バイナンス、現物市場の異常な価格変動を防ぐ新ルール「PRER」を導入

バイナンス、現物市場の異常な価格変動を防ぐ新ルール「PRER」を導入

大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)は、現物市場での取引価格が適正範囲を大きく逸脱した場合に注文を失効させる新ルール「Spot Price Range Execution Rule(PRER)」を発表しました。この措置は、2025年10月に発生した大規模なフラッシュクラッシュ(価格の急落)による約190億ドルの市場混乱を背景に、投資家保護と市場の安定性を高めるために導入されます。2026年4月14日から段階的に施行される予定です。

新ルール「PRER」の仕組みと目的

バイナンス、現物市場の異常な価格変動を防ぐ新ルール「PRER」を導入

PRER(Spot Price Range Execution Rule)は、現物取引において動的な適正価格帯(フェアバリュー・バンド)を設定し、その範囲外で執行されようとするテイカー注文(市場の流動性を消費する注文)を自動的に失効させる仕組みです。

具体的には、直近の取引価格の移動平均などから算出される参照価格を基準に、上下に一定の許容範囲が設定されます。市場の流動性が極端に低下し、価格がこの範囲を大きく超えて乖離した場合、注文の未約定分が失効(キャンセル)されます。これにより、フラッシュクラッシュのような異常な状況下で、ユーザーが意図しない不適切な価格で約定してしまうリスクを低減します。通常の市場環境下では、日々の取引に影響を与えることはないとされています。

2025年10月のフラッシュクラッシュへの対策

今回のルール導入は、2025年10月10日に発生した市場の急落が直接の契機となっています。この出来事では、わずか24時間で約191億ドルのレバレッジポジションが清算され、160万人以上のトレーダーが影響を受けたとされています。

当時の混乱では、バイナンス上の特定の資産が一時的に極端に低い価格で取引されたり、ステーブルコインのUSDeが他取引所では1ドルを維持していたにもかかわらず、バイナンス上で0.65ドルまで下落したりする現象が発生しました。バイナンスは影響を受けたユーザーに対し、総額で約6億8300万ドルの補償を行っています。PRERは、こうした構造的な課題に対処し、価格の連続性が一時的に失われた際にも市場を保護するための重要なアップデートと位置付けられています。

導入スケジュールと運用方針

PRERは2026年4月14日から段階的に導入される予定です。すべての通貨ペアに一斉に適用されるのではなく、十分な取引履歴に基づき信頼できる参照価格が確立されたペアから順次有効化されます。

APIユーザー向けには、参照価格や価格帯のパラメータをリアルタイムで確認できるエンドポイントが提供される予定です。バイナンスは、このルールの導入を通じて、極端なボラティリティ(価格変動性)が発生した際でも、より公正で秩序ある市場環境を維持することを目指しています。

ポイント

  • バイナンスが現物市場の保護を目的とした新ルール「PRER」を導入します。
  • 適正な価格帯から外れたテイカー注文を失効させることで、異常な価格での約定を防止します。
  • 2025年10月に発生した約190億ドル規模のフラッシュクラッシュへの再発防止策としての側面を持ちます。
  • 2026年4月14日から、通貨ペアごとに段階的な施行が開始される予定です。
  • 異常な市場条件下での投資家保護を強化し、市場の安定性を高める狙いがあります。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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