インタートレード、デジタルアセットマーケッツ、AndGoの3社は、国産ハードウェアウォレット「AndGo Wallet」とFireblocksを統合したデジタル資産管理ソリューションの実証実験を完了しました。この取り組みは、国内金融機関が求める高度なセキュリティと資産管理機能の両立を目指したものです。デジタル資産の鍵管理を国内で完結させることで、海外ベンダーへの過度な依存を抑え、日本の金融インフラにおける経済安全保障上のリスクを低減する狙いがあります。
海外依存リスクの低減と国内運用の自立性確保
デジタル資産が金融インフラの一部として普及するなか、資産の移転権限を司る秘密鍵の管理を海外ベンダーや国外システムに依存することは、安全保障上の課題とされています。万一、海外サービスの停止やサプライチェーンの混乱が発生した場合、国内金融機関の資産保全や決済の継続性に直接的な影響を及ぼす可能性があるためです。今回のソリューションでは、金融機関が物理的に国内でAndGo Walletを所有・運用することで、鍵管理基盤を国内で把握できる体制を構築します。これにより、サイバーセキュリティの強化に加え、重要インフラとしての自立性確保が期待されています。
国産技術とグローバルな管理機能の統合
本実証で使用された「AndGo Wallet」は、AndGo社が国内で開発・製造するエンタープライズ向けのハードウェアウォレットです。一度もインターネットに接続しないコールドウォレット(ネットワークから隔離された状態で秘密鍵を保管する仕組み)であることや、マルチシグ(複数の署名を必要とする仕組み)、秘密分散MPC(複数の当事者が秘密情報を明かさずに計算を行う技術)型署名フローによる複数人認可などの特徴を備えています。今回の検証により、これらの国内鍵管理インフラと、Fireblocks(デジタル資産の保管や転送を管理するプラットフォーム)が提供する柔軟なポリシー制御やワークフロー機能を、技術的に両立できることが確認されました。
商用化に向けた今後の体制
実証実験の成功を受け、今後は各社が役割を分担して展開を進める計画です。ソフトウェアハウスであるインタートレードは、本ソリューションの商用化を推進します。デジタルアセットマーケッツは、金融機関や外部システムインテグレーター(SIer)との共創案件において本ソリューションの活用を図り、AndGoはウォレットの機能強化と提供を担うとしています。
ポイント
- 国産ハードウェアウォレットとFireblocksを統合し、国内で秘密鍵を管理できる金融機関向けソリューションの実証が完了しました。
- 秘密鍵の管理を国内で完結させることで、海外システムへの依存に伴う経済安全保障上のリスクを軽減する点で注目されます。
- オフライン管理のコールドウォレットやMPC技術など、国産の高度なセキュリティ技術が活用されています。
- 実証実験を通じて、国内での自社運用とFireblocksの高度な管理機能の両立という技術的実現性が確認されました。
- 今後はインタートレードによる商用化や、金融機関との共創案件への導入が計画されています。