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ブロックチェーン総研by Pacific Meta

Web3とは?意味と仕組み、企業の活用例を2026年10月時点で解説

Web3とは、ブロックチェーンを基盤に、利用者がデータや資産を自分で持ち、特定の企業を介さずにやり取りできるインターネットの形です。

データの持ち主は、どう変わる?
Web2.0では運営企業がデータと資産を預かる。Web3では利用者がウォレットで持ち、共通の記録でやり取りする。

政府は2022年6月に閣議決定した骨太の方針で、NFTやDAOの利用などWeb3.0の推進に向けた環境整備を明記しました。2023年6月1日には改正資金決済法の関連政令が施行され、ステーブルコインの仲介を登録制で扱う制度が始まっています。話題の中心はNFTブームから、決済や資産管理の実装へ移りました。

  • Web3はデータと資産の持ち主が利用者に移る構造の変化
  • 仕組みはブロックチェーン・ウォレット・契約自動化・トークン
  • 用途の中心は決済と権利の記録で、娯楽用途は一部
  • 国内では自治体のNFT市民証や円建てステーブルコインが登場
  • 企業の検討は業務課題の特定と規制・資産管理の確認が先
監修:ブロックチェーン総研編集部

株式会社Pacific Metaが運営する編集チームです。ステーブルコイン、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン、NFTなどのトークン活用や、オンチェーン金融、AI×ブロックチェーン領域の事業開発・実装、暗号資産の基礎知識と国内取引所の使い方まで、ブロックチェーン事業の支援で得た知見をもとに記事の企画・執筆・監修を行っています。編集部や運営会社の詳細は公式サイトと編集方針をご覧ください。

Web3とは分散型のインターネット

Web3は、インターネット上で誰がデータと価値を持つかが変わる構造を指す言葉です。イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッドは、2014年4月のブログ記事で「Web 3.0」を論じました。組織に情報を預ける前提を改め、合意が必要な情報は合意台帳に置くWebとして説明しています。

できること、データの持ち主、代表例でWeb2.0とWeb3を比べる。
Web1.0からWeb3への変化

同じ記事は、Google DriveやFacebook、Twitterのように運営企業へ情報を預けるクラウド型サービスを現行Webの例に挙げました。いわゆるWeb2.0の代表サービスでは、運営企業がデータを預かります。なお「Web3」と「Web3.0」は同じ概念の表記揺れで、Webページに意味情報を持たせるセマンティックWebの「Web3.0」とは別の話です。

区分できることデータの持ち主代表例
Web1.0読むサイトの運営者企業や個人のホームページ
Web2.0読む・書くプラットフォーム企業SNS、検索、クラウドストレージ
Web3読む・書く・所有する利用者(ウォレット)NFT、分散型取引所、ステーブルコイン

Web3が今も注目される理由

国内でWeb3が政策の言葉になったのは、骨太の方針2022からです。同方針は、より分散化され信頼性を確保したインターネットの推進と、ブロックチェーン上のデジタル資産の普及を背景に、分散型のデジタル社会の実現に向けた環境整備を図るとしました。

2014年の提唱から2025年の日本円建てステーブルコインの発行開始までの動き。
国内で進んだWeb3の整備

制度面では、2023年6月1日に電子決済手段等取引業の制度が始まりました。法定通貨の価値と連動するいわゆるステーブルコインの仲介等を業として行うには、資金決済法・銀行法に基づく登録が必要です。

観点NFTブーム期現在
主な話題デジタルアート、ゲームの報酬決済、資産のトークン化
担い手個人、スタートアップ金融機関、事業会社、自治体
制度整備の途中電子決済手段の登録制などが稼働

この変化はAIとも結びつきます。AIエージェントは銀行口座を開設できませんが、ウォレットは持てます。人の決済だけでなく、エージェント同士の支払いもブロックチェーン上のステーブルコインに載る、という前提で業界の実装が進んでいます。制度が整った領域から企業の実装が進んでいるのが現在の状況です。

Web3を支える仕組み

台帳、鍵、プログラム、価値の単位の役割を並べる。
Web3を動かす4つの技術

Web3は4つの技術の組み合わせで動きます。どれか1つではなく、台帳・鍵・プログラム・価値の単位がそろって初めて利用者が資産を持てます。

構成要素①:ブロックチェーン

ブロックチェーンは、取引の記録を多数のコンピューターで共有する分散型台帳です。一度記録した内容を後から書き換えにくく、特定の管理者がいなくても記録の正しさを確かめられます。

取引が多数のコンピューターで共有され、書き換えにくい記録として残る。
記録が共有される流れ

構成要素②:ウォレット

ウォレットは、秘密鍵(本人だけが持つ暗号の鍵)で資産と身分を管理する道具です。利用者は企業のアカウントではなく、自分の鍵でサービスにログインし資産を動かします。

ログイン、資産の管理、紛失時の扱いを比べる。
アカウントとウォレットの違い

構成要素③:スマートコントラクト

スマートコントラクトは、決めた条件を満たすと自動で実行されるプログラムです。代金の支払いと権利の移転を同時に行うなど、仲介者が担っていた確認作業を置き換えます。

条件の設定から支払いと権利の移転が同時に行われるまで。
条件で動く取引の例

構成要素④:トークン

トークンは、ブロックチェーン上で発行される価値や権利の単位です。暗号資産、NFT(唯一性を持つデジタル証明)、ステーブルコインが代表で、何を表すかによって適用される規制が変わります。

