シンガポールのOCBC銀行、ライオン・グローバル・インベスターズ、DigiFTの3社は、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)の両ブロックチェーン上で、トークン化された現物金ファンド「GOLDX」の提供を開始しました。これはパブリックブロックチェーン上で展開される東南アジア初のトークン化現物金ファンドであり、地政学リスクを背景にアジアで高まる金需要に対応するものです。規制に準拠した枠組みを通じて、投資家は法定通貨やステーブルコインを用いてオンチェーンでの金投資が可能になります。
GOLDXの仕組みとシンガポールにおける規制準拠の体制
GOLDXトークンは、ライオン・グローバル・インベスターズが運用する「LionGlobal Singapore Physical Gold Fund」のパフォーマンスに連動するデジタル資産です。この原資産となるファンドは、シンガポールの保管庫に保管されている現物金に裏付けられており、LBMA Gold Price AM(ロンドン貴金属市場協会が午前10時30分に設定する国際的な金価格の基準)を指標としています。
このプロジェクトは、シンガポール金融管理局(MAS)の監督下にある3社がそれぞれの役割を分担して運営しています。
- OCBC銀行:商品設計および商業的枠組みの構築を主導。
- ライオン・グローバル・インベスターズ:裏付けとなる現物金の運用と管理を担当。
- DigiFT:現実資産(RWA:Real World Assets)のトークン化技術を提供し、規制に準拠した取引プラットフォームを通じた流通を支援。
原資産ファンドは2026年4月16日時点で、設定からわずか4カ月で運用資産残高(AUM)が6億6940万シンガポールドル(約5億2590万米ドル)に達しており、急速な成長を記録しています。
アジア主導の金需要とRWA市場の拡大
今回のGOLDXの立ち上げは、アジア市場で安全資産としての金への需要が急増している時期と重なっています。2026年3月のデータによれば、欧米市場で金ETF(上場投資信託)からの資金流出が続くなか、アジアは唯一の買い越し地域となっており、地政学的な不安定さやエネルギー価格の変動に対するヘッジ手段として金が選ばれている状況がうかがえます。
また、ブロックチェーン上での現実資産(RWA)の活用も進んでいます。ソラナネットワークにおけるRWA関連の資産価値は約19億4000万ドルに達しており、過去1カ月の移転総額は24%以上増加しています。トークン化されたゴールド資産全体の時価総額も世界的に約50億ドル規模まで拡大しており、テザー・ゴールドやパックス・ゴールドといった既存の銘柄が市場を牽引しています。
GOLDXは、こうしたオンチェーンでのコモディティ投資需要を取り込むとともに、Web3エコシステムの参加者や機関投資家に対し、規制された環境下での新たな投資選択肢を提供するものと見られます。
ポイント
- OCBC銀行らが、東南アジア初となるパブリックチェーン上のトークン化現物金ファンド「GOLDX」を開始しました。
- イーサリアムとソラナの両ネットワークに対応し、法定通貨やステーブルコインでの投資が可能です。
- 裏付けとなる現物金ファンドは、シンガポール国内の保管庫で厳重に管理され、国際基準の金価格に連動します。
- 欧米で金投資が縮小する一方、アジアでは地政学リスクを背景に金需要が拡大しており、その受け皿としての役割が期待されます。
- シンガポール金融管理局(MAS)の規制下にある企業が運営しており、制度面での信頼性を備えた現実資産(RWA)銘柄として注目されます。