フルオンチェーンゲームについてご存知の方は、まだあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
本記事では、そんなフルオンチェーンゲームについて以下の点を中心にご紹介します!
- フルオンチェーンゲームとは?
- フルオンチェーンゲームの特徴
- NFTの種類の違いで起こること
フルオンチェーンゲームについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
Pacific Metaでは、Web3の事業に取り組む企業様向けにメールマガジンを配信しています。
これまで100件以上のプロジェクト支援して培ったノウハウをもとに、Web3業界の最新情報や、支援事例など、課題解決に役立つ情報をお届けします。
フルオンチェーンゲームとは?
フルオンチェーンゲームは、ゲームの要素全てがブロックチェーン上に存在する新しいゲームの形態です。これにはキャラクター、土地、ステータス、スキル、戦績、さらにゲームの動作ロジックまでが含まれます。
多くの現代のクリプトゲームは、キャラクターや土地がNFTとして存在するだけで、ゲームの核心部分はオフチェーンにあります。しかし、フルオンチェーンゲームは、その全てをブロックチェーン上に持つことを目指しています。
オフチェーンのゲームは、その運営企業が閉鎖すると、ゲーム自体がプレイ不可能になるリスクがあります。
NFTとしてのアイテムは残るものの、その活用は新しいゲームが開発されることを期待するしかない状態です。これは中央集権的な側面を持ち、ゲームの継続性が運営企業に依存してしまいます。
一方、フルオンチェーンゲームは、ゲームのロジックまでがブロックチェーンに存在するため、運営企業がなくなってもゲームは永続的に動作し続けることが可能とされています。
さらに、これらのゲームは中央集権ではなく、DAO(分散型自治組織)によって管理されることが多いです。
フルオンチェーンの特性とDAOの運営は、メタバースの真の実現に向けて、欠かせない要素となっています。
フルオンチェーンゲームの特徴
「Isekai Battle」というフルオンチェーンゲームを例として、フルオンチェーンゲームの特徴を紹介します。
OpenSeaで保有しているNFTキャラクターが消える
フルオンチェーンゲームでは、プレイヤーがNFTキャラクターをゲーム内で探索に出すと、OpenSeaの所持リストからそのキャラクターが一時的に消える現象があります。これにより、キャラクターが実際に探索活動をしているリアルな感覚を得られます。
初めてこの現象を経験した際、多くのユーザーは驚きや焦りを感じるかもしれません。
しかし、探索が終了しキャラクターをゲーム内で戻す操作を行うと、OpenSeaのリストに再び表示されるので大丈夫です。
ゲームで獲得したアイテムがOpenSeaに入る
フルオンチェーンゲームでは、プレイヤーがゲーム内で探索を行うと、特定のアイテムを「Claim」するチャンスが得られます。
これらのアイテムは、獲得後、プレイヤーのOpenSeaアカウントに自動的に追加されます。ゲームとプレイヤーの仮想通貨ウォレットは密接に連携しており、ゲーム内での取得や損失はウォレットにも反映されます。
このシステムにより、ゲームの進行と現実の資産がシームレスに結びついています。
また、OpenSeaに追加されたアイテムは、他のユーザーとの売買も可能となり、ゲーム内の活動が現実の経済活動に影響を与えられます。
ゲームをプレイするのにガス料金が必要
フルオンチェーンゲームでは、ゲーム内のNFTキャラクターへの操作にガス料金が発生します。
「Isekai Battle」というゲームでは、チームの構成変更やゲーム内で得たアイテムの受け取りにガス代が必要となります。
このゲームはプレイヤー間での宝探し競争が主要な要素で、他のプレイヤーが競争相手となるものの、実際の大きな敵はガス料金の高さかもしれません。
ゲーム進行のたびに発生するガス代が、プレイヤーの戦略や経済的判断に大きく影響することが予想されます。
ガス代はいくらかかる?
