米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)と外国資産管理局(OFAC)は2026年4月8日、GENIUS Act(ジーニアス法)の実施に向けた共同規則案を公表しました。この規則案は、決済用ステーブルコインにおける不正金融リスクを軽減しつつ、イノベーションを促進することを目的としています。本件は、ステーブルコイン発行体に対して従来の金融機関と同等のマネーリンダリング対策を義務付けるものであり、米国のデジタル資産規制が具体化する重要なステップとなります。
ジーニアス法によるステーブルコイン発行体への義務付け
今回の規則案は、ジーニアス法で定められたマネーリンダリング対策(AML)や制裁遵守プログラムの要件を具体化したものです。
主な内容は、許可されたステーブルコイン発行体(PPSI)を、銀行秘密法(BSA:金融機関に記録保存や報告を義務付ける法律)の適用を受ける「金融機関」として扱う点にあります。これにより、PPSIには以下の義務が課されることになります。
- マネーリンダリング防止に関する金融機関向け要件の適用
- 有効な制裁遵守プログラムの採用と維持
スコット・ベッセント財務長官は声明で、この規則案が米国の金融システムを国家安全保障上の脅威から保護すると同時に、決済用ステーブルコインのエコシステムにおける米国企業のリーダーシップを阻害しないものであると述べています。
関連機関による多角的な規制整備の動き
ステーブルコインの規制については、財務省以外の複数機関もジーニアス法の実施に向けて動いており、制度整備が並行して進められています。
- 通貨監督庁(OCC):2026年2月25日に規則案を公表。管轄下の発行体や特定のカストディ業務(資産の保管・管理業務)に適用される規制の概要を示しました。
- 連邦預金保険公社(FDIC):2026年4月7日に規則案を公表。準備資産やリスク管理に関する具体的な基準を定めています。
このように、FinCENやOFACによる不正金融対策だけでなく、資産の裏付けやカストディ業務についても、各監督機関による規制の枠組みが示されています。
今後のスケジュール
今回公表されたFinCENとOFACによる共同規則案については、今後パブリックコメント(公衆からの意見公募)が募集される予定です。また、すでに規則案を公表しているOCCなども、パブリックコメントを通じて制度の精査を進めていくと見られます。
ポイント
- 米財務省(FinCEN・OFAC)が、ジーニアス法に基づくステーブルコインの共同規則案を公表しました。
- ステーブルコイン発行体(PPSI)が銀行秘密法上の「金融機関」と位置づけられ、厳格なマネーリンダリング対策が求められます。
- OCCやFDICも個別の規則案を公表しており、不正金融対策、準備資産、リスク管理など多方面から規制が具体化しています。
- 国家安全保障の強化と、デジタル金融における米国のリーダーシップ維持の両立を目指す方針が示されています。
- 今後はパブリックコメントの募集を経て、規則の策定が進められる見通しです。