暗号資産、NFT、ステーブルコイン、権利を表すトークンを並べる。
トークンの主な種類

Web3でできることと具体例

Web3の用途は、金融と権利の記録に集中しています。

DeFi、NFT、DAO、ステーブルコイン決済の4領域。
Web3の主な用途
分野できること代表例
DeFi仲介者なしの交換・貸し借りPancakeSwapなどの分散型取引所
NFTデジタルの権利を売買・証明OpenSea
DAO保有者の投票で組織を運営トークン保有者による意思決定
ステーブルコイン決済法定通貨に連動する価値の送金日本円建てのJPYC

できること①:仲介者なしの金融取引

DeFi(分散型金融)は、スマートコントラクトで金融取引を動かす仕組みです。分散型取引所(DEX)のPancakeSwapでは、登録やアカウント無しに、利用者が自分のウォレットから直接トークンを交換できます。

口座の登録、資金の預け先、取引の相手を比べる。
従来の取引サービスとDEX

取引所が利用者の資金を預からない点が、従来の取引サービスとの大きな違いです。

できること②:デジタルの権利を売買する

NFTは、デジタルデータに唯一性を持たせ、所有を証明する仕組みです。OpenSeaはNFTの売買と作成ができるサービスで、作品や会員権を取引する場として使われてきました。

ブーム期から現在への使い方の変化。
NFTの使われ方の変化

ブーム期には、歩くと報酬が得られるSTEPNのようなゲームも話題になりました。現在は会員証やチケットなど、権利の記録としての使い方が中心になっています。

できること③:投票で組織を運営する

DAO(分散型自律組織)は、トークンの保有者が提案に投票し、結果をスマートコントラクトで実行する組織の形です。経営陣が決める代わりに、参加者の合意が記録として残る運営ができます。

提案、投票、実行、記録の順に進む。
DAOで決まるまでの流れ

できること④:ステーブルコインで送金する

ステーブルコインは、法定通貨などに価値を連動させたトークンです。価格変動を抑えた形でブロックチェーン上を送金でき、決済や企業間の資金移動の手段として実装が進んでいます。

国内企業・自治体のWeb3活用事例

国内でも、自治体や事業会社がWeb3の技術を業務に組み込み始めています。

加賀市、JPYC株式会社、CASIOの事例で従来の方法と比べる。
国内の活用事例の旧と新

石川県加賀市は「e-加賀市民制度」の導入に向け、2023年3月6日から24日まで、公募で選んだ参加者100名と実証実験を行いました。参加者はe-加賀市民証となるオリジナルNFTを取得しています。紙の登録証や名簿で管理していた関係人口を、NFTで証明する試みです。

決済では、JPYC株式会社が2025年10月に日本円建てステーブルコインJPYCの発行を開始しました(JPYC社公表)。同社は資金移動業者として登録を受け、JPYCは資金決済法上の電子決済手段として扱われます。

製品と顧客の関係では、CASIOがNFTを発行しており、Pacific Metaがその取り組みを支援しました。

主体何に使ったか旧新
加賀市関係人口の市民証紙の登録や名簿e-加賀市民証NFT
JPYC株式会社日本円の送金・決済銀行振込日本円建てステーブルコイン
CASIO製品ファンとの接点会員サイトの登録NFT

業務単位で見ると、Web3が入る候補には会員証・チケット・決済・ポイント・資産の小口化などがあります。自社の顧客接点のどこに載るかで、検討の入口が決まります。

ブロックチェーンやメタバースとの違い

Web3は概念、ブロックチェーンは技術、メタバースは仮想空間というサービスの形です。ニュースでは一緒に語られますが、同じ層の言葉ではありません。

ブロックチェーン、メタバース、NFT、暗号資産を並べる。
Web3と近い用語の違い
用語何かWeb3との関係
ブロックチェーン分散型台帳の技術Web3を支える土台
メタバース3Dの仮想空間サービスWeb3の技術を使う場合と使わない場合がある
NFT唯一性を持つトークンWeb3で権利を表す手段の1つ
暗号資産送金・交換に使うトークンWeb3上の価値の単位の1つ

メタバースは企業の運営する中央集権型サービスでも成り立つため、Web3と同義ではありません。

Web3の課題とリスク

Web3には投機や詐欺のイメージがつきまといます。損失が起きやすいのは鍵の管理、制度対応、処理能力、操作性の4か所で、分けて把握すると、どこで損失が起きるかが見えます。

鍵の管理、制度対応、処理能力、操作性の4つの確認点。
損失が起きやすい4か所

課題①:資産を自分で守る責任

ウォレットのリカバリーフレーズ(復元用の単語列)は、全アカウントへのマスターキーです。知られると資産を抜き取られ、詐欺で送った暗号資産は取り戻せません。銀行のような取消や補償の窓口がない前提で管理体制を組む必要があります。

