NEAR Protocolは、ノードソフトウェアの最新バージョン「nearcore 2.11.0」をリリースしました。このアップデートにはプロトコルバージョン83へのアップグレードが含まれており、スマートコントラクトの実行容量を拡大するガスリミットの引き上げや、開発者およびインデクサー向けの利便性向上を目的とした複数の変更が盛り込まれています。本アップグレードに向けたバリデーターによる投票は、2026年4月13日より開始される予定です。
プロトコルバージョン83への移行と投票スケジュール
今回のリリースに伴い、プロトコルバージョンを現在の82から83へと引き上げるための投票が行われます。投票はUTC(協定世界時)の2026年4月13日0時より開始される予定となっており、バリデーターはそれまでにノードのアップデートを完了させる必要があります。投票が1エポック(NEARにおける時間の単位)内で成功した場合、投票期間終了の7〜14時間後を目安にプロトコルのアップグレードが実施される見込みです。
スマートコントラクトの処理能力向上と開発体験の改善
今回のアップデートにおける主要な変更点の一つが、スマートコントラクトのガスリミットの引き上げです。従来の300 TGas(テラガス)から1 PGas(ペタガス:1,000 TGasに相当)へと拡大されることで、より複雑な計算を必要とするコントラクトの実行が可能になります。
また、非同期処理に関連する「Yield/Resume」機能も改善されました。これまで、処理の再開を意味するpromise_yield_resumeを生成直後に呼び出すと失敗する場合がありましたが、今後は常に正常に動作するように修正されています。これにより、コントラクト間の相互呼び出しにおける信頼性が向上します。
さらに、失敗したトランザクションについても実行結果(execution outcomes)が生成されるようになります。これにより、RPC(リモートプロシージャコール)やインデクサーが失敗したトランザクションの詳細な状況を正確に報告できるようになり、開発者によるデバッグやデータ解析の効率化が期待されます。
基盤インフラの最適化とパフォーマンス改善
インフラ面では、JSON-RPCのレスポンス遅延を改善するため、トランザクションステータスの確認方法が従来のポーリング方式からイベント通知方式へと変更されました。また、ノードの通信サイズを削減するため、コントラクトのデプロイやアカウント削除の際、既存のコードをチャンクステートウィットネス(データの正当性を証明する情報)から除外する最適化も行われています。
イーサリアム(ETH)互換の暗号方式を利用する「ETH implicit accounts」についても、バイナリ埋め込み型のコントラクトから、ネットワーク上にグローバル展開されたコントラクトを利用する方式へと移行されました。これにより、システム構成の標準化が進められています。
ポイント
- プロトコルバージョン83へのアップグレードに向けた投票が、2026年4月13日より開始されます。
- スマートコントラクトのガスリミットが300 TGasから1 PGasへと約3.3倍に引き上げられ、より高度なアプリケーションの実行を支えます。
- 失敗したトランザクションも実行結果が報告されるようになり、ネットワークの透明性と開発効率が向上します。
- JSON-RPCのレイテンシ改善やステート証明のサイズ削減により、ノードの運用パフォーマンスが最適化されます。
- ETH互換アカウントの管理方式が変更され、グローバルに展開されたコントラクトを利用する構成へと移行します。