東証スタンダード市場に上場する美容・小売大手の株式会社ヤマノホールディングスは、2026年5月15日、M&A(企業の合併・買収)戦略における暗号資産の活用検討と、ビットコイン(BTC)の取得枠設定を発表しました。同社は年間10億円を上限にビットコインを取得する方針で、これをM&Aの譲渡対価の一部として活用することを目指しています。老舗企業によるこの動きは、日本国内の企業財務戦略における暗号資産の存在感が高まっていることを示唆しています。
ビットコイン取得枠の設定と運用の詳細
今回の発表によると、ヤマノホールディングスが設定したビットコインの年間購入上限額は10億円です。取得の実施期間は2026年6月から2027年5月までを当初の予定としています。
取得方法については、価格変動リスクを抑えるため、一定額を定期的に購入する分割取得(ドル・コスト平均法)を基本とする方針です。同社は1909年創業の森田ふとん店を源流とする老舗企業であり、現在は美容、和装宝飾、教育、リユース、フォト事業など多角的なビジネスを展開しています。今回のビットコイン取得は、こうした既存事業のさらなる拡大に向けた投資戦略の一環と見られます。
M&A対価への活用と財務上の狙い
同社が検討している最も特徴的な施策は、M&Aにおける譲渡対価の一部としてビットコインなどの暗号資産を組み合わせる手法です。
この戦略の主な目的は、現金対価を基本としつつも、案件ごとの初期キャッシュアウト(現金の流出)を抑制し、資金配分の柔軟性を高めることにあります。また、暗号資産を対価として受け取る売り手側のリスクを考慮し、一定の条件で同社に暗号資産を買い戻させる権利である「プットオプション」などの設計も検討されています。
さらに、取得・保有したビットコインについては、ただ保有するだけでなく、貸暗号資産(保有する暗号資産を貸し出して利息を得るサービス)などの活用も視野に入れており、資産の有効活用を図る方針です。
国内上場企業に広がる暗号資産保有の動き
日本国内の上場企業において、ビットコインを財務資産として保有する動きは加速しています。過去の事例では、gumiやANAP、リミックスポイント、東邦レマックといった企業もビットコインの購入や保有を公表しています。
ヤマノホールディングスの事例は、単なる資産保有にとどまらず、M&Aという具体的な事業戦略の決済手段として暗号資産を組み込もうとしている点で、企業のWeb3技術活用の新しい段階を示すものといえます。
ポイント
- 1909年創業のヤマノホールディングスが、年間最大10億円のビットコイン取得枠を設定しました。
- 取得したビットコインは、M&Aの譲渡対価の一部として活用される可能性が検討されています。
- 現金支出を抑制し、資金配分の柔軟性を高める財務戦略としての側面があります。
- 売り手保護のためのプットオプションや、貸暗号資産による運用も視野に入れています。
- 国内上場企業の間でビットコインを事業戦略に組み込む動きが具体化している事例として注目されます。