「Isekai Battle」ではNFTキャラクターをゲーム内で探索に出す際、ガス料金が発生します。
初めてキャラクターを探索に出した時点で、約30ドルのガス代がかかります。15体まで探索に出せる仕組みとなっており、キャラクターの数が増えるほどガス代も高まる傾向があります。
アイテムを取得する際にもガス代が発生し、約50ドルを支払います。
探索では、キャラクターのステータスを向上させるレアな種や、武器や防具など、合計42個のアイテムを獲得できます。
ちなみに、ステータス向上の「種」は7日以上の探索が必要です。
リリース初期には、この種を獲得しやすくなっているとの情報もあります。
獲得したアイテムはOpenSeaに表示され、将来的には取引の対象となる可能性も考えられます。
フルオンチェーンNFTのメリット
ここからはフルオンチェーンゲームの基盤であるフルオンチェーンNFTのメリットを解説します。
NFTが永続的に残る
NFTには「ブロックチェーン上で永遠に存在する」という特徴がよく強調されます。
しかし、多くのオフチェーンNFTは実際にはサーバー上にデータが保存されており、永続性の保証はありません。
一方、フルオンチェーンNFTはブロックチェーン上に完全に存在するため、その永続性は非常に高いです。
ブロックチェーンは、全世界のコンピュータネットワーク上でデータを分散管理する技術であり、この特性によりデータの改ざんが難しくなります。
特に、イーサリアムブロックチェーンで作成されたフルオンチェーンNFTは、イーサリアムが存在する限り、そのNFTも永遠に残ることが保証されます。
このように、フルオンチェーンNFTはその永続性とセキュリティで他のNFTよりも優れていると言えます。
価値が上がる
フルオンチェーンNFTは、その永続性とデータの改ざんへの耐性で、オフチェーンNFTよりも高い価値を持っています。
この特性の背後には、フルオンチェーンNFTの作成には高度な技術的知識と、ブロックチェーンの手数料としてのガス代が必要となるため、発行のハードルが高いことが挙げられます。
この高いハードルが、フルオンチェーンNFTの価値をさらに高めています。
フルオンチェーンNFTのデメリット
フルオンチェーンNFTにはもちろんデメリットもあります。デメリットを以下で解説していきます。
扱えるデータサイズが少ない
イーサリアムブロックチェーンでのデータの書き込み上限は約48KBと、非常に限られた容量です。このサイズは、スマートフォンの一般的な画像データのサイズ、数Mbを大きく下回ります。
48KBは日本語でおおよそ2.5万文字分となり、これは短編小説の平均的な文字数、3.2万〜6.5万文字にも満たない量です。そのため、大きなデータサイズの写真や動画をフルオンチェーンNFTとして取り扱うには、データの圧縮が不可欠です。
この制約から、ドット絵のようなデータサイズが小さいアートがNFTとして人気を集めているのです。
このデータサイズの制限は、フルオンチェーンNFTの大きな課題となっています。
技術力が必要
フルオンチェーンNFTの取り扱いには、高度な技術的知識と理解が求められます。
一般的なNFTプラットフォームを使用してのNFT発行は、基本的な知識(ガス代の概念など)で可能ですが、フルオンチェーンNFTの場合、その障壁は高くなります。
発行に関連するガス代は高額であり、さらにサービス手数料も発生します。
また、NFTが真にフルオンチェーンかどうかを判断するための知識も必要です。
例えば、使用されているブロックチェーンがイーサリアムでない場合、永続性が保証されないこともあります。
このような背景情報を把握することは、フルオンチェーンNFTの取り扱いにおいて不可欠です。
さらに、特定のサービスを利用せずに直接ブロックチェーンにデータを書き込む場合、プログラミングスキルが必須となります。
これらの要因から、フルオンチェーンNFTは技術的なハードルが高いと言えます。
フルオンチェーンNFTの事例
フルオンチェーンNFTの具体的な事例についても解説します。
CryptoPunks
2017年6月に登場したCryptoPunksは、10,000枚の特徴的なドット絵の顔アートのNFTコレクションとして知られています。
このコレクションはNFTの先駆けであり、フルオンチェーンの特性を活かすために、データ容量を節約する目的でドット絵が採用されました。
Visaという決済大手がこれを約1,700万円で取得したことは、その価値と注目度を示しています。
オリジナル・オタクコインNFT
オタクコイン協会は、アニメ愛好者たちと協力し、アニメ文化の普及を目指しています。
この協会は、その象徴として「オタクコインのロゴマークNFT」を制作し、100の異なる色で展開しました。これらのNFTは、世界で各色1枚ずつ、合計100枚のみが発行されています。
イーサリアム上でフルオンチェーン化されたことにより、その永続性と価値が保証されています。
一般財団法人オタクコイン協会は、ブロックチェーン技術を活用してオタク文化の発展をサポートしており、このNFTもその一環としてオークションで販売され、平均7万円の価格で取引されました。
元々はフルオンチェーンではありませんでしたが、再発行され、所有者に送られた際、ガス代として約150万円がかかったとのことです。
CyberBrokers
2022年3月に発行された「CyberBrokers(サイバーブローカーズ)」は、1万1体のフルオンチェーンNFTとして知られています。
