SBIホールディングスは2026年5月12日、傘下の連結子会社を通じて米Circle社が開発する「ARC Token」のプレセールに参加したことを発表しました。ARC Tokenは、ステーブルコイン決済に特化したレイヤー1ブロックチェーン「Arc」のネイティブトークンであり、同ネットワークのガバナンスやセキュリティを支える役割を担います。この動きは、日本国内でのステーブルコイン普及に向けた両社の戦略的提携をさらに強化するものと見られます。
ステーブルコイン決済に特化した新ブロックチェーン「Arc」の概要
Arcは、Circle社の子会社であるCircle Technology Servicesが開発を進めている、ステーブルコイン決済および機関投資家向け金融に特化したレイヤー1(L1)ブロックチェーンです。2025年10月にテストネットが稼働しており、2026年夏にはメインネットのローンチが予定されています。
Circle社が2026年5月11日に発表した第1四半期決算によると、今回のプレセールでは総額2億2,200万ドル(約350億円)が調達されました。この資金調達には、SBIグループのほか、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)やブラックロック(BlackRock)、アポロ・ファンズ、インターコンチネンタル取引所(ICE)といった世界的な金融機関や投資家が参加しており、ネットワークの完全希薄化後評価額(FDV)は30億ドルに達したとされています。
ARC Tokenは、Arcネットワークにおける以下の重要な機能を担うデジタルアセットとして設計されています。
- ガバナンスへの参加
- ネットワークのセキュリティ維持(ステーキング等)
- ネットワーク運営の調整メカニズム
SBIとCircleの戦略的提携の進展
SBIグループとCircle社は、これまでも日本国内におけるステーブルコイン「USDC」の流通を軸に協力関係を築いてきました。2023年の基本合意書(MOU)締結に始まり、2025年3月にはSBI VCトレードが国内で初めてUSDCの取り扱いを開始しています。また、両社は合弁会社「Circle SBI Japan株式会社」を設立しており、日本国内でのUSDC普及とWeb3関連サービスの推進を共同で進めています。
今回のプレセール参加について、SBIはCircle社との戦略的関係をさらに発展させるための投資であると説明しています。SBIは2026年2月にStartale社と共同で金融特化型L1ブロックチェーン「Strium(ストリウム)」を発表しており、ArcやCanton、Tempoといった他の金融向けブロックチェーンと並び、オンチェーンでの金融インフラ構築に注力する姿勢を鮮明にしています。
業界への影響と今後の展望
今回のプレセール成功とSBIの参加は、ステーブルコインが単なる決済手段に留まらず、独自のブロックチェーンインフラを持つ「経済OS」へと進化していることを示唆しています。特に、上場企業であるCircle社がブロックチェーンの正式稼働前にトークンのプレセールを実施し、伝統的な金融大手から多額の資金を集めた点は、Web3業界における資金調達の新たな事例としても注目されています。
Arcは、ステーブルコインをガス代(ネットワーク手数料)として使用できる仕組みや、規制対応を念頭に置いたプライバシー設定など、従来のパブリックブロックチェーンが抱えていた機関投資家向けの課題を解決することを目指しています。メインネットのローンチが近づく中、SBIグループがこのインフラに深く関与することで、日本国内のビジネスシーンにおけるステーブルコインの活用が加速する可能性があります。
ポイント
- SBIホールディングスがCircle社の新L1「Arc」のネイティブトークン「ARC」のプレセールに参加しました。
- Arcはステーブルコイン決済に特化したブロックチェーンで、2026年夏のメインネット稼働を目指しています。
- プレセールではa16zやブラックロックを含む投資家から、計2億2,200万ドルが調達されました。
- SBIはUSDCの国内流通や合弁会社設立を通じ、Circle社との戦略的提携を継続的に強化しています。
- 金融特化型ブロックチェーンへの投資を強めるSBIの動向は、Web3の社会実装を目指すビジネスパーソンにとって重要な指標となります。