決済大手のVisa(ビザ)は、グローバルなステーブルコイン決済パイロットプログラムに新たに5つのブロックチェーンを追加したと発表しました。これにより対応ネットワークは計9つとなり、パートナー企業である発行会社や加盟店契約会社にとっての選択肢が大幅に広がります。プログラムの年換算決済処理額は70億ドル(約1兆900億円)に達しており、ステーブルコインが実用的な国際資金移動の手段として定着しつつあることを示しています。
5つのブロックチェーンを新たに追加、対応ネットワークは計9つに
今回の発表により、Visaのステーブルコイン決済パイロットには新たに「Arc(アーク)」「Base(ベース)」「Canton(カントン)」「Polygon(ポリゴン)」「Tempo(テンポ)」の5つのブロックチェーンが加わりました。
Visaはこれまで、Avalanche(アバランチ)、Ethereum(イーサリアム)、Solana(ソラナ)、Stellar(ステラ)の4つのネットワークをサポートしていました。今回の拡大によって対応チェーンは合計9つとなり、多様なブロックチェーン環境での決済構築が可能になります。
このパイロットプログラムにおけるステーブルコインの決済処理額は、年換算で70億ドル(約1兆900億円、1ドル=155円換算)に達しています。これは前四半期と比較して50%の増加であり、ブロックチェーン基盤の決済に対する金融機関やフィンテック企業の信頼が高まっていると見られます。
決済インフラとしてのステーブルコインの進展
Visaによれば、ステーブルコインはこの1年で「有望な技術実験」の段階から、世界中で資金を移動させるための「実用的な手段」へと進化したとされています。今回のマルチチェーン対応の拡大は、流動性や活動が特定の単一チェーンではなく、多様なエコシステムに分散しているという市場の変化を反映したものです。
同社は、ブロックチェーン上のステーブルコイン決済が、従来の決済レールを補完する現実的な手段になりつつあるとの見解を示しています。
新たに採用された5つのブロックチェーンの特徴
今回追加された5つのネットワークは、それぞれ異なる特徴や市場ニーズに対応しています。
- Arc(アーク):Circle(サークル)社が主導する、ステーブルコインに特化したレイヤー1ブロックチェーンです。USDCをガス代(ネットワーク手数料)として使用する仕組みを備えています。
- Base(ベース):Coinbase(コインベース)社が開発した、イーサリアムのレイヤー2ソリューションです。低コストかつ高速な取引を特徴としています。
- Canton(カントン):Digital Asset(デジタル・アセット)社が開発した、金融機関向けのブロックチェーンです。規制対象となる市場での利用を想定し、プライバシー保護機能に強みを持っています。
- Polygon(ポリゴン):イーサリアムのスケーラビリティを向上させるソリューションであり、高い処理能力と安価な手数料により、大量の送金処理に適しているとされています。
- Tempo(テンポ):Stripe(ストライプ)社やParadigm(パラダイム)社が関与する、決済に特化したレイヤー1ブロックチェーンです。高いスループット(処理能力)と即時決済の実現を目指しています。
ポイント
- Visaのステーブルコイン決済パイロットが計9チェーンに拡大し、パートナー企業の選択肢が増加した。
- 年換算の決済処理額が約1兆900億円に達し、前四半期比で50%増と急速に成長している。
- ステーブルコインが実験段階を終え、実用的な国際送金・決済手段として金融業界での信頼を得つつある。
- 市場の流動性が複数のチェーンに分散している現状に合わせ、マルチチェーン対応を強化する戦略が鮮明になった。
- 決済特化型(Tempo)や金融機関向け(Canton)など、特性の異なるチェーンを組み込むことで、多様なビジネスニーズへの対応が進むと見られる。