東証グロース市場に上場する株式会社フィスコは2026年5月14日、暗号資産・ブロックチェーン事業から撤退することを発表しました。同社は今後、報告セグメントから当該事業を除外し、自社発行の暗号資産「フィスココイン(FSCC)」に関するバリューアップ施策や焼却(バーン)予定をすべて中止します。国内の上場企業として早い段階から暗号資産領域に関与してきた同社の撤退は、事業戦略の大きな転換を意味します。
事業内容の変更と報告セグメントの再編
フィスコは、2026年12月期第1四半期決算より、従来の「情報サービス事業」「広告代理業」「暗号資産・ブロックチェーン事業」の3区分から、暗号資産・ブロックチェーン事業を除外した2区分へと報告セグメントを変更します。
これに伴い、同社が提供してきた暗号資産関連の各種サービスも順次終了します。具体的には、投資家向け情報サイト「CLUB FISCO」で提供されていたFSCC決済対応コンテンツやステーキング(暗号資産を保有することで報酬を得る仕組み)関連コンテンツの販売が終了となります。また、「フィスコ web」の「Learn to Earn(学習して報酬を得る)」機能を通じて獲得したポイントをFSCCへ交換できるサービスも停止されます。
自社暗号資産「FSCC」に関する施策の中止
今回の事業撤退において特筆すべき点は、自社発行の暗号資産であるFSCCの運用方針が大幅に変更されたことです。フィスコはFSCCの利用促進に向けた各種施策を終了するとともに、以前より予定していたFSCCの焼却(バーン:供給量を減らすことで希少性を高める行為)を中止することを決定しました。
今後、FSCCに関する新規のバリューアップ施策や利用拡大施策、関連サービスの開発・提供は一切行わない方針です。同社は2016年10月から当時の暗号資産取引所「Zaif」でFSCCの取り扱いを開始していましたが、今回の決定により、発行体としての積極的な関与を終了することになります。
2016年からの事業展開と撤退の背景
フィスコは2016年4月にフィスコ仮想通貨取引所を設立し、2018年にはテックビューロから暗号資産取引所「Zaif」事業を譲り受けるなど、日本国内の上場企業の中でも先駆的に暗号資産領域へ参入していました。
しかし、2025年12月には金融庁の証券取引等監視委員会から、暗号資産評価に関する虚偽記載を理由に課徴金納付命令の勧告を受けるといった事案も発生していました。今回の撤退は、こうした過去の経緯や事業環境の変化を踏まえた経営判断と見られます。
ポイント
- フィスコが暗号資産・ブロックチェーン事業を事業内容から外し、報告セグメントを2区分に縮小します。
- 自社暗号資産「FSCC」の焼却(バーン)中止と、すべての新規バリューアップ施策の終了が発表されました。
- 「CLUB FISCO」でのFSCC決済やステーキング、Learn to Earnの交換サービスも終了となります。
- 2016年の参入から約10年、Zaif事業の承継などを経て、上場企業による暗号資産事業からの撤退事例となりました。
- 2025年末に受けた金融庁監視委による課徴金勧告など、コンプライアンス面での課題も背景にある可能性があります。