東証スタンダード市場に上場する電線メーカーの三ッ星は、定款の事業目的に暗号資産関連業務を追加する方針を明らかにしました。大正8年創業の老舗企業が、マイニングや暗号資産の発行、売買などを事業目的に盛り込むことで、将来的な事業の多様化を図る狙いがあります。現時点で具体的な事業開始時期や投資計画は公表されていませんが、伝統的な製造業がWeb3領域への参入の可能性を示した事例として注目されます。
定款変更の内容と今後のスケジュール
三ッ星が2026年4月24日に発表した定款の一部変更案には、新たに「暗号資産(仮想通貨)の発行、売買、マイニング、貸借、管理及びそれらに関連する業務」が盛り込まれました。マイニングとは、ネットワーク上の取引を承認する作業の見返りとして暗号資産を得る仕組みを指します。
この定款変更案は、2026年6月23日に開催予定の第81期定時株主総会に付議される予定です。株主総会で可決されれば、同日付で効力が発生し、同社は法的にこれらの業務を行うことが可能になります。
事業目的追加の背景と企業の現状
三ッ星は大正8年(1919年)に創業された大阪市に本社を置く老舗メーカーです。主に電線、合成樹脂押出成形品、高機能チューブ、電熱線の企画・製造・販売を手がけています。特に電線事業においては、移動用電気機器の電源供給などに用いられるキャブタイヤケーブルのパイオニアとして、業界トップシェアを有しているとされています。
今回の定款変更の理由について、同社は「今後の事業展開の多様化に対応するため」と説明しています。電線製造という自社の既存事業と、電力供給インフラを必要とするマイニングなどの暗号資産関連業務には親和性があるとの見方もありますが、現時点では将来の選択肢を広げるための手続きという段階にあります。
具体的な事業展開の見通し
今回の発表は、現時点ですぐに暗号資産の購入やマイニング事業を開始することを意味するものではありません。同社は具体的な投資計画や事業の開始時期、暗号資産の保有方針などは現時点で明らかにしていないとしています。
上場企業が定款に事業目的を追加する場合、即座に事業を開始するケースだけでなく、将来的な可能性に備えてあらかじめ枠組みを整えておくケースも少なくありません。同社が今後、どのような形で暗号資産関連業務を具体化させるのか、あるいは既存の製造業の知見をどう活かすのかが、今後の注視すべき点となります。
ポイント
- 東証スタンダード上場の老舗電線メーカー三ッ星が、定款に暗号資産関連業務を追加する方針を発表しました。
- 追加項目にはマイニングだけでなく、暗号資産の発行、売買、管理など幅広い業務が含まれています。
- 2026年6月23日の定時株主総会で承認されれば、同日付で定款変更の効力が発生します。
- 現時点では具体的な事業開始時期や投資計画は未定であり、将来の事業多様化に備えた動きと見られます。
- 電線事業で高いシェアを持つ製造業がWeb3インフラ領域に関心を示したことは、業界の裾野の広がりを示唆しています。