JPMorgan(JPモルガン)は、テクノロジーの進展に伴うETF(上場投資信託)市場の変革に関するレポートを公開しました。投資家が求める効率性とコスト削減を背景に、世界のETF市場は2030年までに35兆ドル規模へ成長すると予測されています。運用の自動化やブロックチェーンを活用したトークン化が、今後の市場拡大を牽引する重要な要素になると見られています。
市場拡大を後押しする運用の自動化とアクティブETFの台頭
JPMorganの予測によると、世界のETF市場における運用資産残高(AUM)は、2025年時点の19兆5000億ドル(約3120兆円、1ドル=160円換算)から、2030年までに35兆ドル(約5600兆円)に達する見通しです。
この成長を支える要因の一つが、取引フローの電子化と自動化の加速です。ETFの注文数と取引総額は年々増加しており、電子化による効率化が不可欠となっています。特に、JPMorgan Asset Management(JPモルガン・アセット・マネジメント)のデータでは、2025年に新規設定されるETFの83%がアクティブ型(指数に連動せず、運用会社が銘柄選定を行う投資信託)になると予測されています。アクティブETFはパッシブ型に比べて運用体制が複雑になるため、自動化の重要性が一段と高まっています。
トークン化がもたらす次世代の市場インフラ
もう一つの主要なトレンドとして挙げられているのが、ブロックチェーン技術を用いた「トークン化」です。ETFをトークン化することで、以下のようなメリットが期待されています。
- 組成・償還プロセスの効率化
- ほぼ即時の決済(ニア・インスタント・セトルメント)
- 24時間365日の市場アクセス
JPMorganの証券サービス部門でETF商品担当グローバルヘッドを務めるシアラン・フィッツパトリック氏は、トークン化がETFのみならず、ファンド業界全体の変革を推進する可能性があると指摘しています。
一方で、実用的な活用事例が広く普及するまでには、まだ数年を要するとの慎重な見解も示されました。JPMorganは、自社のブロックチェーン部門であるKinexys(キネクシス:旧Onyx)を通じて、すでに多様なトークン化のユースケースの検証を進めています。
ポイント
- 世界のETF市場は、2030年までに35兆ドル規模へ成長すると予測されています。
- 2025年に新規設定されるETFの8割以上がアクティブ型になると見られており、複雑な運用を支える自動化技術の重要性が増しています。
- ブロックチェーンによるトークン化は、即時決済や24時間取引を可能にし、市場インフラを根本から変える可能性を秘めています。
- トークン化の本格的な普及には数年かかると見られるものの、JPMorganは専門部門Kinexysを通じて技術検証を継続しています。