トランプ前大統領の一族に関連する暗号資産プロジェクトが、かつての好調から一転して厳しい状況に直面しています。主要プロジェクトである「World Liberty Financial(ワールド・リバティ・ファイナンシャル)」のトークン価格の下落や、ガバナンスを巡る論争が相次いでおり、投資家の間では期待が失望に変わりつつあると見られています。こうした動向は、政治的ブランドを背景としたWeb3ビジネスの持続可能性を占う上で重要な局面を迎えています。
主要プロジェクト「World Liberty Financial」を巡る混乱
トランプ氏とその息子たちが主導する分散型金融(DeFi)プロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」は、深刻な低迷と内部的な論争に見舞われています。
2026年4月、同プロジェクトは計620億トークン(約50億ドル相当)を今後5年間でロック解除する提案を行いました。しかし、このトークンの72%がトランプ一族を含むインサイダー(内部関係者)に割り当てられていることが判明し、大きな批判を浴びています。主要投資家の一人であるジャスティン・サン氏は、この提案を「ガバナンス上の不当な行為」と厳しく批判しており、プロジェクトの透明性や公平性に疑問が呈されています。
WLFIトークンの価格自体も、2025年9月時点の26セントから、同年11月には15セント付近まで下落するなど、ピーク時から大幅に値を下げており、現在は過去最低水準で推移しているとされています。
マイニング事業とミームコインの急落
一族が関与する他の暗号資産関連事業も同様に苦境に立たされています。トランプ氏の次男であるエリック・トランプ氏が共同創設したビットコインマイニング企業「American Bitcoin(アメリカン・ビットコイン)」は、株価がピーク時から75%下落しました。
また、トランプ氏やメラニア夫人の名前を冠したミームコインについても、投資家の関心が急速に薄れています。
- 「TRUMP」トークン:ピーク時から約90%下落
- 「MELANIA」トークン:ピーク時から約99%下落
これらのプロジェクトは、トランプ氏の政治的な勢いや知名度を背景に当初は市場をアウトパフォーム(市場平均を上回る騰落率を記録)していましたが、現在はビットコインなどの主要資産の騰落率を大きく下回る下落を見せています。
投資家心理の変化と業界への影響
ブルームバーグの報道によると、トランプ一族に関連する暗号資産プロジェクトの不振により、一族の純資産も減少傾向にあるとされています。2025年9月時点で約77億ドルと推定されていた一族の資産は、同年11月には約67億ドルまで減少したと報告されており、その主な要因は暗号資産ポートフォリオの価値低下にあると見られます。
Web3業界のビジネスパーソンにとって、この事態は「政治的影響力や個人の知名度のみに依存したプロジェクト」のリスクを浮き彫りにしています。実需を伴わない期待先行の価格形成や、不透明なトークン割り当てといった要素が、長期的な信頼獲得の障壁となっている可能性があります。
ポイント
- 主要プロジェクト「World Liberty Financial」で、インサイダーに有利なトークン解除提案がなされ、投資家から強い反発を受けています。
- トランプ氏関連のミームコインやマイニング企業の株価は、ピーク時から75%から99%という大幅な下落を記録しています。
- かつては市場を牽引する勢いを見せていたトランプ銘柄ですが、現在はビットコインなどの主要銘柄と比較しても著しく低迷しています。
- 政治的ブランドを利用したビジネスモデルにおいて、ガバナンスの透明性と公平性が欠如した場合の市場の冷ややかな反応が示されています。
- 投資家の間では、過度な期待が剥落し、プロジェクトの実態を厳しく見極める姿勢が強まっていると見られます。