JPX総研、TOPIXへの暗号資産保有企業の新規採用を当面見送る方針

日本取引所グループ(JPX)傘下のJPX総研は、東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄として、暗号資産を主たる資産として保有する企業の新規採用を当面見送る方針を明らかにしました。この措置は指数の投資機能性や安定性を維持することを目的としており、国内外で増加する暗号資産トレジャリー企業(DAT)への対応を明確にしたものと見られます。市場参加者からの意見募集を経て、今後の運用ルールが正式に決定される見通しです。

新規採用見送りの基準と対象範囲

JPX総研、TOPIXへの暗号資産保有企業の新規採用を当面見送る方針

JPX総研が2026年4月3日に公表した「特別注意銘柄等の取扱いについて」と題する指数のルール見直し案では、暗号資産(仮想通貨)を主たる資産として保有する企業のTOPIXへの新規追加を、当面の間見送る方針が示されました。

日本経済新聞の報道によると、この「主たる資産」の具体的な基準は、暗号資産の保有量が総資産の50%を超える企業が対象になるとされています。今回の措置は新規に指数へ採用される銘柄に限定されており、すでにTOPIXに組み入れられている既存の構成銘柄には適用されません。

新規追加を見送る背景として、指数に追加した後に取扱いを変更することになれば、指数に連動して運用を行うパッシブファンド(指数と同じ値動きを目指す投資信託など)に影響を及ぼす懸念があるため、慎重を期す必要があると説明されています。

海外主要指数との整合性と国内の監視体制

今回の判断は、海外の主要指数における動向を踏まえた対応とされています。代表的な事例として、米MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)の動向が挙げられます。MSCIは2026年1月、暗号資産を総資産の50%以上保有する企業について、既存銘柄の除外こそ見送ったものの、新規の採用や構成比率の引き上げは行わない方針を発表しています。

また、国内においても東京証券取引所(東証)が、上場後の「業態転換」に対する監視を強化しています。2026年2月の東証の資料では、本業から乖離した財務戦略への事実上の牽制として、事業内容の大幅な変更に対する新たな審査方策が検討されていることが示されました。今回のTOPIXのルール改正案は、こうした上場管理の強化と足並みを揃える動きといえます。

今後のスケジュールと市場への影響

JPX総研は、今回の見直し案に関して市場参加者からの意見を募る「指数コンサルテーション」を、2026年5月7日まで実施します。

暗号資産を財務戦略の柱に据える企業(DAT)が国内でも台頭する中、今回の措置はそれらの企業の市場評価や流動性に影響を与える可能性があります。TOPIXへの採用は見送られるものの、取引所関係者の取材によれば、特定の業種を狙い撃ちにしたものではなく、DATが全く含まれないという意味ではないとの見解も示されています。

ポイント

  • TOPIXの投資機能性を維持するため、暗号資産を総資産の50%超保有する企業の新規採用が当面見送られます。
  • 既存の構成銘柄には適用されないため、すでに指数に含まれている企業への直接的な影響は限定的と見られます。
  • 米MSCIなどの海外主要指数と同様の対応をとることで、国際的な基準との整合性を図る狙いがあります。
  • 東証による上場後の事業内容変更への監視強化と合わせ、企業の財務戦略のあり方に一石を投じる内容となっています。
  • 2026年5月7日まで実施される意見募集の結果を経て、正式な運用が決定される見通しです。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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