ステーブルコイン「USDe」を発行するEthenaは、資産の集中リスクを軽減するため、裏付け資産の構成を大幅に変更する戦略を発表しました。これまで運用の中心であった無期限先物ポジションの割合を全体の11%まで引き下げ、新たにステーブルコイン準備金やDeFiレンディング、現実資産(RWA)などを導入します。この施策は、USDeの安定性を維持しながら、裏付け資産の多様性を確保することを目的としています。
裏付け資産の構成変更と新たな提携先
Ethenaは、USDeの担保資産を従来の無期限先物ポジションから、より広範な資産へと分散させます。新たな戦略では、Coinbase Asset ManagementやMaple Institutionalといったパートナーを通じた、過剰担保型の機関投資家向けレンディングが活用されます。
また、AAA格付けのローン担保証券(CLO)などの現実資産(RWA:現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したもの)も担保に組み込まれる予定です。これにより、特定の市場環境への依存度を下げ、集中リスクの緩和を図るとしています。
デルタニュートラル戦略の対象拡大
既存の暗号資産に加え、株式やコモディティ(商品)の無期限先物市場への展開も計画されています。Ethenaは、2026年3月時点のBinanceにおける金(ゴールド)の無期限先物の資金調達率(ファンディングレート:価格乖離を調整するために支払われる手数料)が平均24.6%であったことに言及しており、こうした市場でもデルタニュートラル(価格変動リスクを相殺する運用手法)を活用する方針です。
これまでの暗号資産市場に限定されていた運用対象を広げることで、より安定した収益機会の確保を目指すと見られます。
リスク管理体制と償還メカニズムの維持
今回の資産構成の変更は、Ethenaリスク委員会による承認を前提としています。同委員会は、資産配分の上限設定や流動性パラメータの策定を通じて、厳格なリスク管理を行うとしています。
なお、裏付け資産の構成は変更されますが、USDeの根本的な償還メカニズムに変更はありません。ユーザーに対するUSDeの信頼性を維持しつつ、運用の健全性を高める姿勢を示しています。
ポイント
- 無期限先物ポジションの割合を全体の11%まで削減し、特定の運用手法への集中リスクを大幅に緩和した点で注目されます。
- RWAや機関投資家向けレンディングを導入することで、裏付け資産の質と多様性を向上させています。
- 金などのコモディティ市場へデルタニュートラル戦略を拡大し、収益源の多角化を図る方針です。
- リスク委員会による厳格な管理体制のもとで実施され、USDeの償還の仕組み自体は維持されます。