米通貨監督庁(OCC)が、暗号資産取引所大手コインベース(Coinbase)による国法信託銀行免許の申請を条件付きで承認しました。これに対し、地域銀行を代表する全米独立コミュニティ銀行家協会(ICBA)は、消費者保護や法的な観点から強い反対を表明しています。暗号資産企業が既存の銀行規制の枠組みへ参入することに対し、伝統的な金融業界団体が懸念を示した形です。
ICBAによる反対理由と法的権限への指摘
ICBA(全米独立コミュニティ銀行家協会)は2026年4月2日、OCC宛ての書簡の中で、コインベースへの免許承認は「米国の消費者を危険にさらすだけの重大な誤りである」と主張しました。ICBAは、コインベースの申請が全米銀行法やOCCの規則・基準を満たしていないと指摘しています。
具体的には、以下の項目に重大な欠陥があると言及しています。
- リスク管理機能の不備
- 収益性の課題
- 破綻処理リスク
さらにICBAは、OCC(米通貨監督庁:米国の国立銀行を監督・規制する連邦機関)には、暗号資産のカストディ(保管)のような非受託業務の権限を拡大する法的権限がないとの見解を示しています。
コインベースが説明する業務形態の制限
今回の免許承認は、OCCによる約6カ月の審査を経て決定されました。これを受け、コインベースは4月2日に自社の立ち位置を明確にする説明を行っています。
コインベースは、今回の免許取得によって「商業銀行になるものではない」と強調しました。具体的には、一般顧客からの預金受け入れを行わず、預金の一部を貸し出しに回すフラクショナルリザーブ(部分準備)銀行業務も行わないとしています。
同社は、信託銀行としての機能を持ちつつも、伝統的な預金銀行とは異なる限定的な業務範囲にとどめる方針を示しており、既存の銀行業務との差別化を図る意図があるものと見られます。
業界における規制対応の動向
暗号資産関連企業の銀行免許取得をめぐっては、他の主要プレイヤーも動きを見せています。2026年2月にはCrypto.comが国法信託銀行免許の条件付き承認を取得しており、1月には野村ホールディングスの子会社であるLaser Digitalも同様の免許設立を申請しています。
コインベースに対するICBAの反対表明は、暗号資産企業が銀行免許を通じて既成の金融システムへ統合される過程で、既存の金融機関側との摩擦が継続していることを示唆しています。
ポイント
- OCCがコインベースによる国法信託銀行免許の申請を、約6カ月の審査を経て条件付きで承認しました。
- 米銀行団体のICBAは、リスク管理や収益性の懸念、OCCの法的権限の逸脱を理由にこの承認に強く反対しています。
- コインベースは、一般預金の受け入れや部分準備銀行業務は行わず、商業銀行とは異なる形態であることを強調しています。
- Crypto.comやLaser Digitalなども同様の動きを見せており、暗号資産企業の銀行規制下への参入が業界の潮流となっている一方で、伝統的金融側との対立も表面化しています。