公式HPには、このNFTをベースにした物語が展開されています。
サイバーブローカーズは、近未来のファッションを纏ったキャラクターNFTで、アーティスト「JosieBellini」氏によって生み出されました。
彼女は金融のバックグラウンドを持ちつつ、アートの分野でも実績を持つ才能あるクリエイターです。
Isekai Battle
「Isekai Battle」は2022年6月に6,500体のキャラクターNFTとして登場したフルオンチェーンゲームです。このゲームは、レトロなRPG風のキャラクターNFTを活用し、最低3体のキャラクターで参加できます。
特に注目されているのは、P2E(プレイ・トゥ・ア-ン)機能で、ゲームを楽しみながらNFTや仮想通貨を獲得できる点です。
プレイヤーは自分のNFTキャラクターを探索に送り、フラグメントという貴重なアイテムを見つけ出し、他のプレイヤーとの競争を楽しめます。
このゲームは、現実とゲームの境界が曖昧になるような没入感を提供しています。
MASAMUNE Erasure
「MASAMUNE Erasure」はスマートフォンのデータ消去ソリューションとして特化したサービスです。
このソリューションの特徴は、データ消去の完了証明をNFTとしてブロックチェーン上に記録する点にあります。これにより、クライアントはデータ消去の詳細情報、例えば消去の日時や担当者などを、ブロックチェーンを通じて確認することが可能となります。
フルオンチェーンの形式で情報が保存されるため、ブロックチェーンが存在する限り、その証明書は永続的に保持されます。
これにより、データの消去履歴の透明性と信頼性が大幅に向上しています。
NFTの種類の違いで起こることを分かりやすく解説
OpenSeaを例とすると、OpenSeaには「イーサリアム」と「ポリゴン」のNFTがあり、両者で発行されるNFTの種類は異なります。
NFTの種類が違うと何が起こるかを以下で詳しく解説します。
互換性がない
イーサリアム上で作成されたNFTは、ポリゴンなどの他のブロックチェーンに直接移動することはできません。ブロックチェーン間の取引も基本的には不可能です。
時折、意図せず誤ったブロックチェーンでNFTを発行し、結果として他のチェーンでの発行が制限されるケースが生じることがあります。
NFTを作成する際は、サービスの規約を確認することが重要です。
ただし、ブロックチェーン間の互換性を持たせる新しいサービスが増えてきており、将来的にはこの問題が緩和される可能性があります。
非対応のサービスでは利用できない
NFTはブロックチェーンごとに異なる特性を持っています。
例えば、人気のメッセンジャーアプリ「LINE」は、自社のブロックチェーンを使用した「LINE NFT」サービスを提供しています。
しかし、このLINE NFTは他の主要なマーケットプレイス、例えばOpenSeaでの利用は不可能です。逆に、OpenSeaのNFTをLINE NFTで使用することもできません。
したがって、特定のサービスでNFTを利用したい場合、そのサービスに適したブロックチェーンでNFTを作成する必要があります。
また、LINEのような独自ブロックチェーンの永続性は、イーサリアムと比較して必ずしも高いとは限らず、サービス終了のリスクも考慮する必要があります。
フルオンチェーンNFTの作り方
フルオンチェーンNFTの作り方を、フルオンチェーンNFTを作れるサービスと共に紹介します。
NFT-Drive
「NFT-Drive」は、先進的なフルオンチェーンNFT発行サービスで、一度作成されると編集が不可能なNFTを提供します。このサービスの特徴は、発行時の秘密鍵を破棄し、NFTの編集を絶対に許可しないことです。
これにより、アートや重要なデータの永続的な保存に適しています。
NFT-Driveは、仮想通貨「シンボル(XYM)」のブロックチェーンを使用し、多様なファイル形式をサポートしています。
2022年8月のレートで、10MBのデータをNFT化するのに約1.5万円の費用がかかるとされ、イーサリアムよりもコスト効率が良いとされています。
ただし、イーサリアムとの相互運用性はないため、利用時には注意が必要です。
サービスの詳細やテスト環境での利用は公式サイトで確認でき、シンボルの購入とウォレットへの送付が必要です。
COMSA
「COMSA」は、Symbolブロックチェーンを活用したフルオンチェーンNFTのプラットフォームです。このサービスを使用すると、特定のファイル形式のNFTを簡単に作成・取引できます。
対応ファイルには、画像(GIF、JPEGなど)、音楽(MP4、MP3など)、動画(MP4、WEBM)が含まれます。
NFTの発行には手数料がかかり、1MBあたり200XYM(約1000円)で、最大20MBまで対応しています。
さらに、販売や出品にも手数料が発生します。
しかし、日本語対応やクレジットカード決済のサポートなど、多くの利点があります。
初心者でも公式ガイドを参照すれば、手軽にNFTの取引が可能です。
また、COMSAには「エンドースメント」という特別な制度があります。
これは、クリエイターの初回NFT作成と販売手数料をサポートするもので、この制度を利用する支援者を「エンドーサー」と称します。
エンドーサーは、エンドースメントしたNFTが初回で売れた際に、手数料を受け取れます。
フルオンチェーンゲームに関するよくある質問
フルオンチェーンゲームに関するよくある質問を3つ紹介します。是非参考にしてください。
NFTにガス代がかかる理由はなんですか?
