米通貨監督庁(OCC)による「GENIUS法」のステーブルコイン規則案に関するパブリックコメントの受付期限が、2026年5月1日に迫っています。この期限は、発行体にとって約18ヶ月間続いてきた規制上の不確実性が解消に向かう重要な節目となります。米国銀行業界が規制の細部を形作るための事実上最後の機会として、ビジネスへの影響が注目されています。
GENIUS法による規制枠組みの確立
2025年7月に制定されたGENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act:決済用ステーブルコインのための国家革新の指導および確立に関する法律)は、決済用ステーブルコインに対する連邦レベルの包括的な規制枠組みを定めています。
OCCは、銀行子会社や連邦ライセンスを取得した非銀行系発行体である「許可された決済用ステーブルコイン発行体(PPSI:Permitted Payment Stablecoin Issuer)」を監督する主要な当局となります。今回の規則案は300ページを超え、準備金の管理、償還プロセス、リスク管理、資本要件、ライセンス供与など、ステーブルコインのライフサイクル全般にわたる厳格な基準を提示しています。
提案されている主要な要件と禁止事項
OCCが提示している規則案には、ステーブルコインの信頼性を確保するための具体的な基準が盛り込まれています。
まず準備金については、発行済みのステーブルコインに対して、現金や短期米国債などの極めて流動性の高い資産を1対1以上の割合で維持することが義務付けられます。また、ステーブルコインを預金ではなく決済手段として位置づけるため、保有者に対して利息や利回りを提供することが法律および規則案で明示的に禁止されています。
償還に関しては、顧客からの請求に対し、原則として2営業日以内に対応することが求められます。ただし、大規模な償還請求が発生した場合には、秩序ある資産の売却を可能にし金融安定性を維持するため、最大7日間まで期間を延長できる規定も設けられています。
今後の展開と業界の反応
パブリックコメントの締め切り後、OCCは寄せられた意見を検討し、最終規則の策定に進みます。アメリカ銀行協会(ABA)などの業界団体は、規則案が膨大かつ複雑であることを理由に、さらに60日間の検討期間の延長を求めているとされています。
GENIUS法は、2027年1月18日、または各規制当局が最終規則を発行してから120日後のいずれか早い日に本格施行される予定です。この規制の確立により、これまで不透明だった法的な裏付けが明確になり、企業がステーブルコインを主要な決済手段として採用しやすくなる環境が整うと見られています。
ポイント
- 米OCCが5月1日にGENIUS法のコメント受付を終了し、18ヶ月間にわたる規制の不確実性が解消に向かいます。
- 決済用ステーブルコインに対し、1対1の準備金維持や利息支払い禁止、迅速な償還対応などの厳格な連邦基準が導入されます。
- 銀行子会社だけでなく、一定の基準を満たした非銀行系の事業者もOCCの監督下で発行体となる道が開かれます。
- 本格的な施行は2027年1月、または最終規則の発表から120日後となる見通しです。
- 規制の明確化により、ステーブルコインを決済インフラとして活用する企業の動きが加速する可能性があります。