テザーがビットコインマイニング向けのモジュール型インフラを開発、効率性と拡張性の向上を目指す

ステーブルコイン発行大手であるテザー(Tether)社は、ビットコイン(BTC)マイニング向けの独自コンピュートインフラを拡張し、新たなモジュール型・高密度マイニングシステムを開発していることを発表しました。同社は既製のマイニング機器に依存する従来の手法から脱却し、パートナー企業と協力して部品レベルから最適化されたシステムの構築を進めています。この取り組みは、大規模なマイニング運用におけるエネルギー効率、コスト管理、および性能制御を劇的に向上させる可能性があるとして注目されています。

パートナーシップによる特定用途向けハードウェアの開発

テザーがビットコインマイニング向けのモジュール型インフラを開発、効率性と拡張性の向上を目指す

テザー社は、完成品として販売される一般的なマイニング機器を使用するのではなく、特定の用途に特化したハッシュボード(マイニングの計算を行う主要基板)を中心としたシステム構築を目指しています。このプロジェクトには、NASDAQ上場のマイニング機器大手であるカナン(Canaan Inc.)と、スイスの研究開発企業であるACME Swisstech(ACMEスイステック)が協力しています。

カナンのASIC(特定の用途のために設計された集積回路)設計能力を活用し、テザー社独自の制御アーキテクチャ、熱管理システム、およびソフトウェアスタックに統合できるカスタムハッシュボードが提供されます。カナンの張楠賡会長兼CEOは、顧客独自のシステムに直接統合可能な高性能ハードウェアへの需要が高まっていると指摘しており、部品レベルでの最適化が今後の大規模運用の鍵になるとの見解を示しています。

モジュール型設計と液浸冷却による運用効率の最適化

新システムの最大の特徴は、コンピュート部分(計算ユニット)を電源や筐体から分離したモジュール型構造にあります。テザー社のパオロ・アルドイノCEOは、従来のマイニング機器の多くが密閉された固定ユニットとして構築されており、規模拡大の際のコスト増と運用効率の低さが課題であったと述べています。

今回のモジュール型設計により、各部品を独立して調整、アップグレード、冷却することが可能になります。また、冷却面では液浸冷却(電気を通さない特殊な液体に機器を浸して冷却する技術)を採用しており、空冷式の従来機と比較してエネルギーのオーバーヘッドを抑え、システムの稼働可能性を高めるとしています。この新型システムは、南米にあるテザー関連のマイニング施設への配備が予定されていると報じられています。

産業用マイニングの新たな標準を目指す垂直統合

テザー社は、従来の大規模マイニング施設において、数千台の個別機器が連携せずに並べられている現状を、設計上の利点を十分に活かせていない構造であると考えています。自社でソフトウェアからハードウェアの構造までを直接制御する垂直統合モデルを採用することで、産業用マイニングサイトとしての最適化を追求する狙いです。

アルドイノCEOは、各部品を独立して制御できる体制を整えることで、大規模運用時におけるコストと性能を直接コントロールできるようになると強調しています。これは、単なるマイニング事業の拡大にとどまらず、インフラストラクチャそのものを再構築することで、ビットコインネットワークの健全性と効率性に寄与しようとする同社の戦略的な動きと見られます。

ポイント

  • 既製品に依存しない独自のモジュール型ビットコインマイニングインフラを開発。
  • カナン社およびACME Swisstech社と協力し、カスタムハッシュボードを構築。
  • コンピュート部分と電源・筐体を分離し、部品ごとの個別最適化とアップグレードを実現。
  • 液浸冷却と独自ソフトウェアの導入により、エネルギー効率と冷却性能を最大化。
  • 南米の施設への配備を皮切りに、大規模運用におけるコストと性能の直接制御を目指す。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

ニュース
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta