暗号資産取引所Gemini(ジェミナイ)の関連会社であるGemini Olympus(ジェミナイ・オリンパス)が、米商品先物取引委員会(CFTC)からデリバティブ清算機関(DCO)ライセンスを取得しました。これにより、同社は外部プロバイダーを介さず、予測市場を含む規制下のデリバティブ取引の清算業務を自社で完結できるようになります。米国市場へのリソース集約とデリバティブ商品の拡充を進める同社にとって、垂直統合型のサービス提供に向けた大きな進展となります。
自社清算体制の構築とデリバティブ商品の拡充
Gemini Olympusが取得したDCO(Derivatives Clearing Organization:デリバティブ清算機関)ライセンスは、デリバティブ取引の清算、決済、および保証を担うための認可です。Geminiの別の関連会社であるGemini Titan(ジェミナイ・タイタン)は、2025年12月に指定契約市場(DCM:CFTCの監督下にある取引所)ライセンスを取得し、すでに予測市場プラットフォームを立ち上げています。
今回のライセンス取得により、取引の執行から清算までを一貫して自社グループ内で行うことが可能となります。Geminiはこの基盤を活かし、米国の顧客向けに暗号資産の先物、オプション、パーペチュアル(満期のない無期限先物)契約を含むデリバティブ商品のさらなる拡充を検討しています。
米国市場への集中とスーパーアプリ構想
Geminiは2026年2月、英国、EU、オーストラリア市場から撤退し、米国市場に経営資源を集中させる方針を発表しました。この戦略転換では、予測市場を軸としたプロダクト展開と収益性の加速を優先しており、それに伴い従業員の約25%を削減する組織再編も実施されています。
Geminiの社長であるキャメロン・ウィンクルボス氏は、今回のライセンス取得を「マーケットプレイス拡大における重要な節目」と位置づけています。同氏は、ユーザーが多様な金融ニーズを一つの場所で完結できる「スーパーアプリ」の実現を目指しており、今回の規制認可はその重要な基盤になると説明しています。
予測市場を巡る規制環境と今後の課題
Geminiが注力する予測市場については、規制面での議論も続いています。2026年4月、ニューヨーク州司法長官はGeminiとCoinbaseを提訴し、予測市場を「違法賭博」と認定しました。これに対し、CFTCは予測市場が連邦法であるデリバティブ関連法の管轄に属するとの立場から反論を行っています。
連邦規制当局であるCFTCからライセンスを取得したことは、Geminiの事業の透明性を示すものですが、州レベルでの法的争いや株主からの集団訴訟など、依然として解決すべき課題が残されています。
ポイント
- Gemini OlympusがCFTCからデリバティブ清算機関(DCO)ライセンスを取得しました。
- 外部機関に依存せず、自社で予測市場やデリバティブの清算・決済が可能になります。
- 2025年に取得済みのDCMライセンスと合わせ、取引から清算までの垂直統合を実現しました。
- 米国市場へのリソース集約と、金融スーパーアプリ構想の実現に向けた重要なステップとなります。
- ニューヨーク州当局による提訴など、予測市場の法的性質を巡る規制上の課題は継続しています。