イーロン・マスク氏が「仮想通貨の多くは詐欺」と法廷で発言、一方でXは取引端末機能を実装

イーロン・マスク氏は、OpenAIとの訴訟における証言の中で、暗号資産(仮想通貨)の大部分は詐欺であるとの持論を展開しました。その一方で、自身が所有するソーシャルメディアプラットフォーム「X」では、リアルタイムの価格チャートや取引機能を備えた新たな金融ツールを導入しています。マスク氏の懐疑的な姿勢と、プラットフォームのビジネス戦略が対照的な動きを見せています。

OpenAI公判におけるマスク氏の証言とICOへの言及

イーロン・マスク氏が「仮想通貨の多くは詐欺」と法廷で発言、一方でXは取引端末機能を実装

マスク氏は、カリフォルニア州オークランドの連邦裁判所で行われているOpenAIとの訴訟において、暗号資産に対する見解を述べました。この発言は、OpenAIが初期段階において、資金調達の手段としてICO(新規仮想通貨公開:トークンを発行して資金を募る手法)を検討していたことに関連して行われたものです。

マスク氏は法廷で「一部には価値があるものもあるが、その大部分は詐欺である」と述べ、多くの暗号資産プロジェクトに対して否定的な見解を示しました。この訴訟は、マスク氏がOpenAIに対し、当初の非営利目的から営利企業へと転換したことが契約違反にあたるとして提訴したもので、公判では初期の資金調達方法や組織の透明性が争点となっています。

Xが導入した「スマート・キャッシュタグ」と取引端末機能

マスク氏が暗号資産への警戒感を示す一方で、Xは「スマート・キャッシュタグ(Smart Cashtags)」と呼ばれる新機能を発表し、プラットフォームを「ソーシャル取引端末」へと進化させています。

この機能は、ユーザーが投稿内で「$BTC」や「$ETH」といったティッカーシンボル、またはスマートコントラクトのアドレスを入力することで、リアルタイムの価格チャートや市場データ、関連する投稿フィードを直接表示するものです。主な特徴は以下の通りとされています。

  • インタラクティブなチャート:1日から1年までの期間で価格推移を確認可能。
  • 資産の自動識別:類似した名称のトークンとの混同を避けるためのサジェスト機能。
  • 取引連携:カナダの Wealthsimple(ウェルスシンプル)等のブローカーとの提携により、Xのタイムラインから直接取引画面へ遷移できるパイロットプログラムを開始。

Xの製品責任者であるニキータ・ビア氏は、この機能を「エブリシング・アプリ(あらゆる機能を集約したアプリ)」構想の重要な一歩と位置づけています。

業界への影響とマスク氏の二面性

今回の出来事は、暗号資産に対するマスク氏の個人的な見解と、Xの事業方針の乖離を浮き彫りにしています。マスク氏は暗号資産の多くを「詐欺」と断じつつも、Xにおいては金融インフラとしての機能を強化し、暗号資産を主要なコンテンツとして取り込んでいます。

特に、スマートコントラクトのアドレスを直接認識し、詐欺防止のための検証プロセスを導入したことは、プラットフォーム上での安全な取引環境を構築する姿勢の表れと見られます。Web3業界のビジネスパーソンにとっては、Xが単なる情報収集の場から、ソーシャルセンチメント(市場心理)と実際の取引実行を直結させるプラットフォームへと変貌しつつある点が注目されます。

ポイント

  • イーロン・マスク氏がOpenAIとの訴訟において、暗号資産の多くは詐欺であると証言しました。
  • 発言の背景には、OpenAIが過去に検討していたICOによる資金調達計画への批判があります。
  • Xは同時期に、リアルタイムの価格データやチャートを表示する「スマート・キャッシュタグ」機能を導入しました。
  • カナダなど一部地域では、外部ブローカーと連携した直接取引機能のテストが開始されています。
  • マスク氏の懐疑的な発言とは裏腹に、Xは金融・暗号資産のハブとしてのインフラ整備を加速させている点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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