Ondo Financeが描く伝統資産のオンチェーン化:米国債トークン化と日本市場での展開

米国債や株式などの伝統的金融資産をトークン化するOndo Finance(オンド・ファイナンス)が、日本市場での展開を加速させています。同社は、ディーカレットDCPが提供するトークン化預金「DCJPY」との連携に関する覚書を締結しており、伝統金融とブロックチェーンを繋ぐインフラ構築を推進しています。機関投資家レベルの資産をオンチェーン化することで、24時間365日の取引や小口化によるアクセス向上といった、新たな金融の形を提示しています。

伝統的金融資産をオンチェーンへ統合する独自の仕組み

Ondo Financeが描く伝統資産のオンチェーン化:米国債トークン化と日本市場での展開

Ondo Financeは、米国債や大手資産運用会社のMMF(マネー・マーケット・ファンド)を裏付けとしたトークンを発行し、ブロックチェーン上での流通を可能にしています。主なプロダクトには、ブラックロックの「BUIDL」などを裏付け資産とする「OUSG」や、パーミッションレス(自由参加型)な利回り付きコイン「USDY」があります。

同社の特徴は、単なるトークンの発行体にとどまらず、金融インフラの構築も手掛けている点にあります。米国株やETF(上場投資信託)のトークン化プラットフォーム「Ondo Global Markets」の預かり資産(TVL)は7億ドルを超え、米国債トークン化を含めた全体のTVLは27億ドルを突破しています。さらに、独自のブロックチェーン「Ondo Chain」を立ち上げるなど、伝統的資産をオンチェーンで扱うための包括的なレールを設計しています。

ブラックロックなどの大手運用会社との違いについて、同社幹部のクナル・パテル氏は、複数の運用会社のファンドを裏付け資産に採用している点や、機関投資家だけでなく個人投資家にも門戸を広げている点を挙げています。

日本市場の重要性とトークン化預金「DCJPY」との連携

Ondo Financeは日本市場を、低金利環境下で米国債のような利回り資産への需要が見込める重要な地域と捉えています。2026年2月には、デジタル通貨プラットフォームを運営するディーカレットDCPと、トークン化預金「DCJPY」のエコシステム活用に向けた業務提携の覚書(MOU)を締結しました。

この連携において、Ondo Financeは自社が提供するトークン化商品の支払手段として、DCJPYのようなトークン化預金を利用する可能性を検討しています。パテル氏は、DCJPYを「金融機関が決済ツールとして利用するための優れた手段」と評価しており、日本の金融機関と協力して資産のオンチェーン化を進める意向を示しています。

また、将来的には日本株のトークン化にも機会を見出しています。海外からの日本株に対する需要を背景に、これらをトークン化してアクセスを容易にすることが、グローバルなトークン化の潮流と収れんしていくと見られています。

「Wall Street 2.0」に向けた株式トークン化の展開

Ondo Financeは、米国債に続き株式市場のオンチェーン化にも注力しています。新たにローンチされた「Ondo Global Listing」は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)の上場企業が、自社株をイーサリアム、ソラナ、BNBチェーン上でトークン化するためのサービスです。

このサービスは既存の上場銘柄だけでなく、新規株式公開(IPO)当日からの対応も可能とされています。トークン化された株式は、Ondoのエコシステムを通じて世界中の投資家がアクセスできるようになり、担保としての利用も期待されています。

同社は、将来的には大部分の伝統的資産がオンチェーン化されると予測しています。現在のトークン化市場は株式市場全体の規模に比べれば極めて限定的ですが、規制に準拠した形でのトークン化を推進することで、「Wall Street 2.0」と呼ばれる次世代の金融インフラの実現を目指しています。

ポイント

  • 米国債やMMFを裏付けとしたトークン(OUSG、USDY)を提供し、全体の預かり資産(TVL)は27億ドルを超えています。
  • ディーカレットDCPと提携し、トークン化預金「DCJPY」を自社商品の決済手段として活用することを検討しています。
  • 独自のブロックチェーン「Ondo Chain」や、NYSE・NASDAQ上場株式をトークン化する「Ondo Global Listing」を展開しています。
  • 伝統的金融機関を脅威ではなく協力相手と捉え、規制に準拠した形で「Wall Street 2.0」の構築を目指す姿勢が注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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