ブロックチェーンや暗号資産に興味はあるものの、どのウォレットを選べばよいか分からないと感じていませんか。
セキュリティ対策やログイン・復元の手順、ビジネス活用など、専門的な知識が必要そうで躊躇している中小企業経営者や個人投資家の方は多いです。
今回、Pacific Meta Magazineでは、ブロックチェーン ウォレットについて以下の内容を紹介しています。
- ブロックチェーンウォレットの基本定義・仕組み
- ホットウォレットとコールドウォレットの違い
- 主要ウォレット（MetaMask、Ledger、Trezorなど）の比較
- セキュリティ対策とリスク管理のポイント
- ウォレット作成から入出金までの導入手順
- ビジネス活用事例と選定時の注意点
- よくあるトラブルとFAQ
安全かつ効果的にウォレットを導入するための具体的なヒントをご紹介します。
ぜひ、最後までご覧ください。
ブロックチェーンウォレットとは？
ブロックチェーンウォレットとは、暗号資産（仮想通貨）やNFTなどデジタル資産を保管・管理するための“デジタルなお財布”です。
実際にウォレット内に保存されるのはコインそのものではなく、コインにアクセスするための「秘密鍵」です。
秘密鍵から生成される対応ペアの「公開鍵（ウォレットアドレス）」を使って資産を受け取ったり、秘密鍵を使って自分の資産を送ったりします。
ウォレットは大きく、取引所など第三者が秘密鍵を預かる「カストディアル（Custodial）ウォレット」と、自分自身で秘密鍵を管理する「ノンカストディアル（非カストディ）ウォレット」に分けられます。
カストディアルウォレットは銀行のように第三者に“鍵”を預ける形です。パスワード忘れなどの際にサービス側が資産アクセスを復旧してくれる利点があります。
一方でノンカストディアルウォレットは「自分の鍵は自分で守る」仕組みなので、秘密鍵を紛失すると誰も資産にアクセスできなくなるリスクがあります。
「Not your keys, not your coins（鍵を持たざる者にコイン無し）」という格言があるように、中央管理の取引所ウォレットに暗号資産を置いていると真の所有権を持たないことになります。
2022年末の大手取引所FTX破綻ではユーザーが預けた資産を引き出せない事態となりました。
その後、セルフカストディの動きが加速したとも報告されています。
ウォレットが保持するのは秘密鍵と、それを後で再生するための「シードフレーズ（リカバリーフレーズ）」です。
多くのウォレットは初期設定時に12語や24語の英単語からなるシードフレーズを生成します。
これは秘密鍵を復元するための合言葉で、第三者に漏れると資産を奪われるリスクがあります。
したがって、ブロックチェーンウォレットは「真正の資産所有権を得るための必須ツール」でありながら、同時に厳格な自己管理が求められる存在として注目されています。
ブロックチェーンウォレットの種類と特徴
ブロックチェーンウォレットは、インターネット接続の有無によって「ホットウォレット」と「コールドウォレット」に分けられます。
ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
ホットウォレット
ホットウォレットとは、常時インターネットに接続された状態のウォレットです。
スマホアプリ型（モバイルウォレット）、デスクトップソフト型、ブラウザ拡張やウェブサービス型などが該当します。
利点としては、ネットに繋がっていればいつでもどこでも資産を送受信できる利便性があります。
特にモバイルウォレットは外出先でQRコード決済などが可能で、ユーザーにとって使いやすいです。
一方でオンラインに接続されているため、ハッキングやマルウェア感染などサイバー攻撃を受けるリスクが高い点に注意が必要です。
フィッシング攻撃による被害も報告されているので、秘密鍵の扱いには最新の注意が求められます。
コールドウォレット
コールドウォレットは、インターネットから完全に切り離した状態で秘密鍵を保管するウォレットです。
代表例として、USB端子型のハードウェアウォレットや、紙に秘密鍵を印字するペーパーウォレットがあります。
最大のメリットは、オフライン保管によってハッキングリスクを大幅に下げられることです。
遠隔から秘密鍵を盗まれる心配がほぼないため、長期保管に向いています。
反面、送金や決済をする際には毎回デバイスを接続する必要があり、操作が煩雑になるというデメリットがあります。
ハードウェアウォレットの紛失や物理的破損リスクにも注意が必要です。
日常的に高頻度で使う資産はホットウォレット、長期保管や多額の資産はコールドウォレットと使い分けるケースが一般的です。
主要なブロックチェーンウォレットの比較