リカバリーフレーズと送金の取消についての誤解と実際。
自己管理で起きやすい誤解

課題②:法制度と会計処理

国内で暗号資産と法定通貨の交換サービスを行うには、暗号資産交換業の登録が必要です。ステーブルコインの仲介にも、電子決済手段等取引業の登録が求められます。どのトークンを扱うかで登録の要否が変わるため、事業設計の後で気づくと手戻りになります。

暗号資産とステーブルコインの仲介で求められる登録を比べる。
扱うトークンと必要な登録

課題③:処理能力と手数料

利用者が増えると取引の処理が混み、手数料が上がるチェーンがあります。大量の決済を載せる業務では、チェーンの処理能力が設計の前提になります。

課題④:利用の複雑さ

ウォレットの作成や鍵の保管は、一般の利用者には手間がかかります。顧客向けサービスでは、操作の難しさが利用の離脱につながる点を見込む必要があります。

企業がWeb3の検討を始める手順

検討は4つの段階で進めます。

業務課題の特定、要否の判定、規制と会計の確認、実証の設計の順。
Web3の検討の進め方
  1. 解きたい業務課題を特定する(会員管理、決済コスト、権利の証明など)
  2. その課題にブロックチェーンが要るかを判定する(既存のデータベースで足りるなら使わない)
  3. 規制・会計・セキュリティを確認する(登録の要否、会計処理、鍵の管理方法)
  4. パートナーを選び、実証の設計を決める(何を確かめたら本格導入に進むかを先に定める)

実証は、本格導入の判断に必要な数字を取る場として設計します。

業務、制度、資産管理、体制の4つの観点で確認する。
検討を始める前の確認項目
検討の目的・論点確認すること確認先完了の判定
業務課題の特定対象業務と現状のコスト・手間事業部門、業務データ改善したい指標が1つに決まっている
ブロックチェーンの要否複数組織での記録共有や改ざん防止が要るかシステム部門既存DBとの比較で採否を説明できる
規制・登録の要否扱うトークンが暗号資産・電子決済手段に当たるか金融庁の公表資料、弁護士登録の要否と前提条件を文書化している
会計・税務トークンの会計処理と税務上の扱い監査法人、税理士処理方針を経理部門と合意している
資産管理とセキュリティ秘密鍵の保管方法と権限設計情報セキュリティ部門鍵の管理責任者と手順が決まっている
パートナー選定実装・運用・規制対応の体制候補企業の開示情報実証の範囲と判定基準を合意している

どの業務からブロックチェーンに載せるかの判断は、技術の選定だけでは決まりません。登録の要否、会計処理、鍵の管理体制が同時に絡み、事業部門・システム部門・法務と経理の判断が互いに前提になるため、社内の検討が要否の議論で止まりやすくなります。検討の進め方は支援内容で整理しています。

Pacific Metaのサービス

ブロックチェーンの事業構想・戦略設計を支援します。

業務課題の特定から適合性判断・PoC設計まで、導入検討の最初の一歩を伴走します。

事業構想・戦略設計サービスの詳細を見る

よくある質問

Web3とWeb3.0は同じですか?

同じ概念を指す表記揺れです。ブロックチェーンを基盤とする分散型のインターネットを意味します。Webページに意味情報を持たせるセマンティックWebも「Web3.0」と呼ばれることがあり、こちらは別の概念です。

Web3は終わったのですか?

NFTブーム期の熱は落ち着きましたが、制度に乗った実装は進んでいます。国内では2023年6月に電子決済手段の制度が始まり、2025年10月には日本円建てステーブルコインJPYCの発行が始まりました。

Web3とブロックチェーンは何が違いますか?

ブロックチェーンは記録の技術で、Web3はその技術の上で利用者が資産やデータを持つインターネットの形です。企業の検討では、Web3という言葉より、どの業務記録をブロックチェーンで共有するかを先に決めると話が具体になります。

個人がWeb3を始めるには何が必要ですか?

ウォレットを用意し、暗号資産やNFTを扱えるようにするのが一般的な入口です。暗号資産を購入する場合は、必ず金融庁に登録された国内の暗号資産交換業者を使ってください。リカバリーフレーズは誰にも教えず、オフラインで保管します。

Web3のまとめと企業の次の一歩

Web3は、データと資産の持ち主が利用者に移るインターネットの構造の変化です。話題の主役はNFTから決済と資産のトークン化へ移り、国内でも制度に沿った実装が始まっています。企業にとっての入口は、自社の会員・チケット・決済・ポイントのどこに載せるかの判断です。

利用者が資産を持ち、決済と権利の記録で実装が進み、企業は載せる業務から検討する。
Web3の要点と検討の入口

載せる業務を決めた後も、登録の要否や鍵の管理体制によって実装の形は変わります。部門をまたぐ論点を一度に整理できるかが、検討の速さを左右します。ブロックチェーン総研では、こうした実務の論点を引き続き取り上げます。

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