ブータン政府がビットコイン約28億円分を移動、保有残高はピークから70%以上減少

ブータン王国政府が、約250枚のビットコイン(約1800万ドル相当、約28億円)を新たに作成されたウォレットへ移動したことが明らかになりました。この動きは2026年に入ってから続く一連の資産流出の延長線上にあり、同国のビットコイン保有残高は2024年のピーク時から70%以上減少しています。国家レベルで暗号資産を保有する数少ない事例として、その運用方針の変化が注目されています。

2026年に入り加速する資産移動と保有残高の推移

ブータン政府がビットコイン約28億円分を移動、保有残高はピークから70%以上減少

ブロックチェーン分析企業アーカム(Arkham)のデータによると、今回の約250BTCの移動を含め、ブータン政府関連のウォレットからは2026年だけで累計約2億3375万ドル相当のビットコインが移動されています。

この一連の動きにより、同国のビットコイン保有残高は約3,774BTCまで減少しました。これは現在の価格ベースで約2億7250万ドル(約422億円)相当となります。ブータンは2024年10月のピーク時には約1万3000BTCを保有していたとされており、短期間で保有量が大幅に縮小したことになります。

こうした大規模な移動は、一般的に市場での売却を示唆するシグナルと捉えられますが、現時点で政府からの公式な説明はありません。一方で、市場への直接的な影響を抑えるために、OTC(相対取引)デスクや特定の取引所を介して段階的に資産を再配置している可能性も指摘されています。

国家主導のマイニング戦略と資産運用の背景

ブータンのビットコイン資産は、政府系投資機関であるドゥルック・ホールディング・アンド・インベストメンツ(DHI)が管理しています。同国はこれまで、国内の豊富な水力発電による余剰電力を活用した国家規模のマイニング(採掘)事業を推進し、ビットコインを蓄積してきました。

しかし、オンチェーンデータの分析によれば、過去1年以上、マイニングによる大規模な新規流入が確認されていないとの報告もあります。これに伴い、同国が「蓄積」のフェーズから、国家プロジェクトの資金調達などを目的とした「活用・売却」のフェーズへ移行しているとの見方が強まっています。

実際に、ブータン政府は2025年12月に、特別行政区「ゲレプー・マインドフルネス・シティ」の開発計画において、デジタル経済の発展や投資誘致のためにビットコインを充当する方針を示していました。今回の一連の資産移動も、こうした国家規模の開発事業や経済政策に連動している可能性があります。

ポイント

  • ブータン政府が約250BTC(約28億円相当)を移動し、2026年の累計移動額は約2億3375万ドルに達しました。
  • 保有残高は約3,774BTCまで減少し、2024年10月のピーク時(約1万3000BTC)から70%以上減少しています。
  • 資産管理は政府系機関のDHIが担っており、水力発電を利用したマイニングから得た資産の運用フェーズが変化していると見られます。
  • 公式発表はないものの、移動された資産は国家開発プロジェクト「ゲレプー・マインドフルネス・シティ」などの資金に充てられる可能性が推察されます。
  • 大口の移動が続いているものの、市場への影響を最小化する戦略的な売却手法が取られているとの観測もあります。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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