暗号資産(仮想通貨)ハードウェアウォレット大手のLedger(レジャー)が、計画していた米国での新規株式公開(IPO)を中断したことが明らかになりました。先行して上場計画を停止した大手取引所のKraken(クラーケン)に続く動きであり、2026年に期待されていた暗号資産企業の連続上場という流れに停滞を招いています。市場環境の悪化を背景に、多くの企業が公的市場への参入を控え、プライベートキャピタル(民間資本)による資金調達へ舵を切る可能性が高まっています。
市場環境の悪化とLedgerの決断
フランスを拠点とするLedgerは、2026年内のニューヨーク証券取引所への上場を目指し、ゴールドマン・サックス、ジェフリーズ、バークレイズをアドバイザーに起用して準備を進めていたとされています。同社は1,000億ドル以上の顧客資産を保護し、世界で700万台以上のデバイスを販売する実績を持ち、上場時の評価額は40億ドル(約6,200億円)規模に達すると見られていました。
しかし、米証券取引委員会(SEC)への登録書類(S-1)の提出には至っておらず、現在の不安定な市場環境を考慮して計画を一時停止する判断を下した模様です。関係者の証言によれば、同社は今後、公募ではなくプライベートな資金調達を選択肢として検討するとされています。
相次ぐ上場中断の背景と業界への影響
2026年は当初、暗号資産業界にとって歴史的な上場ラッシュの年になると予測されていました。しかし、2025年末に10万ドル付近を推移していたビットコイン価格が2026年4月中旬までに約7万5,000ドルまで下落し、スポット取引量も減少するなど、市場の熱気が冷え込んでいます。また、暗号資産分野へのベンチャーキャピタル(VC)流入額が2026年3月から4月にかけて74%急減したことも、企業の経営判断に影響を与えたと見られます。
Krakenも同様に、2025年末にSECへ機密扱いで登録書類を提出し、2026年前半の上場を目指していましたが、現在は計画を中断しています。2026年1月に上場を果たしたカストディ企業BitGo(ビットゴー)の株価が、5月時点で公開価格を30%以上下回って推移していることも、未上場企業が慎重な姿勢を強める要因となっています。
2025年との対照的な状況
今回の停滞は、多くの暗号資産企業が上場を成功させた2025年の状況とは対照的です。2025年には、ステーブルコインUSDCの発行元であるCircle(サークル)や、取引所のBullish(ブリッシュ)、Gemini(ジェミニ)などが上場し、合計で140億ドル以上の資金を調達しました。
2026年に入り、LedgerやKrakenといった有力企業が相次いで計画を白紙化したことで、業界全体の公開市場へのアクセスは当面の間、限定的なものになると予想されます。一方で、資産運用大手のGrayscale(グレースケール)なども上場を視野に入れているとされていますが、具体的な進展は見られていません。
ポイント
- Ledgerが米国IPO計画の中断を決定し、先に中断を発表したKrakenに続く形となりました。
- ビットコイン価格の下落やVC投資の急減といった市場環境の悪化が、上場見送りの主な要因とされています。
- Ledgerは40億ドルの評価額での上場を目指していましたが、今後はプライベートキャピタルによる資金調達にシフトする可能性があります。
- 2025年の上場ラッシュとは一転し、2026年はBitGoの上場後の株価低迷もあり、企業の慎重な姿勢が際立っています。
- 暗号資産企業の公的市場への参入パイプラインが停滞しており、業界の資金調達戦略に変化が生じている点で注目されます。