Suiメインネットにおいて、次期エポックでのプロトコルバージョン120へのアップグレードが予定されています。今回のアップデートは、バリデーターのステーク(保有量)ベースで83.4%が更新を完了することを条件に実施されます。本バージョンでは、当初バージョン118で導入が予定されていた新しいMove VM(Moveプログラミング言語の実行環境)の有効化や、ネットワークの安定性を高めるためのシステム強化が含まれています。
新しいMove VMの導入とシステムの安定化
今回のアップグレードにおける主要な変更点の一つは、新しいMove VMの有効化です。この新VMは、ネットワークの実行レイヤーを再構築したもので、パフォーマンスの向上やメモリ使用量の最適化、将来的なMove言語の新機能への対応を目的としています。当初はプロトコルバージョン118での実装が計画されていましたが、今回のバージョン120で正式に導入されることとなりました。
あわせて、Suiシステム内でのメタデータの強化(ハードニング)や、コードジャンプ(プログラムの実行順序の制御)に関するより厳格なルールの適用が実施されます。これらの措置は、ネットワーク全体の安定性とセキュリティを向上させるための重要なステップとされています。
開発者向けツールとインフラ機能の改善
開発者やインフラ運営者向けの利便性向上も図られています。gRPC(リモートプロシージャコール)フレームワークにおいては、残高変更やオブジェクトセットのアーカイブ機能が強化されました。また、X_SUI_CHAIN_IDヘッダーが32バイトのエンコードされたチェーンIDをフルで返すように修正されています。
CLI(コマンドラインインターフェース)についてもアップデートが行われ、Move構造体のフィールドをデコードした状態で表示できるようになりました。これにより、開発者は生のバイト配列ではなく、読みやすい形式でデータを直接確認することが可能になります。
ノードオペレーターへの対応要請
Mysten Labsは、ネットワークの安定性とブリッジの互換性を確保するため、すべてのノードオペレーターに対して直ちに「Sui v1.69.2」へのアップグレードを行うよう求めています。このバージョンへの更新が、プロトコルバージョン120へのスムーズな移行を支える基盤となります。
ポイント
- プロトコルバージョン120へのアップグレードにより、待望されていた新しいMove VMが有効化されます。
- バリデーターのステークベースで83.4%が更新を完了した時点で、次期エポックより適用される予定です。
- システムのメタデータ強化とコードジャンプの厳格化により、ネットワークの堅牢性が向上します。
- gRPCのアーカイブ機能強化やCLIの表示改善など、開発者向けのツールセットが拡充されます。
- ネットワークの安定稼働と互換性維持のため、ノードオペレーターにはv1.69.2への即時アップデートが推奨されています。