トム・ティリス(Thom Tillis)米上院議員は、仮想通貨規制法案である「CLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act)」に対し、連邦政府職員による仮想通貨製品の発行を禁止する条項が含まれない限り、同法案に反対票を投じる意向を表明しました。この要求は、公職者によるWeb3プロジェクトへの関与に伴う利益相反を防ぐための譲れない条件(レッドライン)とされています。現在、上院で審議が進められている同法案の行方や、今後の米国の仮想通貨規制の枠組みに大きな影響を与える可能性があります。
連邦職員による仮想通貨発行の禁止要求
ティリス議員は、連邦政府の職員や官僚が在職中に独自の仮想通貨トークンやプラットフォームを立ち上げることを制限すべきだと主張しています。同議員はこの要件が満たされない場合、CLARITY法案に反対する姿勢を明確にしており、これを法案支持のための明確な条件として提示しました。
この動きは、政府関係者とデジタル資産業界の間の倫理的な境界線を明確にし、公的な立場を利用した私的な利益誘導を防ぐことを目的としていると見られます。ティリス議員は上院銀行委員会の共和党議員として、この倫理規定の導入を公に要求した最初の人物であり、民主党側の交渉担当者とも歩調を合わせているとされています。
CLARITY法案の背景と規制上の位置づけ
CLARITY法案は、米国におけるデジタル資産の市場構造を定義し、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の管轄権を明確に分けることを目指す包括的な法案です。米国ではこれまで、明確なルールがないまま法執行によって規制を行う「執行による規制」が続いてきたとの批判があり、本法案によって法的確実性を提供することが期待されています。
法案の主な内容は、デジタル資産が証券か商品かを判断する基準の策定や、ステーブルコインの監督体制の構築、取引所やブローカーの登録制度の整備などです。これにより、これまでグレーゾーンで活動していた企業に対し、明確なコンプライアンスの道筋を示すことが意図されています。
立法プロセスへの影響と今後の見通し
ティリス議員による今回の要求を受け、上院銀行委員会での法案審議スケジュールに影響が出る可能性があります。一部の報道によれば、法案の修正(マークアップ)に向けた議論を継続するため、審議が2026年5月まで延期される可能性が示唆されています。
同議員は、銀行業界と仮想通貨業界の間で争点となっているステーブルコインの利回り規制などの調整も主導しており、慎重に合意形成を図る姿勢を見せています。連邦職員に関する倫理規定が法案の最終案にどのように組み込まれるかが、今後の法案成立に向けた重要な焦点となります。
ポイント
- ティリス議員は連邦職員による仮想通貨発行の禁止を法案支持の条件とした。
- 公職者のWeb3プロジェクト関与に伴う利益相反の防止が主な目的とされる。
- CLARITY法案はSECとCFTCの管轄を整理し、市場に法的確実性をもたらす重要な法案。
- 議員の要求や調整により、2026年5月まで審議が継続される可能性がある。
- この動向は、将来的な米国の仮想通貨規制における倫理基準の指針となる点で注目される。