米陸軍兵士、機密情報を用いたPolymarketでのインサイダー取引で司法省に起訴される

米国司法省(DOJ)は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束計画に関する機密情報を利用し、分散型予測市場プラットフォーム「Polymarket(ポリマーケット)」で約41万ドルの利益を得たとして、現役の米陸軍兵士を起訴しました。この事件は、政府の機密情報を利用した予測市場での取引がインサイダー取引として刑事訴追された初の事例の一つと見られ、Web3業界における規制の適用範囲を示す重要な局面となります。

機密作戦を利用した取引の経緯

米陸軍兵士、機密情報を用いたPolymarketでのインサイダー取引で司法省に起訴される

起訴状によると、ノースカロライナ州フォートブラッグを拠点とする米陸軍兵士、ガノン・ケン・ヴァン・ダイク(Gannon Ken Van Dyke)被告(38歳)は、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束するための軍事作戦「オペレーション・アブソリュート・リゾルブ(Operation Absolute Resolve)」の計画と実行に関与していました。

被告はこの作戦に関する非公開の機密情報を利用し、2025年12月下旬から2026年1月初旬にかけて、Polymarket上でマドゥロ大統領の退陣や米軍のベネズエラ進駐のタイミングに関連する13件の賭けを行いました。具体的には、約3万3,000ドルの元手を約41万ドル(約409,881ドル)に増やしており、1,100%を超える利益を得たとされています。

司法省による法的措置と容疑の内容

ニューヨーク州南部地区連邦検事局は、ヴァン・ダイク被告を商品取引所法(Commodity Exchange Act)違反、電信詐欺、および不法な金融取引の疑いで起訴しました。司法省は、予測市場が不当に取得された機密情報の逃げ場にはならないという姿勢を明確にしています。

ジェイ・クレイトン連邦検事は、被告が軍事作戦のタイミングや結果について機密情報を用いて賭けを行ったことは、連邦法の下で違法なインサイダー取引に該当すると指摘しました。また、FBIのカシュ・パテル長官は、国家の秘密を個人の利益のために利用する者に対しては、どのようなプラットフォームであっても法的責任を追及すると述べています。

匿名化の試みと規制当局の監視

ヴァン・ダイク被告は、自身の身元を隠すために仮想プライベートネットワーク(VPN)を使用して海外からアクセスしているように装い、Polymarketのアカウントを作成していました。また、利益を得た後にはアカウントの削除を依頼し、登録メールアドレスを変更するなど、証拠隠滅を図った疑いも持たれています。

さらに、得られた利益をUSDCなどの暗号資産に変換し、海外の口座へ送金していたことも判明しています。この事件は、分散型プラットフォーム(DEX)であっても、法執行機関がその取引を追跡し、実世界の法規制を適用できることを示唆しています。

ポイント

  • 現役の米陸軍兵士が、軍事作戦の機密情報を利用してPolymarketで約41万ドルの利益を得たとして起訴されました。
  • 予測市場における政府機密を用いた取引が、インサイダー取引および電信詐欺として刑事罰の対象となることが示されました。
  • 被告はVPNやアカウント削除、暗号資産の海外送金を通じて身元の隠蔽を試みましたが、司法当局によって特定されました。
  • 分散型予測市場という新しいテクノロジーに対しても、国家安全保障や金融規制に関わる連邦法が全面的に適用される姿勢が強調されました。
  • 予測市場が地政学的な重要事象の予測に利用される中で、情報の透明性と不正利用の防止が業界全体の課題として注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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