米大手資産運用会社のフランクリン・テンプルトンは、暗号資産運用会社250デジタルの買収計画を発表しました。これに伴い、新たに「フランクリン・クリプト」部門を設立し、デジタル資産のアクティブ運用能力を大幅に強化します。この動きは、伝統的な金融機関がブロックチェーン技術と高度な運用戦略を統合し、機関投資家向けのサービスを拡充する重要な事例となります。
新部門「フランクリン・クリプト」による運用体制の拡充
買収対象となる250デジタルは、コインファンド・マネジメントからスピンオフした企業です。フランクリン・テンプルトンは、同社のチームと運用戦略を統合することで、新部門「フランクリン・クリプト」を立ち上げます。
この新部門は、同社のイノベーション責任者であるサンディ・カウル氏の下で運営される予定です。従来の暗号資産やブロックチェーン関連のベンチャー投資にとどまらず、より広範なデジタル資産運用プラットフォームへと機能を拡張することを目指しています。同社はこの取り組みにより、機関投資家レベルの暗号資産運用チームを持つ、数少ないグローバル資産運用会社の一角を担うことになります。
アクティブ運用戦略の統合と運用資産の現状
フランクリン・テンプルトンのデジタル資産部門は、2025年末時点で約18億ドル(約2790億円)の資産を運用しています。今回の買収によって、これまでコインファンドが培ってきた流動性の高い暗号資産のアクティブ運用戦略が加わり、投資ソリューションの幅が広がります。
同社CEOのジェニー・ジョンソン氏は、250デジタルの投資能力と差別化された戦略が、デジタル資産分野における同社の競争力を大きく高めると述べています。これにより、世界中の顧客に対してより高度な投資サービスの提供が可能になると見られます。
自社発行「BENJIトークン」による決済と今後の予定
今回の買収取引において注目されるのは、対価の一部に「BENJIトークン」が使用される点です。BENJIは、同社が提供する「フランクリン・オンチェーン・U.S. ガバメント・マネー・ファンド(FOBXX)」に関連するトークンです。
このファンドは、米国登録のミューチュアルファンド(投資信託)として初めてブロックチェーンを統合し、取引や持分管理を行う仕組みを持っています。自社のトークン化金融商品をM&A(企業の合併・買収)の決済手段として活用することは、実務におけるブロックチェーン活用の先進的な事例といえます。
買収手続きは、通常の契約手続きや顧客の同意を経て、2026年第2四半期に完了する予定です。
ポイント
- フランクリン・テンプルトンが250デジタルを買収し、新部門「フランクリン・クリプト」を設立します。
- コインファンド由来のアクティブ運用戦略を取り込むことで、機関投資家向けの投資ソリューションを強化する狙いがあります。
- 買収対価の一部に、自社のトークン化マネー・マーケット・ファンドに関連する「BENJIトークン」が使用されます。
- 2025年末時点で約18億ドルのデジタル資産を運用しており、今回の買収でさらなる事業拡大を図ります。
- 取引の完了は2026年第2四半期を予定しています。