PharosがPacific Oceanメインネットを公開、RWA流通を促進するRealFi基盤として5,200万ドルを調達

金融特化型のレイヤー1ブロックチェーンであるPharos(ファロス)は、2026年4月28日にメインネット「Pacific Ocean」の正式稼働と、ネイティブトークン「PROS」のローンチを発表しました。同プロジェクトは、現実資産(RWA:Real-World Assets)のトークン化において課題となっている流動性の断片化や、機関投資家向けのコンプライアンス要件に対応することを目指しています。累計5,200万ドルの資金を調達しており、伝統的金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)を橋渡しする「RealFi(リアルファイ)」の実現を掲げています。

機関投資家のニーズに特化したRealFiの構築と5,200万ドルの資金調達

PharosがPacific Oceanメインネットを公開、RWA流通を促進するRealFi基盤として5,200万ドルを調達

Pharosは、従来の汎用的なブロックチェーンとは異なり、金融インフラとしての利用を前提に設計されています。同プロジェクトは、直近のシリーズAラウンドで4,400万ドルを調達し、累計調達額は5,200万ドルに達しました。

この資金調達には、アジアのプライベート・エクイティ・ファンドや香港の規制対象金融機関に加え、日本の住友商事(子会社経由)や、再生可能エネルギー大手のGCL New Energyなどが戦略的投資家として参加しています。また、Web3業界からはChainlinkやHack VC、SNZといった有力企業も名を連ねており、伝統的金融とクリプトネイティブな領域の両方から強い関心を集めています。

CEOのWish Wu氏は、Ant Group(アント・グループ)の元コアマネジメントメンバーであり、チームにはMicrosoft Researchやスタンフォード大学の出身者が含まれています。Wu氏は、現在のRWA市場において「トークン化だけでは機能的な金融市場は作れない」と指摘しており、機関投資家が本格的に参入するためには、資産の質やリスクに関する透明性の高いデータと、金融基準に合致したインフラが必要であると述べています。

既存のレイヤー1との差別化と技術的アプローチ

ブロックチェーン業界では、Solana、Aptos、NEAR Protocol、Sui、Avalancheといった既存のレイヤー1がRWA分野への展開を強化しており、競争が激化しています。これらの競合に対し、Pharosは金融機能をネットワーク自体に直接組み込む「RealFi」というアプローチで差別化を図っています。

技術的な特徴としては、以下の点が挙げられます。

1. 深層並列実行アーキテクチャ(Deep-parallel execution):高いスループットを実現し、リアルタイムの金融アプリケーションをサポートします。

2. プロトコルレベルのコンプライアンス:機関投資家が求める規制遵守やプライバシー制御の機能を、ブロックチェーンの基本層に組み込んでいます。

3. EVM互換性:Ethereum(イーサリアム)ベースの既存のスマートコントラクトやアプリケーションを最小限の変更で展開可能です。

4. 外部エコシステムとの連携:Ant Groupが開発したWeb2スタイルの自己管理型ソリューション「Topnod Wallet」やOKX Walletと統合されており、既存のユーザーが容易に参加できる環境を整えています。

また、同プロジェクトは「RealFi Alliance」を設立しており、Dune、Alchemy、Anchorage Digitalといったパートナーと協力して、RWAの採用に必要なデータとインフラの透明性を高める取り組みを進めています。

ネイティブトークンPROSの役割と経済モデル

メインネットの稼働に合わせてローンチされたPROSトークンは、Pharosネットワークにおける中心的な役割を担います。

トークンの主な用途は、取引手数料(ガス代)の支払い、ネットワークのセキュリティを維持するためのステーキング、バリデーターとしての参加、ガバナンス投票、そしてエコシステムへのインセンティブ提供です。将来的には、ステーブルコインの担保資産としての活用など、RWA関連のユースケースへの拡張も想定されています。

PROSの総供給量は10億枚に固定されており、初期の売り圧力を抑えるための設計がなされています。具体的には、メインネット稼働後の最初の6ヶ月間はステーキングによるインフレ率を0%に設定し、7ヶ月目から年率5%のインフレを開始する段階的なモデルを採用しています。また、チームやプライベートセール投資家の割り当て分には12ヶ月のロックアップ期間と36ヶ月のリニアベスティング(段階的な解放)が設定されています。

ポイント

  • Pharosが「Pacific Ocean」メインネットを正式にローンチし、RWA(現実資産)特化型の金融インフラとして稼働を開始しました。
  • 住友商事やGCL New Energy、Chainlinkなどから累計5,200万ドルの資金を調達しており、伝統的金融とWeb3の両側面から支持を得ています。
  • 元Ant Group幹部が率いる開発チームにより、プロトコルレベルでのコンプライアンス対応や並列実行による高い処理能力が実装されています。
  • 独自の「RealFi」構想を掲げ、資産のトークン化だけでなく、流通や透明性の確保といった機関投資家が直面する課題の解決を目指しています。
  • ネイティブトークンPROSは、ガス代やステーキング、ガバナンスに使用され、初期6ヶ月間はインフレ率を0%に抑える経済設計が導入されています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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