ビットコインの筆頭保有企業として知られるStrategy(ストラテジー)社は2026年5月5日、2026年第1四半期(1月〜3月)の決算を発表しました。同期の純損失は125億4000万ドル(約1兆9437億円)に達しており、ビットコイン価格の下落に伴う未実現損失(含み損)の拡大が主な要因となっています。巨額の損失を計上する一方で、同社はビットコインの買い増しを加速させており、独自の金融商品を通じた資金調達モデルを強化しています。
ビットコイン価格の変動が直撃した第1四半期決算
2026年第1四半期、ビットコイン価格は1月1日の約8万7000ドルから、3月31日には約6万8000ドルへと約22%下落しました。この価格変動により、同社が保有する膨大なビットコイン資産に巨額の評価損が発生し、最終的な純損失を押し下げる結果となりました。
しかし、第2四半期に入ってからはビットコイン価格が回復傾向にあり、5月7日時点では約8万1000ドルで推移しています。同社は価格下落局面でも買い増しを継続しており、2026年に入ってから5月3日までの間に、約116億8000万ドル(約1兆8104億円)もの資金を市場に投じています。
優先株「STRC」による新たな資金調達モデル
Strategy社のビットコイン戦略を支える大きな原動力となっているのが、優先株「STRC(Series A Perpetual Stretch Preferred Stock)」への強い需要です。優先株とは、普通株に比べて配当を優先的に受け取れるなどの権利が付与された株式を指します。
同社によれば、今年に入ってからの累計資金調達額のうち、約48%にあたる55億8000万ドル(約8649億円)がこのSTRCによるものです。STRCは、ビットコインへの間接的な露出を求める投資家から高い支持を得ており、同社がビットコインを迅速に買い増すための主要な資金源となっています。
保有量は世界最大の81万BTC超へ、戦略の柔軟性も示唆
2026年5月3日時点で、Strategy社のビットコイン総保有量は81万8334BTCに達しました。これはビットコインの総供給量の約3.9%に相当し、企業による保有量としては世界最大規模です。全保有資産の平均取得価格は1BTCあたり7万5537ドルとなっており、現在の市場価格(約8万1000ドル)を考慮すると、含み益の状態にあると見られます。
注目すべきは、これまで「ビットコインは絶対に売却しない」という姿勢を貫いてきたマイケル・セイラー会長が、今回の決算説明において戦略の柔軟性を示唆した点です。セイラー氏は、STRCの配当支払いや企業の利益に資する場合、保有するビットコインの一部を売却する可能性について言及しました。これは、同社が単なる保有企業から、ビットコインを基盤としたより能動的な「金融プラットフォーム」へと進化しようとしている兆しと捉えることができます。
ポイント
- 2026年第1四半期の純損失は125億4000万ドル。ビットコインの価格下落による評価損が主因。
- 累計保有量は81万8334BTCに到達。平均取得価格は7万5537ドルで、世界最大の保有企業としての地位を固めています。
- 優先株「STRC」が資金調達の柱となり、今年だけで約55.8億ドルを調達。投資家からの強い需要が買い増しを支えています。
- マイケル・セイラー氏は、配当支払いのためのビットコイン売却の可能性に言及。従来の「永久保有」から柔軟な運用への転換が注目されます。
- 本業のソフトウェア事業の売上高は前年同期比で11.9%増加しており、ビットコイン以外の事業基盤も成長を維持しています。