バイナンスが物理的な脅迫に対応する新機能を導入 出金を一時停止するWithdraw Protection

大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンス(Binance)は、ユーザーが対面で脅迫や圧力を受け、資産の移動を強制される物理的なリスクに対応するための新機能「Withdraw Protection」を導入しました。この機能は、従来のデジタル的なセキュリティ対策では防ぎきれない、身体的な強要を伴う犯罪からユーザーを保護することを目的としています。暗号資産を狙った暴力的な犯罪が増加傾向にある中で、取引所が物理的な安全確保に踏み込んだ点は、業界のセキュリティ基準を考える上で重要な一歩と見られます。

物理的な強要を防ぐロックダウンの仕組み

バイナンスが物理的な脅迫に対応する新機能を導入 出金を一時停止するWithdraw Protection

Withdraw Protectionは、バイナンスのアカウントからのすべての出金操作を、事前に設定した期間中ブロックする機能です。ユーザーは1日から7日の間でロックダウン期間を選択でき、標準設定では48時間に指定されています。

この機能の最大の特徴は、ロックダウンが有効な間は、第三者はもちろんのこと、ユーザー本人であっても出金ができなくなる点です。これにより、万が一ユーザーが直接脅されてスマートフォンやPCの操作を強要されたとしても、その場では資産を外部へ送金できない状態を作り出すことができます。

初期設定では期間中の解除は不可能ですが、利便性を考慮して「Allow early unlock(早期解除の許可)」というオプションも用意されています。このオプションを有効にしている場合、セキュリティキーや認証アプリに加え、電話またはメールによる追加確認を行うことで、設定期間よりも早くロックダウンを終了させることが可能です。

デジタル防御の隙間を埋めるセキュリティの多層化

これまでバイナンスをはじめとする取引所では、フィッシング詐欺やSIMスワップ、シードフレーズの漏えいといったデジタル上の脅威に対し、二段階認証(2FA)やパスキー、出金先ホワイトリストなどの対策を講じてきました。しかし、これらの機能はユーザー本人の意思に反して操作を強要される「物理的な脅迫」には十分な効果を発揮しにくいという課題がありました。

入力テキストに引用されたデータによると、暗号資産を狙った暴力的な犯罪、いわゆる「レンチ攻撃」は2025年に75パーセント増加したとされており、犯罪の凶悪化が進んでいます。Withdraw Protectionは、こうした物理的な脅威というデジタル防御の隙間を埋めるための専用の防壁として設計されています。

なお、この機能は「出金」のみを制限するものであり、アカウント内の他の機能には影響を与えません。ロックダウン中であっても、ユーザーは引き続きログインして資産状況を確認したり、取引を行ったり、ポジションを管理したりすることが可能です。

他のセキュリティ対策との併用が前提

バイナンスは、Withdraw Protectionを導入した後も、既存のセキュリティ対策の重要性は変わらないと説明しています。ユーザーには引き続き、多要素認証やフィッシング対策コード、パスキーなどの利用が推奨されており、新しい機能はこれらを補完する多層的な防御策の一部として位置づけられています。

この機能は、バイナンスのアプリおよびウェブ版のアカウント設定から有効化でき、ユーザーは自身の状況に合わせてロックダウン期間や早期解除の可否を選択できます。

ポイント

  • 対面で送金を強要される物理的な脅迫リスクに対応するための新機能です。
  • 1日から7日の範囲で出金を完全にブロックし、本人でも操作不能な状態を作れます。
  • ロックダウン中も取引や資産の確認は可能で、通常の運用を妨げない設計です。
  • 暴力的な「レンチ攻撃」が増加する中で、物理的な安全を確保する手段として注目されます。
  • 従来の二段階認証などのデジタルセキュリティと併用することで、防御を多層化します。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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