Web3の資金調達におけるリスクももちろん存在します。以下で解説します。
プロジェクトの失敗
Web3の資金調達におけるリスクの1つは、プロジェクトの失敗です。新たな技術やプラットフォームを活用したプロジェクトは、市場競争が激しく、成功するためには多くの課題を克服する必要があります。
プロジェクトが失敗する理由には、市場需要の低迷、資金不足、競合他社の優位性、技術的な課題、法規制の変更などが考えられます。投資家やプロジェクトの支援者は、プロジェクトがリスクを適切に評価し、適切な対策を講じているかを注意深く検討する必要があります。リスクを抑えるために、プロジェクトの進捗状況を定期的にモニタリングし、プロジェクトチームの信頼性や実績に焦点を当てることが不可欠です。
トークンの価値の低下
トークンの価値は市場の需給に影響され、プロジェクトの進捗状況、競合他社の存在、規制の変更など多くの要因に左右されます。価値の低下は、投資家や支援者にとって潜在的な損失を意味し、プロジェクトの資金調達能力や信頼性にも影響を及ぼす可能性があります。リスクを管理するためには、トークンの市場動向を常にモニタリングし、適切な戦略を策定することが重要です。プロジェクトチームは、価値の低下に対処するために、プロダクトの開発やプロモーション、コミュニティの活性化に注力し、維持することが求められます。
詐欺や不正行為
新興のWeb3プロジェクトやトークンセールは、未規制の環境で行われることが多く、悪意のあるプロジェクトや詐欺的なICOが存在します。投資家や支援者は、詳細なデューデリジェンスを怠らず、プロジェクトの信頼性やチームの背後にいる人物の経歴を確認する必要があります。
また、公式なソーシャルメディアチャンネルやウェブサイトを利用して、プロジェクトの正当性を確認することも大切です。さらに、リスクを抑えるために、有名なプラットフォームや信頼性のある第三者監査機関がプロジェクトをサポートしているかどうかも確認しましょう。
Web3の資金調達に関するよくある質問
Web3の資金調達に関するよくある質問を集めてみました。以下で紹介します。
Web3とは何ですか?
Web3は、分散型のWebを指し、従来の中央集権型のWeb2から進化したものです。Web3では、ブロックチェーン技術を活用し、ユーザーが自分自身のデータやデジタルアセットをコントロールし、中央の権威やプラットフォームに依存しないインターネット環境を実現します。これにより、データのセキュリティやプライバシーが向上し、新たな分散型アプリケーションやサービスが発展しています。
Web3プロジェクトの資金調達のための主な方法は何ですか?
Web3プロジェクトの資金調達の主な方法は、以下です。
- トークンセール:これにはICO、IEO、IDOなどが含まれます。ICOは将来上場予定の暗号資産を割安で購入する方法、IEOは取引所が間に入りトークンを販売する方法、IDOは分散型取引所での資金調達方法です。
- SAFE (Simple Agreement on Future Equity):これはシリコンバレーのアクセラレータ「Y Combinator」が考案した方法で、エクイティの「割引券」をもらう形式の資金調達です。
- SAFT (Simple Agreement on Future Tokens):投資家が先に資金を投資し、将来発行するトークンを獲得する権利を担保する方法です。
- Grant (助成金):特定のプロジェクトに対して提供される助成金で、EthereumやPolkadotなどのエコシステムを盛り上げる目的で提供されることが多いです。
これらの方法はそれぞれ特徴とメリット、デメリットがあります。適切な資金調達方法を選ぶことはプロジェクトの成功にとって非常に重要です。
Web3プロジェクトの評価をする際の主な要因は何ですか?
Web3プロジェクトの評価をする際の主な要因は以下の通りです。
- 技術的実現可能性:プロジェクトが提案する技術やソリューションが実際に実現可能かどうかを確認します。
- チームの資質:プロジェクトを推進するチームの経験、専門知識、過去の実績などを評価します。
- トークンエコノミクス:トークンの供給量、需要、流通、報酬構造など、トークンの経済的側面を評価します。
- コミュニティの活動性:プロジェクトのコミュニティが活発で、参加者が積極的に関与しているかを確認します。
- ロードマップと進捗:プロジェクトの将来の計画や目標、これまでの進捗状況を評価します。
- セキュリティ:プロジェクトのセキュリティ対策や過去のセキュリティインシデントの有無を調査します。
- パートナーシップと連携:他の企業やプロジェクトとの提携や協力関係を評価します。
これらの要因を総合的に考慮し、プロジェクトの価値や将来性を判断することが重要です。
Web3の資金調達についてのまとめ
ここまでWeb3の資金調達についてお伝えしてきました。Web3の資金調達の要点をまとめると以下の通りです。
- Web3の資金調達は、トークンセールやSAFE、SAFT、Grantなどの種類がある
- Web3で資金調達するときのコツは、チームの団結力をアピールすることや事業コンセプトを明確にしておくこと
- Web3の資金調達におけるリスクは、プロジェクトの失敗やトークンの価値の低下、詐欺や不正行為などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Pacific Metaでは、Web3の事業に取り組む企業様向けにメールマガジンを配信しています。
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