米資産運用最大手のブラックロック(BlackRock)は、米通貨監督庁(OCC)に対し、ステーブルコインの規制枠組みである「GENIUS法」の実施に向けたコメントレターを提出しました。同社は、適切な規制のもとでステーブルコインが決済システムの効率化やリアルタイム決済の実現に寄与するとの認識を示しています。その上で、準備資産の適格性拡大やトークン化資産の扱いに関する7つの具体的な提言を行いました。
GENIUS法と認可発行体(PPSI)の枠組み
GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)は、2025年7月に成立したステーブルコインに関する包括的な連邦法です。この法律は、米国内で決済用ステーブルコインを発行できる主体を「認可決済ステーブルコイン発行体(PPSI: Permitted Payment Stablecoin Issuers)」と定義し、連邦レベルでの監督体制を構築するものです。OCCは現在、この法律を運用するための詳細なルールの策定を進めており、準備資産の構成、資本金要件、カストディ(保管)、利息支払いの禁止措置などについて業界からの意見を募っています。
準備資産の適格性拡大とトークン化資産への制限撤廃
ブラックロックは、ステーブルコインの信頼性を支える準備資産の要件について、より柔軟な基準を求めています。主な提言として、OCCが検討している「トークン化された準備資産を総額の20%までに制限する」という案への反対を表明しました。同社は、資産のリスクはクレジットの質や流動性、期間によって判断されるべきであり、ブロックチェーン上で管理されているかどうかという技術的な形式はリスクの本質に関係しないと主張しています。
また、米国債に投資するETF(上場投資信託)を準備資産として明示的に認めることや、当日決済が可能な政府系マネー・マーケット・ファンド(GMMF)を流動性要件の計算に含めることも提案しています。これにより、発行体がより効率的に準備資産を運用できる環境を整える狙いがあると見られます。
決済システムの高度化と業界への影響
ブラックロックのデジタル資産責任者であるロバート・ミッチニック氏らは、ステーブルコインがリアルタイム決済などの新たな金融機能を提供し、既存の決済システムを改善する可能性があると述べています。同社は、厳格な定量的制限を課す規制よりも、原則に基づいたアプローチ(Option A)を支持しており、これによりイノベーションと安全性の両立が可能になるとの見解を示しています。
今回の提言は、同社が展開するトークン化基金「BUIDL」などの成長を阻害しない規制環境を求める側面もあり、今後のステーブルコイン市場における機関投資家の参入障壁を下げる重要な議論になるとされています。GENIUS法の最終的なガイドラインは2027年1月までに策定される予定です。
ポイント
- 2025年に成立したステーブルコイン規制「GENIUS法」の実施に向け、ブラックロックがOCCへ意見書を提出。
- トークン化された準備資産に対する20%の保有上限案に対し、資産の本質的なリスクに基づかないとして撤廃を要求。
- 米国債ETFや政府系マネー・マーケット・ファンド(GMMF)を準備資産として正式に認めるよう提言。
- ステーブルコインを決済システムの効率化とリアルタイム決済を実現する手段として高く評価。
- 2027年1月の最終ガイドライン策定に向け、業界最大手として規制の柔軟性と実務への適合を強調。