2026年4月22日、アメリカ下院軍事委員会の公聴会において、米インド太平洋軍司令官のサミュエル・パパロ提督が、米軍がビットコインネットワークのノードを運用していることを明らかにしました。パパロ提督はビットコインを「パワープロジェクション(力の投射)」のツールと位置づけ、サイバーセキュリティやネットワーク防衛の観点からその有用性を評価しています。現役の司令官が議会でビットコインを国家安全保障上の資産として公に言及したことは、暗号資産の戦略的価値が政府レベルで認識され始めていることを示す重要な出来事といえます。
軍事運用におけるビットコインプロトコルの活用
パパロ提督の証言によると、米軍はビットコインのマイニング(新規発行や取引承認のために計算資源を投じる行為)は行っておらず、ネットワークの監視および検証を行うノード(ネットワークに接続し、取引の妥当性を検証するコンピュータ)を設置しています。
この運用の主な目的は、ビットコインのプロトコルを活用したネットワーク保護や防衛のための運用テストを実施することにあります。具体的には、ビットコインの仕組みをサイバーセキュリティにおけるコンピューターサイエンス上の応用例として捉え、防衛能力の向上に役立てる狙いがあると見られます。
国家安全保障とサイバーセキュリティへの応用
パパロ提督は、ビットコインが採用しているプルーフ・オブ・ワーク(PoW:膨大な計算量によってネットワークの安全性を確保する合意形成アルゴリズム)の仕組みが、暗号学的な保護に寄与すると説明しました。
また、ビットコインを「ピアツーピア(P2P)のゼロトラストな価値移転」と表現しています。これは中央の管理者を必要とせずに、ネットワーク参加者同士が直接、信頼を前提とせずに価値を移転できる仕組みを指します。このような技術的特性が、国家の「力の投射」を支えるツールの一つとして、軍事的な評価の対象となっている点が注目されます。
ネットワークの信頼性と分散性への影響
米軍がビットコインノードを運用するという事実は、ビットコインの堅牢性が軍事インフラの視点からも評価されていることを示唆しており、技術的信頼性を裏付けるものといえます。
一方で、今回の運用がビットコインの分散性や国家からの独立性を直ちに脅かす可能性は低いと見られます。ノードはあくまでネットワークの監視と検証を行うものであり、ビットコインのプロトコル自体を改変する権限は持たないためです。国家がビットコインを排除するのではなく、その堅牢性を活用する方向に動いている点は、今後のWeb3業界のビジネス環境を考える上でも重要な視点となります。
ポイント
- 米インド太平洋軍司令官が、ビットコインノードの運用と監視目的での活用を公聴会で証言しました。
- ビットコインを国家安全保障における「パワープロジェクション(力の投射)」のツールとして位置づけ、サイバーセキュリティへの応用を評価しています。
- 現役司令官がビットコインを国家戦略上の資産として公言したのは初めてであり、暗号資産の社会的地位の変化を示す事例といえます。
- 米軍によるノード運用は、ビットコインの技術的な堅牢性を裏付ける一方で、その分散性を直接損なうものではないと考えられます。