指数算出大手のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは2026年10月13日、同社の正式な指数データを使った店頭デリバティブ取引がブロックチェーン上で実行されたと発表しました。取引は機関投資家向けブロックチェーンであるカントン・ネットワーク上の基盤「デリブネックス」を通じて、DRWとマレックスの間で成立しました。分散台帳基盤上で完全にトークン化された指数を参照する店頭デリバティブとしては世界初の事例となります。従来の店頭取引で負担となっていた複数システム間での照合や連絡作業を、共通のオンチェーンデータで統合管理できる点において重要な進展と見られます。
株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。
カントン・ネットワーク上で成立したトータルリターン・スワップ
今回成立した取引は、対象資産の価格変動や利息などの運用成果をやり取りする「トータルリターン・スワップ」です。この取引形式では、対象となる資産を直接保有することなく、その資産の価格変動や運用成果に連動した取引が可能になります。
店頭(OTC)デリバティブは、証券取引所などの公開市場を介さず、金融機関や機関投資家などの当事者間で直接行われる取引です。機関投資家が保有資産のリスク調整を行ったり、特定の資産の値動きに応じた収益を追求したりする手段として、既存金融において広く活用されています。今回の取引は、DRWとマレックスがカントン・ネットワーク上に構築された店頭デリバティブ基盤「デリブネックス」を利用して行われました。
Kaikoによるデータ連携と契約管理の効率化
ブロックチェーン上でこの取引を成立させるデータ基盤を担ったのが、データ企業のKaikoです。Kaikoは、S&Pの正式な指数データをブロックチェーン上の取引環境で利用できるように処理しました。
既存の金融取引におけるスワップ契約では、契約成立後の資産評価や取引記録の照合を行うために、複数の異なる社内システムや当事者間での個別連絡が必要とされていました。今回の仕組みでは、取引当事者の双方がブロックチェーン上の共通データと記録を参照するため、取引価値の算定や契約内容の変更などを効率的に管理できるようになっています。
デリブネックスにおける機能拡張の予定
デリブネックスは今後、取引の記録や評価にとどまらず、取引に伴う証拠金や担保の受け渡し、契約に基づく支払いについても同じ基盤上で扱えるように開発を進める予定です。これにより、店頭デリバティブ取引のライフサイクル全体をブロックチェーン基盤上で完結させる環境の整備が進む見通しです。
ポイント
- S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが、カントン・ネットワーク上でトークン化指数を参照する世界初の店頭デリバティブ取引を発表しました。
- 取引はDRWとマレックスの間で実施され、対象資産を直接保有せずに運用成果を交換するトータルリターン・スワップが成立しました。
- データ企業のKaikoが指数データをブロックチェーン上で利用可能にしたことで、当事者双方が共通の記録で評価や契約変更を管理できるようになりました。
- 従来は複数システムや個別連絡を要していた契約照合のプロセスをオンチェーンで効率化できる点で注目されます。
- 今後は証拠金や担保の受け渡し、支払い機能も同一基盤へ統合される予定であり、金融インフラのオンチェーン移行を具体化する事例として位置づけられます。
総研プライム
ブロックチェーンを、
徹底的に読み解く。
技術の仕組み、企業の戦略、市場の構造まで。独自の調査・分析で掘り下げる専門レポート。
初月無料で読む