TaurusがEU全域でのMiFID IIライセンス取得、トークン化証券の展開を加速

スイスのフィンテック企業Taurus(トーラス)は2026年5月6日、キプロス証券取引委員会(CySEC)からMiFID II(欧州金融商品市場指令:EU域内での投資サービスを規制する枠組み)に基づく投資会社ライセンスを取得したと発表しました。これにより同社は、EU加盟27カ国すべてにおいて、トークン化された債券や株式、ファンド持分などの金融商品に関する投資サービスを提供することが可能になります。機関投資家向けのデジタル資産インフラ提供企業として、EU全域を対象としたMiFIDライセンスを取得したのは同社が初の事例とされています。

EU加盟27カ国への事業拡大とMiFID IIライセンスの意義

TaurusがEU全域でのMiFID IIライセンス取得、トークン化証券の展開を加速

Taurusが今回取得したMiFID IIライセンスは、EU域内で株式や債券、ファンド持分といった金融商品に関する投資サービスを提供するために必要となる規制枠組みです。このライセンス取得により、同社は特定の国だけでなく、EU加盟27カ国すべてにおいてトークン化された金融商品の展開が可能となります。

同社は2018年の設立以来、暗号資産(仮想通貨)だけでなく、RWA(現実資産)やステーブルコイン、デジタル通貨などの発行、保管、取引を支える機関投資家向けのインフラを提供してきました。今回のライセンス取得は、これまで各国の規制に個別に対応する必要があった欧州市場において、共通の枠組みでサービスを広げるための重要な基盤になると見られます。

迫るMiCA移行期限と法規制への対応

欧州では現在、暗号資産市場規則(MiCA)の導入が進んでおり、移行期間が2026年7月1日に終了する予定です。この期限以降、EU域内で事業を継続するためには適切なライセンスの取得が不可欠となります。Taurusがこの時期にライセンスを取得したことは、規制環境の変化に先んじて対応し、EU全域での事業継続性を確保する狙いがあると考えられます。

また、Taurusは2021年にスイス金融市場監督機構(FINMA)から証券会社ライセンスを取得しています。今回のMiFID IIライセンス取得により、同社はスイスとEUの両市場において、デジタル資産のカストディ(保管)やトークン化技術、さらには金融商品向けの投資サービスを統合的に提供できる体制を整えたことになります。

機関投資家向けデジタル資産インフラの強化

Taurusは一般個人向けの取引所ではなく、金融機関や機関投資家を対象にインフラを提供するB2Bモデルに特化しています。同社のプラットフォームは、従来の金融商品とデジタル資産を橋渡しする役割を担っており、今回のライセンス取得はその信頼性を裏付けるものとなります。

特にRWA(現実資産)のトークン化市場において、EU全域をカバーできるライセンスを持つことは、国境を越えた資産運用を検討する機関投資家にとって重要な選択基準になると見られます。スイスでの実績に加え、EU全域での法的な裏付けを得たことで、同社の提供するカストディやトークン化サービスの利用がさらに進む可能性があります。

ポイント

  • スイスのTaurusがキプロス当局(CySEC)からMiFID IIライセンスを取得しました。
  • EU加盟27カ国において、トークン化された株式や債券などの投資サービスが可能になります。
  • 機関投資家向けインフラ企業として、EU全域を対象としたMiFIDライセンス取得は初の事例です。
  • 2026年7月に迫るMiCAの移行期間終了を見据えた、規制遵守の動きとして注目されます。
  • スイス(FINMA)とEUの両方でライセンスを保有し、欧州全域での事業基盤が強化されました。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

ニュース
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta