Coinbaseが運営するイーサリアムのレイヤー2ネットワーク「Base」は、2026年に向けた戦略「Base 2026 Mission, Vision, and Strategy」を発表しました。この中でBaseは、AI(人工知能)エージェントを次世代の経済主体と位置づけ、その活動を支えるための基盤インフラ整備に注力する方針を明らかにしています。ステーブルコインの普及や現実資産(RWA)のトークン化を軸に、AIとブロックチェーンが融合した新たな経済圏の構築を目指すとしており、Web3業界におけるAIの役割がさらに重要視される可能性があります。
AIエージェントの経済活動を支える技術基盤の整備
Baseは、AIエージェントが人間と同様にネットワークを利用できるよう、専用のインフラ構築を進めています。具体的には、エージェント専用のスマートアカウントや、CLI(コマンドラインインターフェース)およびMCP(モデル・コンテキスト・プロトコル)へのアクセス環境、さらには「x402」などのオンライン決済プロトコルの整備が計画されています。
2026年2月にはCoinbaseがAIエージェント専用のウォレットインフラをすでにリリースしており、Baseはこれらの技術を組み合わせることで、AIが自律的に決済や取引を行える環境を提供しようとしています。サークルのCEOが「ステーブルコインはAIエージェント経済の唯一の解」と強調している通り、BaseにおいてもステーブルコインがAIの活動を支える重要な決済手段になると見られます。
2026年の重点領域とグローバル市場の構築
2026年の戦略において、Baseは「グローバル市場の構築」「ステーブルコイン」「開発者支援」の3点を重点領域として掲げています。「グローバル市場の構築」では、株式やコモディティをはじめとする現実資産(RWA)のトークン化を推進し、分散型予測市場や永久先物を含む主要な資産形態をBaseアプリに集約することを目指しています。
Baseは2025年において、26通貨・17カ国にまたがる17兆ドル(約2720兆円)超のステーブルコイン取引を処理し、140カ国以上でアプリをローンチした実績があります。また、ビットコイン現物取引の主要プラットフォームとしての地位も確立しており、これらの既存の流動性とユーザー基盤を活用して、AIエージェントが参加する新しい金融エコシステムの確立を狙っています。
業界内で激化するAI経済圏の覇権争い
AIエージェントをブロックチェーンに取り込む動きはBaseに留まらず、業界全体で競争が激化しています。イーサリアム財団のdAIチームや、10億ドル規模のAIファンドを持つTron DAOなどがこの分野に参入しています。また、イーサリアムではAIエージェントの信頼性を高めるための新しい標準規格「ERC-8004」が2026年1月に発表されるなど、技術的な標準化も進んでいます。
このような状況下で、BaseはAIエージェント専用の決済プロトコルやインフラをいち早く整備することで、AIエージェント経済の「基盤」としての地位を固める戦略です。AIエージェントがオンチェーンで活動するための障壁を低減し、開発者や企業を惹きつけることが、今後のエコシステム拡大の鍵になると見られます。
ポイント
- Baseが2026年の戦略を発表し、AIエージェントを次世代の経済主体としてインフラ整備を進める方針を示しました。
- エージェント専用のスマートアカウントや決済プロトコル「x402」の導入により、AIの自律的な経済活動を支援します。
- 株式やコモディティなどの現実資産(RWA)のトークン化を推進し、あらゆる主要資産をBase上に集約することを目指します。
- 2025年には17兆ドル規模のステーブルコイン取引を処理しており、その実績を背景にグローバルな市場構築を加速させます。
- イーサリアム財団やTron DAOなど、他の主要プロトコルとの間でAI経済圏の覇権争いが激化する可能性があります。