クロスチェーン流動性プロトコルのTHORChainにおいて、複数のブロックチェーンを対象とした同時多発的なエクスプロイト(不正利用)が確認されました。オンチェーン調査者のZachXBT氏らによると、被害額は1,000万ドル(約15.6億円)を超えるとされています。この事態を受け、プロトコルは全ての取引を一時停止する緊急措置を講じました。
組織的なマルチチェーン攻撃による被害の拡大
オンチェーン調査者のZachXBT氏がTelegramを通じて発信したアラートによると、今回の攻撃はBitcoin、Ethereum、BNB Chain、およびBase(Ethereumのレイヤー2ソリューション)の少なくとも4つの主要ネットワークに及んでいます。
当初の被害見積もりは約740万ドルとされていましたが、その後の詳細な調査により、盗まれた資金は1,000万ドルを上回ることが判明しました。一部の報告では、被害額が約1,100万ドルに達しているとの指摘もあります。セキュリティ企業のPeckShieldも同様の不審な動きを検知しており、今回の事案は高度に調整された組織的な攻撃であった可能性が高いと見られています。
プロトコルの緊急停止と市場への影響
不正流出の検知を受けて、THORChain側は「グローバル・エマージェンシー・ハルト(Global Emergency Halt)」を実行しました。この措置により、接続されている全てのチェーン間での取引(スワップ)や署名機能が一時的に停止されています。THORChainのセキュリティ規定によれば、この機能はノードによって制御される緊急用のもので、資産のさらなる流出を防ぐために導入されました。
このニュースが市場に伝わると、ネイティブトークンであるRUNEの価格は即座に反応し、数分間で約12%から15%の急落を記録しました。THORChainは過去にもセキュリティ上の課題や、不正資金の洗浄に利用されているといった批判に直面しており、今回の事件によってプロトコルの堅牢性とガバナンスに対する懸念が改めて浮き彫りになっています。現時点でチームからの公式な詳細声明や、資金回収に向けた具体的なスケジュールは明らかにされていません。
ポイント
- ZachXBT氏とPeckShieldが、THORChainにおける1,000万ドル超の不正流出を報告しました。
- 攻撃対象はBitcoinやEthereumを含む4つの主要ネットワークにわたり、極めて組織的な手口であったと見られます。
- 被害拡大を阻止するため、プロトコル側は全ネットワークでの取引を一時停止する緊急措置を講じました。
- ネイティブトークンRUNEの価格が短時間で15%近く下落するなど、投資家心理に大きな影響を与えています。
- 過去のセキュリティ事案に続く今回の流出は、クロスチェーンプロトコルのリスク管理における重要な課題を改めて示しています。