現在、さまざまなウォレットが登場しており、用途や対応チェーンによって使い分けが行われています。以下では代表的なウォレットを例示します。
Metamask
ソフトウェア・ホットウォレットの代名詞で、イーサリアムおよびEVM互換チェーンに幅広く対応しています。
ブラウザ拡張やスマホアプリがあり、DeFiやNFTマーケットへの接続が容易です。
ただし利便性が高い分、フィッシングの標的になりやすい点がリスクです。
Ledger Nanoシリーズ
物理デバイス（ハードウェアウォレット）を使ったコールドウォレットです。
秘密鍵は安全なチップ内で保管され、対応通貨も豊富です。
セキュリティ重視の投資家や機関投資家にも広く使われていますが、デバイス購入費用がかかります。
Trezor
Ledgerと並ぶ世界的に有名なハードウェアウォレットです。
オープンソースのファームウェアを採用し、視覚的に操作しやすい画面と物理ボタンで堅牢なセキュリティを提供します。
このほか、紙に秘密鍵を印字するペーパーウォレットや、取引所が提供するカストディアルウォレットなど多様な選択肢があります。
資産規模、利用頻度、操作性などを基準に、自分に合うウォレットを選定しましょう。
ブロックチェーンウォレットのセキュリティ対策とリスク管理
ウォレットが持つ秘密鍵をいかに安全に守るかが、ブロックチェーン資産管理の要となります。
ここでは代表的なセキュリティ手法と、リスク管理のためのポイントをまとめます。
ウォレットのセキュリティ強化策
取引所アカウント型ウォレットでは、ログイン時や送金時の二要素認証（2FA）を必ず設定しましょう。
Google Authenticatorやメール・SMSでのワンタイムコードに対応していることが多いです。
マルチシグネチャの利用: 複数の秘密鍵署名を要するマルチシグウォレットを活用すれば、一つの鍵が流出しても全資産を守れる可能性が高まります。
企業が複数人承認で管理するケースにも適しています。
また、ウイルス・マルウェアからの保護は基本中の基本です。
定期的なPCやスマホのウイルススキャン、OSやアプリを最新に保つことも重要です。
リスク管理とトラブル対処法
シードフレーズを複数箇所にオフライン保管しておくことが最大のリスク対策です。
紙に書いて耐火金庫に入れるなど、紛失・盗難・劣化のリスクを避ける工夫をしましょう。
フィッシング詐欺と呼ばれる、偽サイトや偽アプリに誘導され、シードフレーズや秘密鍵を盗まれる被害も後を絶ちません。ウォレット公式サイトのURLをブックマークし、安易に検索リンクを踏まないなど、常に注意してください。
ウォレットがハッキングされた疑いがあれば、デバイスのネット接続を直ちに切り、新しい安全な端末で新ウォレットを作成して資金を避難するなど、迅速かつ適切な手順が求められます。
また、不審なトランザクションがないか定期的に確認することも大切です。
ブロックチェーンウォレットの作成・導入手順
ウォレット導入を初めて行う方のために、一般的なステップを示します。
ウォレットの選定
取引回数や保有資産の量、操作性、リスク許容度などを考慮し、ホットウォレットかコールドウォレットか、あるいはカストディ型か非カストディ型を選択します。
この選択が後の運用体験に大きく影響します。
ウォレット作成・初期設定
取引所アカウントの場合は本人確認手続きが必要です。
一方で、MetaMaskなど非カストディ型ソフトウェアウォレットはシードフレーズを生成し、パスワード設定するだけで完了します。
ハードウェアウォレットはデバイスにPINを設定し、シードフレーズをオフラインでバックアップします。
セキュリティ設定
取引所ウォレットなら二段階認証を必ず有効化します。
ソフトウェアウォレットでも端末の生体認証やパスワードロック、ハードウェアウォレットならPINやパスフレーズ追加を検討し、セキュリティを強化します。
暗号資産の入金
取引所で購入したコインをウォレットアドレスに送金（出庫）します。
送金先アドレスを間違えると資産を失う恐れがあるので、少額でテスト送金してから本送金すると安心です。
ウォレットからの送金
ウォレット側で「送る（Send）」を選び、宛先アドレスと金額を入力します。
ブロックチェーンのガス代（手数料）やネットワーク設定を誤らないよう注意してください。
その後の活用
DeFiやNFTなどのDApps利用ではウォレット接続が必要です。
初めて接続するDAppは公式サイトからアクセスし、不審な承認要求には慎重に応じましょう。
ブロックチェーンウォレットのビジネス活用事例
近年は中小企業や個人投資家の間でも、ブロックチェーンウォレットを活用する事例が増えています。
