ニューヨーク南部地区連邦検察局は2026年4月28日、暗号資産を用いた大規模な資金洗浄に関与したとして、高級宝飾ブランド「カルティエ」創業家の末裔であるマクシミリアン・ド・フープ・カルティエ被告に対し、懲役8年の有罪判決が言い渡されたと発表しました。被告は無認可の店頭(OTC)暗号資産交換業を運営し、総額4億7000万ドル(約752億円)を超える犯罪収益の洗浄に関わったとされています。この判決は、暗号資産を悪用した国際的なマネーロンダリングに対する規制当局の厳しい姿勢を改めて示すものとなりました。
巧妙な資金洗浄の手口とペーパーカンパニーの利用
カルティエ被告は、少なくとも2018年から逮捕されるまでの間、当局の認可を受けずにOTC暗号資産交換業を運営していました。その過程で、アメリカ国内に十数以上のペーパーカンパニーを設立し、銀行口座を開設していたことが明らかになっています。
これらの口座は、実態を隠蔽するためにソフトウェア開発会社を装って開設されていました。被告は麻薬取引などの犯罪によって得られた収益を暗号資産として受け取り、それを法定通貨に変換した上で、自ら管理するペーパーカンパニーの口座を経由させていました。最終的にこれらの資金はコロンビアなどへ送金されており、組織的かつ巧妙な手法で追跡を逃れようとしていた実態が浮き彫りになっています。
法的責任と当局による規制強化の姿勢
被告は2025年10月の時点で、無認可送金事業の運営と銀行詐欺の共謀という2つの罪状について有罪を認めていました。今回の判決では、懲役8年の実刑に加え、約236万ドル(約3億7760万円)の没収も命じられています。
ジェイ・クレイトン連邦検事は、資金洗浄を阻止することがより広範な犯罪の抑止につながると強調しました。暗号資産は利便性が高い一方で、今回のように国際的な犯罪組織に悪用されるリスクも抱えています。当局がこのような不正利用に対して厳しい罰則を科したことは、Web3業界全体の健全化とコンプライアンス遵守の重要性を再認識させる出来事といえます。
ポイント
- カルティエ創業家の末裔である被告に対し、暗号資産を用いた資金洗浄の罪で懲役8年の実刑判決が下されました。
- 洗浄された資金は総額4億7000万ドル(約752億円)にのぼり、麻薬取引などの犯罪収益が含まれていました。
- 十数社のペーパーカンパニーを設立し、ソフトウェア開発会社を装って銀行口座を悪用するなど、組織的な隠蔽工作が行われていました。
- 米当局は、暗号資産を悪用した国際的なマネーロンダリングを厳しく取り締まる方針を明確にしています。
- 無認可の交換業務や虚偽の口座開設といった不正行為に対し、多額の没収金を含む厳しい法的措置が執られた点で注目されます。