CFTCがニューヨーク州を提訴、予測市場への州法適用を巡る管轄権争いが激化

米商品先物取引委員会(CFTC)は、ニューヨーク州の賭博法が連邦登録済みの予測市場取引所に適用されるのを阻止するため、同州を提訴しました。この訴訟は、予測市場の規制権限が州政府ではなく連邦政府にあることを明確にする狙いがあります。予測市場の法的な位置付けを確定させる上で、業界にとって極めて重要な局面を迎えています。

訴訟の背景と連邦法による優先権の主張

CFTCがニューヨーク州を提訴、予測市場への州法適用を巡る管轄権争いが激化

CFTC(米商品先物取引委員会)は2024年4月24日、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に訴状を提出しました。この訴訟の主な目的は、連邦法に基づく「連邦法による優先権(Federal Preemption)」を確認する宣言的判決と、CFTCに登録された「指定契約市場(DCM)」に対する州政府の法的措置を永久的に差し止める命令を得ることにあります。

CFTCは、予測市場で取引される「イベント・コントラクト(特定の出来事の結果を予測する契約)」は連邦法である商品取引法(CEA)の下で規制されるデリバティブ取引であり、同委員会が独占的な管轄権を有すると主張しています。これに対し、ニューヨーク州側はこれらの取引を州法上の「賭博」と見なし、規制の対象とする姿勢を崩していません。

ニューヨーク州による規制と対象プラットフォーム

ニューヨーク州の規制当局は、これまで予測市場を提供するプラットフォームに対し、停止勧告書の送付や民事訴訟などの法的措置を講じてきました。具体的には、Coinbase(コインベース)やGemini(ジェミナイ)といったプラットフォームが提供する予測市場サービスが、州のライセンスを受けない違法な賭博行為にあたると指摘されています。

今回のCFTCによる提訴は、こうした州レベルでの規制強化が、連邦政府によって設計された全国的な市場監督体制を侵害しているという認識に基づいています。州側は消費者保護の観点から規制の正当性を主張していますが、CFTCは連邦登録済みの取引所が州ごとの異なる賭博法に縛られることで、市場の統一性が損なわれることを懸念していると見られます。

業界への影響と他州での動向

ニューヨーク州は、予測市場を巡ってCFTCが提訴した4番目の州となります。これまでにアリゾナ州、コネチカット州、イリノイ州に対しても同様の訴訟が提起されており、予測市場の管轄権を巡る連邦政府と州政府の対立は全米規模に拡大しています。

アリゾナ州のケースでは、州による刑事手続きを一時的に停止する差し止め命令が連邦裁判所から出されており、今回のニューヨーク州での訴訟結果も、今後の予測市場の法的枠組みに大きな影響を与える可能性があります。裁判所がCFTCの主張を認めれば、連邦登録済みのプラットフォームは州の賭博法による制約を受けずに運営できる道が開かれますが、逆の結果となれば、各州の規制に対応する必要が生じ、ビジネスモデルの再考を迫られる可能性があります。

ポイント

  • CFTCがニューヨーク州を提訴し、予測市場への州賭博法の適用差し止めを求めています。
  • 予測市場(イベント・コントラクト)が連邦法の下でCFTCの独占的管轄にあるかどうかが争点です。
  • ニューヨーク州は、特定の予測市場プラットフォームを違法な賭博として規制する方針を示しています。
  • ニューヨーク州は、同様の訴訟が起きたアリゾナ、コネチカット、イリノイに続く4番目の州です。
  • この裁判の結果は、米国における予測市場の法的定義と、州法との優先関係を決定づける重要な判例になると見られます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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