分散型予測市場の最大手であるPolymarket(ポリマーケット)のパナマ拠点が、実際には複数の暗号資産企業が同居する共有の法律事務所内にあることが、NPR(米国の公共放送ネットワーク)の調査で明らかになりました。この事務所は、過去に破綻した暗号資産取引所FTXとも業務上の関わりがあったと報じられています。規制当局による監視が強まるなか、主要なWeb3プラットフォームの運営実態が改めて注目されています。
NPRによるパナマ拠点の現地調査
NPRの記者が、Polymarketがパナマ政府の書類に本社として記載しているパナマ市内の「オセアニア・ビジネス・プラザ」21階を訪問したところ、同社の存在を示す看板などは確認されませんでした。
実態としては、マリオ・ガルシア・デ・パレデス(Mario García de Paredes)弁護士が運営する法律事務所となっており、室内には無人のワークステーションが並んでいたと報告されています。また、事務所のスタッフはPolymarketや、同社がパナマで事業を行う際の名称である「Adventure One QSS Inc.」について関知していないと回答しています。
他の暗号資産企業やFTXとの接点
この法律事務所は、Polymarketだけでなく、少なくとも15の暗号資産関連企業の登録上の拠点となっていることが判明しています。
- 拠点を共有する主な企業: Helix、Drift Protocol、Goldfinch、Parti(Polymarketと提携する予測市場ライブ配信サイト)などが含まれます。
- FTXとの関連: この事務所は過去に、2022年に破綻した暗号資産取引所FTXに対して法的業務を提供していました。FTXの破産申請書類には、同事務所が13,889ドルの未払い報酬を持つ一般債権者として記載されています。
特定の法律事務所が多数の暗号資産企業のオフショア拠点として機能している実態は、業界の運営体制における透明性の課題を示唆するものと見られています。
規制対応とオフショア移転の背景
Polymarketがパナマに拠点を置く背景には、米国内での法的規制が関係しています。
- 2022年の和解: 同社は無許可で取引所を運営したとして、米商品先物取引委員会(CFTC)から140万ドルの罰金を科され、米国内での事業停止を余儀なくされました。これを受けて、同社はパナマへと拠点を移した経緯があります。
- 現在の状況: Polymarketは現在、米国のユーザーによるアクセスを制限(ジオフェンシング)していますが、VPNを利用した回避などの課題も指摘されています。一方で、最近では米司法省による調査が終了したとの報道や、ドナルド・トランプ・ジュニア氏がアドバイザーに就任するといった動きも見られます。
ポイント
- NPRの調査により、Polymarketのパナマ本社が実体のない共有法律事務所内にあることが判明しました。
- 同事務所にはPolymarketを含む15以上の暗号資産関連企業が籍を置いており、オフショア拠点の共通の受け皿となっています。
- この法律事務所は過去にFTXの法的業務も担当しており、同社の破産手続きにおいて債権者として名を連ねています。
- 2022年のCFTCとの和解以降、オフショアでの運営を続けている同社の透明性や規制遵守の姿勢が、改めて議論の対象となる可能性があります。