NFTの取引時に発生するガス代は、ブロックチェーン上での取引内容の正確性をネットワーク参加者に検証してもらうための報酬です。
このガス代の存在により、不正行為や攻撃を試みる悪意のある者には高額なコストがかかるため、ブロックチェーンのセキュリティが強化されます。
しかし、すべてのブロックチェーンでガス代が必要とされるわけではありません。
中央集権的な管理を持つ「プライベートブロックチェーン」では、取引の検証がネットワーク参加者に依存しないため、ガス代が不要な場合もあります。
また、利用する分散型アプリ(DApps)によって、ガス代が発生するアクションは異なります。
例として、NFTマーケットプレイス「OpenSea」では、NFTの購入や出品キャンセルなど特定のアクションでガス代がかかりますが、NFTの新規作成や定額出品などではガス代は発生しません。
ガス代の発生は、ブロックチェーン上の特定のアクションに依存するため、すべての操作で必要とされるわけではありません。
NFTのガス代の節約法はありますか?
NFTの取引に関連するガス代は、時期や状況によって変動します。
そのため、ガス代の節約を目指す場合、以下の方法を検討できます。
- ガス代の相場の確認
「Ethereum Gas Price Chart」などのツールを使用して、イーサリアムのガス代の現在の相場を確認し、ガス代が低いタイミングでNFTを購入することを検討します。
ただし、ガス代は頻繁に変動するため、目標とする価格で必ず購入できるわけではありません。 - 取引処理速度の調整
取引の処理速度を遅くすることで、ガス代を抑えることが可能です。
例えば、Open Seaでは「High」「Medium」「Low」の3つの速度から選択できます。
時間に余裕がある場合は、「Low」の設定を選ぶことでガス代を節約できます。 - ポリゴン(MATIC)の利用
Open Seaには、イーサリアムチェーンとは別に、ポリゴン版のNFTマーケットプレイスも存在します。ポリゴンを使用すると、ガス代がほぼゼロに近くなります。
イーサリアムからポリゴンへの移行には手間がかかる場合がありますが、ガス代を大幅に節約したい場合には有効な方法です。
最後に、NFTを購入する際には、イーサリアムを取得する必要があります。
国内の取引所、例えばコインチェックなどでイーサリアムを購入し、詳細を公式サイトで確認することをおすすめします。
NFTのメリットはなんですか?
NFT(非代替性トークン)はデジタル資産の新しい形態で、多くのメリットを持っています。
- 唯一性の証明
NFTはブロックチェーン技術を使用して、デジタルアセットの所有者や権利者の情報を記録します。
これにより、デジタルアートや他のデジタルコンテンツの唯一性と真正性を確保できます。 - 付加価値の提供
NFTはプログラマビリティを持ち、作品に特定の条件や設定を組み込めます。
これにより、クリエイターは作品の売買時に自動的にロイヤルティを受け取るなど、新しい収益モデルを構築できます。 - 取引の自由度
NFTはブロックチェーン上で取引されるため、所有者は自由に売買や交換ができます。
また、多くのNFTは共通の規格に基づいているため、異なるプラットフォーム間でも利用可能です。 - アクセスの容易さ
NFTの作成や取引は、特定の技術的知識や背景を必要とせず、誰でも簡単に参加できます。これにより、多様なクリエイターが市場に参入しています。 - 物理的リスクの排除
NFTはデジタル形式で存在するため、火災や盗難などの物理的リスクから解放されています。これは、従来のアートやコレクタブルと比較して、NFTの大きな利点となっています。
フルオンチェーンゲームについてのまとめ
ここまでフルオンチェーンゲームについてお伝えしてきました。フルオンチェーンゲームの要点をまとめると以下の通りです。
- フルオンチェーンゲームとは、ゲームの要素全てがブロックチェーン上に存在する新しいゲームの形態
- フルオンチェーンゲームの特徴は、「Isekai Battle」を例にすると、OpenSeaで保有しているNFTキャラクターが消えることや、ゲームで獲得したアイテムがOpenSeaに入ること、ゲームをプレイするのにガス料金が必要なことなどがある
- NFTの種類の違いで起こることは、互換性がないことや、非対応のサービスでは利用できないことがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Pacific Metaでは、Web3の事業に取り組む企業様向けにメールマガジンを配信しています。
これまで100件以上のプロジェクト支援して培ったノウハウをもとに、Web3業界の最新情報や、支援事例など、課題解決に役立つ情報をお届けします。
⇒ Pacific Metaのメールマガジンに登録する(無料)