- 資産保全・財務戦略: 世界的な金融不安から、ビットコインなどを準備資産として保有する企業が登場しています。2022年末の取引所破綻などをきっかけに、自己保管のウォレットで資産を守る動きが加速しました。
- 国際決済や送金効率化: 従来の銀行送金より安価かつ高速に資金を移動できるのが暗号資産の強みです。海外の仕入れ先への支払いにステーブルコインを使う中小企業も見られます。
- 給与や報酬の支払い: 一部企業では従業員の給与をビットコインやイーサリアムで支払う試みも行われています。ウォレット受取のメリットは即時決済とチャージバックの不存在など、運用コストの低減です。
このように、ウォレットを導入することで資産管理の選択肢が増え、ビジネス上のキャッシュフローを柔軟にできる可能性があります。
ただし、税務や規制面は国によって異なるため、専門家の助言を得るのが望ましいです。
ブロックチェーンウォレット選定時の注意点
ウォレットを導入する際には以下の点をチェックしてみてください。
- セキュリティ: 秘密鍵の保管方式や過去のハッキング事例、二段階認証の有無などを確認しましょう。
- 対応通貨・チェーン: 自分が扱う予定の暗号資産に対応しているか事前にチェックすることが大切です。
- 操作性とUI: 初心者にとっては画面が分かりやすいかどうかは重要なポイントです。
- サポート体制: 公式ドキュメントやコミュニティの活発さ、問い合わせ窓口の有無などを確認しましょう。
- コスト: ハードウェアウォレットは機器購入費がかかります。ソフトウェアウォレットは無料が多いですが、将来的な開発継続やアップデート体制を考慮します。
資産規模や利用頻度によって、複数のウォレットを使い分けるのも一つの方法です。
例えばホットウォレットとコールドウォレットを組み合わせるとセキュリティと利便性の両立が期待できます。
ブロックチェーンウォレットに関するFAQ（よくある質問）
ここでは、読者から寄せられることの多い質問とその対処法をまとめました。
Q：ウォレットにログインできない（パスワードを忘れた）
A：カストディアルウォレットならパスワードリセット手順に従ってください。
本人確認後に復旧できる場合が多いです。
ノンカストディアルウォレットでは、シードフレーズさえ保管してあれば新規インストールでウォレットを復元可能です。
パスワードとシード両方を失くした場合、資産は取り出せなくなります。
Q：送金が失敗・承認されない
A：ガス代（手数料）が不足している可能性があります。
イーサリアムなどでは、トークン送金時に対応するネイティブ通貨（ETH）の残高が必要です。
また、送金先のネットワーク設定を間違えているケースも多いです。
アドレスやブロックチェーンを再確認し、少額テスト送金をしてみるのがおすすめです。
Q：ウォレットを復元したのに残高が表示されない
A：シードフレーズ入力時の単語ミスや順番違い、または表示ネットワークが異なる場合などが考えられます。
ブロックチェーンエクスプローラーでアドレスを検索し、本当に残高がないか確認しましょう。
正しいチェーンを追加することで表示される場合もあります。
Q：ハッキング被害に遭ったかもしれない
A：不審な取引を発見したら、まずネット接続を切り、安全な別端末で新ウォレットを作成して資産を避難してください。
元のウォレットは諦め、新しいウォレットで対策を強化した上で運用を続けましょう。
ブロックチェーンウォレットについてまとめ
今回、Pacific Meta Magazineでは、ブロックチェーンウォレットについて以下の内容について紹介してきました。
- ブロックチェーンウォレットの定義と秘密鍵・公開鍵の仕組み
- ホットウォレットとコールドウォレットの特徴と利点・欠点
- 主要ウォレット（MetaMask、Ledger、Trezorなど）の比較ポイント
- 二段階認証、マルチシグ、フィッシング対策などのセキュリティ強化策
- ウォレットの作成から入出金までの具体的ステップ
- ビジネス利用の事例と、ウォレットを選ぶ際のチェックリスト
- よくあるトラブル事例とFAQへの対処法
ブロックチェーンウォレットを導入すると、取引所だけに頼らない資産管理を実現できます。
一方で秘密鍵の自己管理はリスクを伴うため、セキュリティ対策やバックアップを万全に行うことが欠かせません。
ホットとコールドを使い分ける、マルチシグを導入するなどの工夫で安全性を高められます。
今後、Web3やデジタル資産の活用がさらに広がるなかで、ブロックチェーンウォレットはビジネスや投資の重要なインフラになると考えられます。
今回の内容を参考に、自社や自身の状況に合ったウォレットを選び、ぜひ積極的に活用を検討してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。