米上院銀行委で包括的仮想通貨法案「クラリティ法案」が可決、8月までの成立が焦点に

米国上院銀行委員会において、暗号資産(仮想通貨)市場の包括的な法的枠組みを定める「CLARITY Act(クラリティ法案)」が賛成多数で可決されました。この法案は、長年続いてきた規制権限の争いに終止符を打ち、機関投資家の参入障壁を大幅に下げることが期待されています。しかし、専門家からは11月の中間選挙を前に、8月までの成立が不可欠であるとの指摘が出ています。

委員会の可決と成立に向けたタイムリミット

米上院銀行委で包括的仮想通貨法案「クラリティ法案」が可決、8月までの成立が焦点に

2026年5月14日、上院銀行委員会は「CLARITY Act(クラリティ法案)」を15対9の超党派による賛成多数で可決しました。共和党議員13名全員に加え、民主党からもルーベン・ガレゴ議員(アリゾナ州)とアンジェラ・アルソブルックス議員(メリーランド州)が賛成に回り、本会議での支持獲得に向けて期待が高まっています。

しかし、金融サービス会社NYDIGのグローバルリサーチ責任者、グレッグ・シポラロ氏は、法案成立には厳しいタイムリミットがあると指摘しています。ホワイトハウスの暗号資産担当上級顧問パトリック・ウィット氏は、7月4日の独立記念日までの可決を目標に掲げていますが、シポラロ氏はこれを「理想的な目標値」と分析しています。

現実的な可決のウィンドウは6月から8月初旬までと見られています。9月以降は中間選挙に向けた選挙運動期間に入るため、この期間内に成立しなければ、法案が完全に停滞するリスクがあるとされています。

法案がもたらす市場構造の変化と機関投資家への影響

クラリティ法案は、米国における暗号資産の管轄権を明確にする初の包括的な法的枠組みです。主な内容は以下の通りです。

  • 管轄権の明確化:暗号資産を、証券取引委員会(SEC)が管轄する「証券」と、商品先物取引委員会(CFTC)が管轄する「商品(コモディティ)」に明確に区分します。
  • ビットコインの法的地位:ビットコイン(BTC)を法的に「商品」として位置づけます。
  • 機関投資家と銀行の参入:法案が成立すれば、機関投資家の参入障壁が下がるほか、銀行による暗号資産の直接保有や、分散型金融(DeFi)への参加も認められるようになります。

この法案は、これまで規制の不透明さを理由に参入を控えていた伝統的な金融機関にとって、大きな転換点になると見られています。

残された懸念事項と調整の難航

委員会での可決という前進があった一方で、本会議採決に向けては依然としていくつかの障害が残っています。

最大の争点となっているのは、議員や政府高官の暗号資産関連活動を制限する「倫理規定」です。民主党側は現行案の規定を不十分とみなしており、さらなる修正を求める可能性があります。また、DeFiにおけるマネーロンダリング対策(AML)の枠組みや、ステーブルコインの利回り規定をめぐる銀行業界団体からの圧力も、今後の審議に影響を与える懸念材料とされています。

市場はこの動きを注視しており、委員会可決の報道を受けてビットコイン価格が81,000ドルを超えるなど、規制の進展に対する期待感が反映されています。

ポイント

  • クラリティ法案が上院銀行委で15対9の賛成多数で可決され、超党派の支持を得た。
  • 規制権限をSECとCFTCで明確に区分し、ビットコインを「商品」と定義する初の包括的な枠組みである。
  • 銀行による暗号資産の直接保有やDeFiへの参加が認められる可能性があり、機関投資家の参入を促す点で注目される。
  • 9月の中間選挙運動期間に入る前の「8月まで」が法案成立の現実的な期限とされている。
  • 官僚の倫理規定やDeFiのマネロン対策、ステーブルコイン規制をめぐる業界間の調整が今後の課題となる。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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